なるべくサステイナブルな家具選びー服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第63回目となる今回は、「なるべくサステイナブルな家具選び」です。

ソファ、椅子、テーブルの可能性

麻子:先月は「ふとんのエコ」について話しましたが、今月は「家具」について話してみましょうか?

雄一郎:家具はサイズが大きく、最後は粗大ごみになることを考えると、できる限り納得できるものを選びたいよね。

麻子:今回わが家が選んだのは、ソファ、椅子、テーブル。それぞれ、素材、耐久性、使い心地、値段と、トータルのバランスが求められたけど…。

雄一郎:つくづくわが家らしい選択になったと思う!順に見ていきましょう。

“ソファ”の代わりに…

麻子:まずはソファ。私はソファがすごくほしい人。でも、いいソファは本当に値段が高い。そして、特にファブリックのソファは、すぐに汚してしまいそうで本当にコワイ…。

雄一郎:「張り替え」もできるみたいだけど、業者さんに頼むと結構値段も高そうだし、DIYとなると大変そうだし・・・いずれにしても大ごとで、なるべくなら避けたい感じだよね。

麻子:一体型のものなどは、修理するのも処分するのも大変そうで、「どうしよう!?」と思ってた。

雄一郎:そんな中、いわゆる「DIYのソファ」の情報が目に入ってきて、もちろん本格的なソファとはすわり心地はちがうかもしれないけど、「何だか軽やかでいいな」って感じて、一気に方向転換。

麻子:すごくいいアイデアだったと思う。ただし、うちはDIYは苦手だから、友人の大工さんに簡素な木のベンチをつくってもらって。あとは上にオーガニック生地の長座布団を敷けば、完成!

「ハートオーガニック」の長座布団に合わせてベンチのサイズを決めました

雄一郎:何しろ軽やかなのがいい。重さも軽くて、運ぶのも簡単。長座布団は丸洗いもできる。さっぱり、爽やか! すごく満足な仕上がりになりました。

やっと見つけた椅子

麻子:お次は椅子。うちはアンティーク系の椅子ばかり使ってきたけれど、いざ新品を買おうとすると、これが結構むずかしい。

雄一郎:ソファと同じで、「いいな」と思うものは本当に値段が高いよね。そして、やはりファブリックの座面は汚れそうで緊張する…。

麻子:家具屋さんに行けば、北欧デザインなど素敵なものはいくらでもあるけれど、「できればローカルなものがいいのにな…」「頑丈で値段も高すぎないものはないかな…」と思っていたら、見つけたのがこちら。

雄一郎:何と坂本龍一さんが立ち上げて、隈研吾さんが代表を務める「more trees」(モア・トゥリーズ)という森林保全団体のつくる椅子。

麻子:森林保全ももちろん大事だし、国産の間伐材を活用するというコンセプトもいい。そして、値段もかなり手ごろ

雄一郎:キットの状態で販売されていて、各自が組み立てて使う方式になっているのもいいなと思った。組み立ててしまわないことで、輸送もかなり効率化できるはずだし、いろんな意味で理にかなっているんだろうなって。

麻子:すわり心地も、安定感があってなかなかいい。もちろん、背もたれ付きのしっかりした椅子とは違うけれど、とても心地いい買い物になりました。

コンパクトなキットの状態で販売されています

テーブルもシンプルに

雄一郎:そして、テーブルはこちら。今回は小さめのテーブルを求めていたこともあり、結局、「市販品から選ぶより、つくった方が早い!」とばかりに、ソファをつくってもらったのと同じ大工さんにお願いしてつくってもらいました。

麻子:すごくいい雰囲気に仕上げてくれて、本当に感謝。

雄一郎:とってもいいよね。木材は地元高知のもの。集成材でもない無垢の木で、しかも、ほかの仕事で出た「端材」を生かしてくれたとのこと。

麻子:新しい「一枚板」みたいになると、もちろんすごく素敵ではあるけど、値段もとっても高くなるし、そんな大きな木はものすごく貴重。育つのにも時間がかかるだろうし、無駄も出るだろうし…。そういう意味で、サステナビリティの面から言えば、この「できる限り端材を生かす」というのはすごくうれしい。

端材を生かしたテーブル

雄一郎:信頼できる大工さん/職人さんあってのことなので、「同じようにはできない」と感じる人も多いかもしれないけれど。でも、裏を返せば、それだけ大工さん/職人さんのせっかくの技術が生かされにくい、大量生産のものばかりが幅を利かせる世の中になってしまっているわけで、その現状自体が好ましくないとも言える。

麻子:思い描いた以上に、ローカル&サステイナブルな路線でまとめられた家具たち。大切に使いたいと思います。


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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola