不要になったプラスチック製品の手放し方は?服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第20回目となる今回は、不要になったプラスチック製品の手放し方です。

「まだ使えるプラ製品」はどうすれば?

雄一郎:年末年始は大掃除などで持ち物の処分に向き合うことが多くなりますね。

麻子:わが家は7回の引っ越しでかなり持ち物は減らしてきましたが、それでも荷物は増えてしまいがち。荷物の整理はゼロウェイストのカギでもあるので、年末はよい機会です。

雄一郎:モノを捨てるとき、よくある悩みとして、「まだ使えるプラ製品を処分した方がいいのか、使い続けた方がいいのか?」というのがあります。

麻子:うちも散々向き合ってきました!

雄一郎:プラスチックの問題を知り、「なるべくプラスチックフリーな暮らしをしよう!」と思ったとき、既に持っているプラ製品は大きなネックになりますよね。僕個人の意見を言えば、プラ製品自体の摩耗によるマイクロプラスチック化とか、使い続ける健康リスクとか、もちろんゼロではないと思うのですが、よほどボロボロのものでもない限り、数値的なリスクというのはそれほど大きくないと思うんです。むしろ、大きいのは「気分」かな。資源という面で見れば、やはり限りある石油資源を使ってつくられたプラ製品を生かさずに安易に捨ててしまうのはもったいない。

麻子:まだ使えるものを捨てることになるわけだものね。

「持ち続ける」のが正解とは限らない

雄一郎:と同時に、せっかく「これから暮らしを変えよう」と思っているのに、家の中がそのままでは「変わるに変われない」というところもありますよね。プラ製品、普通に使えば何十年も使えたりしますから。そうなると、一生プラスチックから脱出できないことになる。

麻子:人にもよりますけど、やっぱり心機一転、すっきり入れ替えてこそ、先に進めるというところはある気がします。

片付いている状態のわが家のリビング。モノが少ないとそれだけですっきりするので、やはり断捨離は必要!(※残念ながら、ふだんはもっとモノがはみ出ています)

雄一郎:『ゼロ・ウェイスト・ホーム』のベア・ジョンソンさんも、「どうしようもないものは今回限りきっぱり手放してしまいましょう」という趣旨のことを言っていますが、僕も同じようなスタンスです。ありがたく使い続けようと思えるプラ製品は、もちろんありがたく使い続ける。でも、自分自身が「もはや使い続けたくない」と感じてしまっているものを使い続けるのは(あるいはしまい込むのは)、結局は「資源が生かされない」わけですから、それこそ「もったいない」ですよね。それから「スペース」の視点もある。生活空間の質、と言ったらいいのかな。視界に入るものはできるだけ気持ちよくすると、パフォーマンスが上がるという実感があります。

麻子:「もったいないから捨てられない」という気持ちはやはり私にもあって。でも、結局「うれしく使い続けられない」のであれば、それは「スペースがもったいない」という見方もできる。いただきものや思い出の品など「うーん」と考え込んでしまうこともあるけれど、つまりは「どんな暮らしに向かっていきたいか」というところですね。未来のことも想像してみて、自分が納得する選択をするのが大事かな、と思います。

「安易に捨てるのはもったいない」としても、なるべくリサイクルショップに引き取ってもらったり、人にゆずったり、「もっとそれが生かされる場所」に移動させてあげられたらいちばんいい。それができない場合は、「もうこれが最後!」というつもりで処分し、その後の自分の消費行動を変えられたら、それでよいのではないかな、と感じます。

手放す方法―「わが家の場合」

麻子:わが家が処分したプラ製品を振り返ると、うちは引っ越し前にプラ製の衣装ケースを10個以上使っていたんですよね。あれはすごく迷って、それこそまだまだきれいなのに、捨てたらもったいないし、「どうしよう…」と。でも、もはや使い続ける気持ちにはなれなくて、引っ越し時の「ご自由にお持ちください」コーナーに積み上げてみました。そしたら、何人かの方が「これ使える!」と持ち帰ってくださって、すごくありがたかった。

2年前まで使っていたプラ製衣装ケース。押し入れを有効活用するには便利でした。

雄一郎:本当に「拝みたい!」という気持ちでした。過去の自分のこともすごく反省したし。同時にそれらは、今もショッピングモールで普通に1個1500円とかで売られていて、たくさんの人がお金を出して新品を買っている商品。そういう意味では有用な存在なんですよね。「使いたい」と思ってくれる方に巡り合える、というのはハードルが高く思えますけど、わが家が引っ越し時に大々的にやった「ご自由にお持ちください」コーナーは大成功で、プラ製品に限らず、想定していた以上にたくさんのモノをいろいろな方に持ち帰っていただけました。


【⬇︎後編はこちら】

つながりが生まれる!不要になったものの生かし方ー服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア



麻子:最後にどうしても残ってしまって処分したものは、本当にごく一部だったものね。次回はそれ以外の「手放し方」「生かし方」についてお話ししてみたいと思います。

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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola