海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。
そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!
第15回目となる今回は、月経カップについて教えてもらいました。
ゼロウェイストな月経カップとは
麻子:「月経カップ」は、紙ナプキンや布ナプキンと違って、シリコーン製や天然ゴム製の弾力性のあるカップを装着して、そこに経血を溜めるタイプのものです。簡単に水洗いして、繰り返し使えるので、とても手軽だし、ゼロウェイスト。
雄一郎:僕が「月経カップ」という言葉を初めて知ったのは、6~7年前、ベア・ジョンソン著『ゼロ・ウェイスト・ホーム』の翻訳をしていた時のこと。原書の中に「menstrual cup」という言葉が出てきて、「何じゃそりゃ!?」と、必死でネット検索しました(笑)。
麻子:ここ数年、日本でも広まってきた気がするけど、当時はまだ全然だったよね。私は存在くらいは聞いたことがあって、体にカップを入れるなんて、こわいし絶対にイヤだと思ってた。
雄一郎:ベアさんが「お金も節約できて、使いやすくて、なんでもっと早くやらなかったんだろうと、地団太ふんで悔しがった」と書いているから、「これはいいものに違いない。僕は使えないから、お願いだから使ってみて!」って頼んだのに、断られてしまった。
麻子:絶対ムリって思ってたからね…それなのに、それから2年くらいした頃、合気道を習い始めて、生理になると稽古に行けなくなるのがすごく不便だと思って、その時にふと月経カップのことを思い出した。あれを使えば、生理を気にせずに合気道に行けるかも!!って。
雄一郎:何で月経カップなら合気道に行けるの?
麻子:紙ナプキンや布ナプキンは、やっぱりずれたり漏れたりが心配で。転がったり飛んだり結構動きがあるからね。特に道着が白だから。月経カップなら、多い日以外は半日に1度変えればよいので、すごく安心。
雄一郎:ほとんど忘れかけた頃に「月経カップ、いちばんいいやつを私のために選んで買ってくれたら、使ってあげる」と言われて、一生懸命リサーチ。僕はリサーチ大得意なので。で、その時はスクーンカップというブランドのものを選びましたが、印象としては、4000~5000円くらいのブランドはどれも甲乙つけがたく高水準。むしろ、結局は多い日用と少ない日用に2サイズ必要になるので、「最初は小さめのものを買って練習し、慣れたら大きめのものを買う」という方がアドバイスとしては有用でしょうか?
麻子:そう思います。2つ目はスーパージェニーというブランドのものを買いましたけど、どちらもとても使い心地はいいです。使い始めてみて、最初はもちろん緊張しますよね…わたしもちょっと怖くてドキドキしました。お風呂で練習するのがおすすめです。でも、私は使い始めて数日で慣れました。違和感も本当に最初の頃だけなので、もちろん向き不向きはあるかもしれませんが、個人的には「心配しなくて大丈夫ですよ!」と言いたいです。
月経カップのメリットは?
雄一郎:メリットは?
麻子:とにかく、ごみがまったく出ない。月経カップは10年近く使えると言われます。私が使い始めたのは40歳過ぎだったので、たぶんこれ以上の買い替えは必要ない。初期投資はひとつ4000~5000円。2サイズ買っても1万円しないくらいなので、布ナプキンよりも安いくらい。調べてみると、もっと安いものも売られていますが、あまり安すぎるものはどうなんでしょう?そんなに何度も買い替えるものではないし、個人的には、少し高めでも、信頼できそうな、評判のよいものを選ぶのがいいような気がします。
雄一郎:あとは洗濯しなくてよいので、ずいぶんラクなんじゃない?
麻子:その都度、水洗いするだけなので簡単です。基本的には「毎月、使い始めは煮沸消毒」と言われます。あとはただの水洗いです。いちばん便利なのは、旅行、温泉、海水浴の時。布ナプキンだとどれも厳しいし、紙ナプキンだって難しいですよね。それが月経カップなら、まったく平気。多い日以外は、半日に1度変えるだけなので、生理中であることを忘れてしまうほど。これは革命的です。
雄一郎:心配していた「漏れ」は大丈夫だったわけ?
麻子:一般的には「正しく装着すれば漏れない」と言われるけれど、さすがに、多い日は漏れることもある。
雄一郎:それはなぜ? 麻子さんが忘れっぽくて、変えるタイミングが遅いから?
麻子:そう(笑)。きちんと装着して、きちんと交換すれば、大丈夫なはず。
雄一郎:それで、麻子さんはうっかり漏れても大丈夫なわけ!?
麻子:布ナプキンと同じで、多い日は、布ナプキン(紙ナプキンでも)を併用するから心配なし。「ぜったい今日は白い服を着たい」時は、下から、紙ナプキン→布ナプキン→月経カップと3重にするので、バッチリです。とにかく本当に便利なので、友人たちにも積極的に勧めています。
便利な月経カップ、子供には?
雄一郎:でも、そんな麻子さんも「子どもにすすめるのはちょっと…」なんだよね?
麻子:そうね。子どもにはちょっと…。やっぱり、「最初から月経カップ」っていうのはちょっと無理があるような気がしてしまう。ある程度色々な「経験」を積んでからの方がいいんじゃないかな。タンポンよりかなり大きいから。最近出てきた「吸収ショーツ」あたりを試してみるのもありかな?と思っています。
雄一郎:実際、英語のネットで検索してみると、「初潮から月経カップはまったく問題なく使えます!」という情報がたくさん出てくるので、僕としては「ごみも出なくて、安くて、便利で、いいんじゃないかな~」なんて思ったし、「子ども用のミニカップ」も販売されているけど、この辺は僕の出る幕ではないので、麻子さんに判断をおまかせしています。
雄一郎:紙ナプキンも最近はよさそうなものがいくつも登場しているしね。うちが使った中では、『プラスチック・フリー生活』で薦められていた「ナトラケア」が最高品質な感じですばらしかったけど、値段も最高品質で、わが家の経済状況では持続不可能だった(汗)。
麻子:そう。紙ナプキンは「1回買えば済む」というものではないので、その辺はなかなか難しい。「入手しやすさ」も含めて考えると、落としどころは「ナチュラムーン」あたりかなと思うけれど、こちらの記事に掲載されている「コットンラボ」も、同じような価格帯ですごくよさそうですよね。
より良い紙ナプキンが出てくるのは、月経カップをメインに使っている人にとっても、ありがたい動きだなと感じます。状況に合わせて、いちばん快適な形を選んでいきたいですね。
次回は「ゼロ・ウェイストのデメリット」についてお話ししたいと思います!
【⬇︎前編はこちらから】
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服部雄一郎 服部麻子
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