海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。
そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!
第34回目となる今回は、「夏の料理の習慣」についてです。
夏の料理の習慣~エコで快適な夏のキッチン
雄一郎:夏もすぐそこ。今月は、わが家の「夏の料理の習慣~エコで快適な夏のキッチン」というテーマで話してみましょう。
麻子:ただでさえバテ気味な夏。食事はしっかり取りたいけど、暑い中、火を使って料理するのはとても大変。
雄一郎:冷房をつけていたりすると、せっかく部屋を冷やしている中でガスコンロの火で暖房を炊いているようなもので、省エネ的にも気になるしね。
麻子:そういう無駄はなるべく減らしたい!「なるべく無駄なく、気分よく」――ささやかなことばかりですが、わが家が心がけていることを順に見ていきましょう。
料理の回数を減らす
雄一郎:まずはこれ。「火を使う回数」を減らす。
麻子:思い出されるのは、インドにいた時の隣家のお母さん。毎朝7時までに家族4人の3食分のご飯を全部作ってしまうと聞いて驚いた。
雄一郎:インドは日中暑いからねぇ…。なのにエアコンはまだまだ貴重品だったり、あっても電力不足で計画停電があったり。だから、その話を聞いた時は「賢い!」って思った。
麻子:なかなか習慣に取り入れるのは工夫がいるので、うちもそこまではできない。でも、「朝昼兼用」で作ってしまうとか、「昼夜兼用」で作ってしまうとか、なるべくまとめて作ってしまうと、結果的に時短にもなる。
雄一郎:僕は昨年から料理係をしているけど、みんなが帰ってくる夕ご飯、ゼロから作ろうとするとプレッシャー。一品でも作ってあると本当に気持ちがラクなので、その意味でも「なるべくまとめて作ってしまう」のはメリットがある気がするな。
<冷えてもおいしい料理>は夏の強い味方
麻子:夏に限らないけど、私は週末の朝、家族全員分の昼ごはん用にお弁当をつくってしまうのがすごく好き。結果的に、昼前の時間帯に火を使う必要もないし、子どもたちに急かされることもないから安心。「いつでも食べてね~」って(笑)、出かけてしまうことだってできる。
雄一郎:僕はお弁当づくりは苦手意識があるからやらないけど、週末に3食子どもの分まで用意するのは本当に大変だから、麻子さんが時々お弁当をつくってくれるのはすごくうれしい。お弁当って不思議だよね。「冷やご飯」だとうれしくないのに、お弁当だとなぜかおいしい。
麻子:そうなの!おにぎりも同じ。お弁当やおにぎりにしておくと、温めなおす必要もなく、いつでもおいしく食べられる。ただ、ご飯が傷まないように、私はいつも、ご飯が炊きあがったら、殺菌効果のある梅酢を入れて混ぜ返します。そうすると夏場でも半日くらいは安心。
雄一郎:梅酢は体にもいいものね。ちょうど今月の麻子さんの連載「あるものでごはん」は梅酢の活用がテーマなので、そちらに詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
麻子:あとは、揚げ浸しとか、南蛮漬けとか、ポテトサラダとか、私は「冷めてもおいしい料理」が大好き。
雄一郎:「冷めるとおいしくなる料理」とも言えるかもね。
麻子:暑い中、あたため直す必要もない、冷蔵庫から出すだけでひんやりおいしい。幸せな夏の食事!
雄一郎:あとはご飯があればいい。みそ汁があれば、なおよし。そして、みそ汁はこれから紹介する「水出汁」を作っておくと、本当にラク!
火を使わない「水出汁」を取り入れる
麻子:ふつう、お出汁は煮出すやり方が一般的だけど、一晩水に漬けるだけの「水出汁」もすごくおいしいよね。
雄一郎:うん。むしろ「えぐみ」が出にくくて、すっきり透明感があって、水出汁の方がおいしいかもしれないくらい。昆布や煮干しや干し椎茸を、数時間水に漬けておくだけで、そのまま使えるから、特に夏場はすごくうれしい。
麻子:多めに漬けて、「冷蔵庫に常に水出汁がある」と料理がラクになるよね。
雄一郎:そうそう。出汁って、「沸騰直前で火を止める」と言われるけど、ちゃんと見張っておかないとグラグラ煮立ってしまったりして、わりに負担だったりする。時間的にも、最低15分くらいはかかるから、急にみそ汁をつくろうと思ったとき、すぐにつくれないし。冷蔵庫に出汁があると、「ああ、助かった!」って(笑)。
雄一郎:個人的にいちばん気に入ってるのは、椎茸出汁。量もいい加減で、瓶に干し椎茸を2~3個入れて、水を注ぐだけ。あれば昆布もハサミでチョキっと切って、一緒に入れておく。ベジだからか、本当にすっきりとおいしい。
麻子:椎茸出汁のみそ汁、本当においしいよね。かつお出汁とか、いりこ出汁とはまた全然ちがうおいしさ。
雄一郎:みそ汁の具は、じゃがいもとかは火入れに時間がかかるから、夏場はさっと火が通る「小ネギと揚げ」とかがうれしい(=作る側が)。しめじの残りや、乾燥わかめをちょろっと入れるのも最高。出汁を冷蔵庫から取り出して、鍋を火にかけて、沸騰もしないうちから(笑)、適当にカットした揚げや小ネギを入れて、ひと煮立ちしたら火を止める。みそを溶き入れ、最後に醤油をひとたらし。インスタント。
麻子:お椀に盛り付けたあと、上から青シソの千切りをちょっと散らすの、おいしいよね。「まるで料亭!?」みたいになる。
雄一郎:そうそう、シソやみょうがの「吸い口」があると、涼しげな風味になって、特に夏は最高にうれしい。
麻子:冷たい出汁があると、「冷や汁」なんかもサッとつくれるよね。冷たい出汁かけご飯だから、ご飯を温めなおす必要もない。冷たいままの出汁に味噌を溶き入れて、くずした豆腐や、きゅうりやみょうがやシソを加えて、ご飯に乗せる。ごまを振りかけて、できあがり。
雄一郎:夏の冷や汁は本当に好きだなぁ。ほぼ残りご飯だけで一品になるの、すばらしすぎる。ほかにもいろいろある「エコで快適な夏のキッチン」の工夫、後編で引き続きご紹介します。
【⬇︎後編はこちら】
【関連ページ】【連載】服部雄一郎・麻子さんに聞くゼロウェイストな暮らしのアイデア
【関連ページ】「ゼロウェイストには人生を変える力がある」 書籍『サステイナブルに暮らしたい』著者に学ぶ生活のヒント
服部雄一郎 服部麻子
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