「ゼロウェイストには人生を変える力がある」 書籍『サステイナブルに暮らしたい』著者に学ぶ生活のヒント

服部さん

「ゴミを減らすなんて難しそう」「プラスチックゴミはリサイクルしているから大丈夫」。そう考えている方は、少なくないはずです!

「ゴミをできるだけ出さないようにする『ゼロウェイスト生活』は、とても楽しいですよ〜」と、Life Hugger編集部のインタビューに笑顔で答えてくださったのは、「ゼロ・ウェイスト・ホーム」翻訳者の服部雄一郎さんと、麻子さんご夫婦です。現在、高知の山のふもとでお子さん3人と猫と一緒に、ゼロウェイストな暮らしをされています。

12月にはご夫婦初の共著「サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方」を出版されたお二人。こちらの新刊は、「ゼロウェイストってどうやってやるの?」という疑問に答える、服部さん一家の実践リポートになっています。

今回、編集部では、高知の自宅で行われた新刊発売会に参加し、家の中を案内してもらいながら、ゼロウェイストに楽しく取り組む方法や、持続可能な暮らしのアイデアについて、お二人からお話を伺いました。

服部雄一郎さんプロフィール

服部さん高知県在住。『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)翻訳者。世界25か国以上で翻訳された、アメリカに住むフランス人ベア・ジョンソンさんがはじめた「ごみをできる限りゼロにする暮らし」の本、『ゼロ・ウェイスト・ホーム』を日本に持ち込み、ベストセラーに。新刊に『サステイナブルに暮らしたい―地球とつながる自由な生き方』(アノニマ・スタジオ/麻子さん共著)。

服部麻子さんプロフィール

服部麻子さん高知県在住。家族でゼロウェイストやプラスチックフリーに取り組み、その生活を綴った『サステイナブルに暮らしたい―地球とつながる自由な生き方』(アノニマ・スタジオ/雄一郎さん共著)を出版。無理なく楽しむ、ゼロウェイストへの取り組みが注目を集めている。野草茶のブレンドや、敷地内に完成したオフグリッドハウスにて、今後ゲストハウスも運営予定。

役所のゴミ担当になったことが始まり

雄一郎さんは、アメリカに住むベア・ジョンソンさんが「ごみをできる限りゼロにする暮らし」を著した『ゼロ・ウェイスト・ホーム』を日本語に翻訳し、日本に「ゼロウェイスト」という考え方を広めた人として知られています。ちなみに同著は世界25か国以上で翻訳されています。ゼロウェイストな暮らしを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

雄一郎さん:ゼロウェイストに取り組み始めたのは、葉山町役場の「ゴミ担当」になったのがきっかけでした。分別をきちんとしたり、コンポストに挑戦してみたりしたとき、燃えるゴミがみるみる減ると実感し、ごみ問題に目覚めたのです。その後、ゴミの勉強をするためにカリフォルニアに留学し、南インドのゴミ関係のNGOに所属していたこともあったのですが、たまたま訪れた高知に魅了されてからは山のふもとに移住し、今はゴミをできるだけ出さないゼロウェイストな暮らしをしています。

ゼロウェイストな暮らしは気軽に楽しく始められる

窓

ごみ問題への取り組みは、非常に難しいことのように思われますが、服部さんご夫婦の暮らしは、シンプルそのものでとても楽しそうです。

雄一郎さん:ゼロウェイストアクションは心地よく、やりがいがあって、しかも簡単にできるものが多々あります。ゼロウェイストを「知る」だけで変われる、人生が良い方向に転じる、ということを自分自身が実感してきたので、新刊「サステイナブルに暮らしたい」でも、そんな想いが伝わればうれしいなと思います。

麻子さん:ゼロウェイストは簡単にできることも多く、生ごみや家事の負担が減って生活がラクになります。デメリットは見つからないくらいなので、ぜひ自分ができることから始めてみることをおすすめします。

簡単に始められるゼロウェイストな暮らしのアイデア

新刊「サステイナブルに暮らしたい」では、暮らしのシーンごとに実践的な取り組みが紹介されているので、身近なところからゴミを出さない暮らしを始められます。

高知県香美市産の木で建てたというお家を案内していただき、ゼロウェイストな暮らしのアイデアをたくさん紹介していただきました。今回は、そのなかでも取り入れられそうなものを3つご紹介します。

収納用品

収納

服部家では、洋服をすべてハンガーにかけて「吊るす収納」を実践されていました。服の収納となると、プラスチックの収納ボックスを買ったのにうまく収納できなかったり、割れてしまったり、引っ越しなどでサイズが合わなくなってしまったりして、手放すことも多いのでは?私も、早速服部家の吊るす収納を、取り入れてみようと思いました。

子ども部屋

ワイン箱

子ども部屋では大きな家具を置かず、廃材を利用して大工さんに作ってもらった作り付けの棚や、20年以上前に無料でもらったワイン箱をリサイクルした本棚、また昔使っていたというキッチンワゴンが活用されています。新しいものを買わずに、今あるものや廃材を利用して作られた子ども部屋は、シンプルだけど温かみがありました。

料理はあるもので

ポテト

Life Hugger編集部がお邪魔した時には、麻子さんが15分ほどでおいしい夕食を用意してくれました。家にあるもので作ったという料理の数々は、心がほっとするものばかり。人を家に呼ぶときには、いろいろ買い揃えても結局残ったり、捨ててしまったりすることが多いので、家にあるものでのおもてなしはゼロウェイストにつながるなと思いました。

ゼロウェイストは加点方式のマインドで

キッチン

服部さんご夫婦のステキな暮らしを参考に、ゼロウェイストを始めてみようと思った方も多いのではないでしょうか?しかし、日本ではまだまだ環境に対する意識が低く、やりにくさを感じたり、家族の理解が得られなかったりすることが多いのかもしれません。最後にお二人からゼロウェイストな暮らしで大切に感じていることをお聞きしました。

雄一郎さん:現実的な暮らしの制約のなか、すべてが理想通りにスムーズにいくとは限りません。そんななかで「できないこと」や「思い通りにならないこと」にフォーカスしてしまうと、後ろ向きになってしまいます。「減点方式」ではなく「加点方式」のマインドがモノを言うのかなと思います。ゼロウェイストを通じて体験できる「変化」と「チャレンジ」と「選択」には、きっと人生を良い方向に導いてくれる力があると思います。

麻子さん:ゼロウェイストで大切なことは、常に「わたし」が主語であるということです。家族や他人をコントロールしようとすると必ずぶつかります。私もそういうプロセスを経験してきました。それよりも、「ごみを減らすことが趣味」「ゼロウェイストが趣味」くらいの感じで取り組むと、楽しさが周りにも伝わって、やってみようと思う人が出てくるのではないでしょうか?

編集後記

「ゼロウェイスト」とは、環境のためにゴミをできるだけ出さないことです。その一方で、お二人はゼロウェイストを「地球のため」として考えるだけではなく、趣味のひとつとして、楽しんでいるように感じました。雄一郎さんがおっしゃっていた「ゼロウェイストは、ゲームのように楽しい」という感覚は、無理をせずに楽しさを感じるレベルで試行錯誤されてきたからこそ、生まれたものかもしれません。

「ゼロウェイストには、人生を良い方向に導いてくれる力がある」と、お話してくれた服部さんご夫婦。ゼロウェイストは、ただゴミを減らすだけの取り組みではなく、日常の暮らしを豊かにしてくれるものであるということが伝わってきました。

「私一人がゴミを減らしても意味あるの?」と思っている方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

「サステイナブルに暮らしたい」書籍概要

著者:服部雄一郎・服部麻子
出版年月日:2021年12月2日
ページ数:232ページ
定価:1,760円(税込)

【参照サイト】lotusgranola オンラインショップ
【参照サイト】サステイナブルに暮らしたい
【関連ページ】世界中で話題の「ゼロウェイスト」なライフスタイルとは?

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Life Hugger 編集部

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