海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。
そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!
第24回目となる今回は、ランドセル選びについてです。
三者三様のランドセル歴
雄一郎:今年も卒業・入学のシーズンが近づいてきました。
麻子:新入学ともなると、本当に物入りですよね。ふだん、なるべくシンプルな暮らしを心がけていても、学校の指定など、意に添わない買い物をしなければならない局面も多々あります。
雄一郎:今月は新入学の象徴とも言えるランドセルについて。最近は「ラン活」という言葉もあるくらい。わりに悩まれる保護者さんも多いのでは?
麻子:わが家の3人の子どもたちは、本当に三者三様でした。まずはそれぞれのケースについて話してみたいと思います。
ケース1「なしで済ませる」
麻子:いきなり変則的なスタートとなりますが、いちばん上の子は「ランドセルなし」でした。
雄一郎:小学校入学時にたまたま海外にいて、日本に帰国して小学校に通い始めたのが小1の最後という中途半端なタイミングだったので、「何となくドサクサに紛れて」というところもあって。
あと、障碍児だったので、普通のランドセルでは重すぎるだろうなとも思ったし、本人の中にも「みんなと同じランドセル」を求める気持ちもなかったし…。そもそも地元の公立校に通い続けるのだろうか、すぐに別の特別支援校やフリースクールに転校する可能性も十分ありえる?という手探り状態での入学だったので、「とりあえずはリュックサックでいいよね!?」でスタート。そのまま卒業までリュックサックのままだったよね。
麻子:軽くて、安くて、サイズも選べて、とってもよかった!破れたり、サイズが合わなくなったら新しいリュックサックに変えればよいだけなので楽でした。じつは私は「みんな当然ランドセル」という感じがちょっと苦手なので、正直この展開は居心地がよかったかも。実際、同級生はみんなランドセルでしたが、息子は特別支援学級だったので「本人が楽なのがいちばんいい」と思ってました。
雄一郎:都会ではずいぶん「脱ランドセル」の流れも強まっているようですが、田舎ではまだまだほぼ100%ランドセルという現状。普通なら「なし」という決断はなかなか選びにくいかもしれないところ、長男は期せずして「気づけば脱ランドセル」でした。
ケース2「ふつうに買う」
雄一郎:それなのに、次の真ん中の娘の時は、やっぱり「新入学に合わせて人並みにランドセルを準備しなきゃ!」みたいな気持ちになって。お下がりをもらう当てもなかったので、老舗ランドセル店の予約開始に合わせて注文する、いわゆる「ラン活」のようなことをしてしまいました。
麻子:私は興味がもてなくて完全スルーでしたが(笑)。
雄一郎:「どうせ買うなら質の良い大切に使えるものを」と思っていたので、カタログを見ながら娘に好きな色を選んでもらって、買えた時は素直にうれしかった(笑)。赤と黒しかなかった昔とは違い、娘がジェンダーレスな茶色を選んだのも、何だか新しい風が吹いたようにも感じました。
ケース3「お下がりをもらう」
麻子:そして末っ子の時は、折よく親しい友人から声をかけてもらい、お下がりのランドセルをいただくことに。
雄一郎:末っ子はぜんぜんランドセルに関心なさそうだったし、とても状態のよいランドセルだったので、本当にありがたかった!とは言え、「上の子には買ったのに不公平かな…」と思わないでもなかった。でも、「ラン活」も1回で疲れたというか、やっぱり冷静に考えると、ランドセルごときに大人が右往左往している日本の図って、世界の貧困だ、地球環境の未来だ、という観点で考えたらフツーにバランス悪いよね…というところもあるし。
それでも、「姉と違うお下がりで本人が嫌な思いをしないように」みたいな思考からは逃れられなくて(後編に書くようにこの思考自体から脱したいと思うのですが)、「わ~キャラメル色だね!」なんてわざわざファンシーな言葉で盛り上げてみたりして(笑)。入学式の日、保育園からの同級生の明るい女の子が走り寄ってきて、「あ!S君(←うちの末っ子)のランドセル、あたしとおんなじ色だね!」と満面の笑顔で言ってくれた時は心の底からホッとした。どうしようもない親ですね(笑)。
麻子:それぞれ全然違って、なかなか面白かったね。価値の優劣ということはないけれど、エコ視点から見て、さらにトータルのバランスから見て、やっぱりいろいろ思うことはありますよね!後編で掘り下げてみましょう。
【⬇︎後編はこちら】
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服部雄一郎 服部麻子
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