葉っぱを生かす、植物を生かすー服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第58回目となる今回は、「葉っぱを生かす、植物を生かす」です。

「葉っぱで包む」たのしい食べ物

麻子:いよいよ夏到来。今日は「葉っぱを生かす、植物を生かす」について話してみましょう。

雄一郎:麻子さんは「葉っぱで包む食べ物」が大好きなんだよね。

麻子:そう、葉っぱで包むだけで心躍る。中身はふつうのものでも、一気に特別感が出ます。

雄一郎:最近やった中では、柿の葉寿司。

麻子:葉っぱには殺菌効果もあるということで、理にかなった食べ物なんだなと感じさせられます。今回は初挑戦でしたが、姿もきれいで、ぜひこれから何度もやっていきたいですね。

雄一郎:サンキライの葉っぱで包んだお餅もつくったね。

麻子:郷土菓子としてもつくられている素朴なお餅。季節に応じて、さまざまな葉っぱで包んだお餅やお寿司をつくれたら、暮らしがもっとたのしくなりそうです。

「皮も生かす」

雄一郎:葉っぱ以外では、竹皮で包むのも定番。ちまきが一般的だけど、わが家のとっておきは「あくまき」だね。

麻子:そう、南九州の独特の郷土菓子です。灰汁に浸したもち米を、灰汁(あく)入りのお湯で長時間茹でる、というとてもめずらしい調理法。化学変化により、わらび餅のような食感に変化します。

雄一郎:竹と灰という、自然の素材を生かした伝統食。パワーを感じますね。

麻子:竹皮以外では、トウモロコシの皮も南米などで料理を包むのに使われるみたい。ちまきなど、いろいろ包めるようなのでぜひ試してみたいな。

雄一郎:トウモロコシの皮、たしかに見た目もきれいだよね。まさか使えるとは思わなかったけど。でも、トウモロコシの皮やひげは、お茶にもなると言うしね。玉ねぎの外皮だって、お茶にすればおいしく飲める。つくづく、利用しようと思えば、植物ってすばらしい可能性を秘めているんだなと思わせられる。

テーブルセンター&お皿代わりにも

麻子:そして、私がいちばん好きな活用法のひとつが、テーブルセンターやお皿代わりに使うこと。庭の芭蕉(ジャパニーズバナナ)の葉や、ターメリック(うこん)の葉を使います。

雄一郎:南インドではバナナの葉っぱをお皿として使うけど、そのイメージ。エキゾチックな雰囲気が出て、ふつうの晩御飯が何だかご馳走に見えてくるのが不思議。

麻子:今年は初夏に入ってから、ほぼ毎晩のように葉っぱのお皿だね。葉っぱさえ取ってくれば、あとはお皿が汚れないので、洗い物もすごくラク。汚れた葉っぱはそのまま土に戻してしまいます。汚れの栄養分もそのまま土に還ってもらうイメージ。

雄一郎:排水を汚さないのはすごくいい。そして、こんなに使ってるのに、葉っぱがいくらでも生えてくる生命力にも驚かされる。

麻子:南の植物は生育力が旺盛ですごい。冬は寒すぎて枯れてしまうけど、毎年初夏になるとぐんぐん復活してくれます。

雄一郎:テーブルクロスは布、お皿は陶器がふつうだけど、考えてみれば、布も陶器も自分でつくろうとしたら大変な手間。ちょっとやそっとではつくれない。それを思えば、植物を生かすだけのテーブルクロスやお皿は、現代ではほぼ忘れ去られたような存在だけど、もっとも「合理的」というか、「インスタント」なスタイルだったんだろうなと、そんなことも想像するとたのしい気分になるね。

ただのおむすびも少し趣向の変わった雰囲気になるのがおもしろい。ご飯粒がへばりついたお皿を洗う手間もなし!

「資材」としても生かしたい

麻子:植物を使う合理性と言えば、家庭菜園の支柱などに竹や笹を使ったり、シイなどの木を使ったりと言った「資材としての利用」もあるよね。今ではホームセンターでプラスチック製の資材を買うのが当たり前になっているけど、ふと立ち止まって考えれば、それらは工場がないとつくれないわけだから。

雄一郎:うちは洗濯物干しにも、近所のお宅で切らせていただいた竹竿を使っているけど、見た目もすごくいい。実際、切るのは多少面倒だったし、「こんなこと、一部の物好きな人しかやらないだろうなぁ…」なんて思ったけど、よく考えれば、ある意味それがいちばん簡単でインスタントなわけだよね。

麻子:こういった自然の植物を生かす知恵はできるだけ暮らしの中に取り戻していきたいなと感じます。マコモで編んだ円座(座布団)とかね。

雄一郎:植物とともにある暮らしは心地いい。いいバランスで、いい循環の中で取り入れていけると、本当に八方よしだなと思いますね。

【前編はこちら⬇︎】

野菜の皮や芯~「捨てずに生かす」ベジブロスー服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア


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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola