必要な家電・いらない家電とは?服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第12回目となる今回は、家電について教えてもらいました。

家電を減らして無駄を省く

雄一郎:家電は便利ですけれど、壊れて修理したり、買い替えたり・・・わりにお金と手間がかかる部分もありますよね。ゼロウェイストやプラスチックフリーの観点からも、「家電を減らして無駄を省く」というアプローチは大いに有効だと感じます。

今の時点で、わが家にない家電を挙げてみると・・・

・炊飯器
・電子レンジ
・トースター
・掃除機
・テレビ

逆に、ある家電は、

・冷蔵庫
・洗濯機
・エアコン(1台)/扇風機
・食洗機
・バイタミックス(ブレンダー)

などです。

炊飯器やトースターは無くても大丈夫!

麻子:私にとっては、家電は置き場所の問題が大きいかな。特に台所はいろいろな家電が所狭しと並びがち。わが家は、炊飯器、電子レンジ、トースター、電気ポットがないので、その省スペース効果はとても大きいです。この4つを追加で置くとしたら、台所がもっと広くないと…。

雄一郎:いちばん最初に家電を減らし始めたのは、20代前半の頃。横浜の狭い木造賃貸アパート(2DK)にふたりで住みはじめて、「こんな狭いアパートに、家電をたくさん置くスペースなんて、ないよね!?」「給料安いのに、全部買ったら、お金かかりすぎるよね!?」というところから、徐々に省略していったのがはじまりでした。

麻子:最初はテレビを省略(置く場所も、観る時間もなかったから)。そして、炊飯器(ご飯は鍋で簡単に炊けると知ったから)。次は、電子レンジも友人にゆずって卒業。

雄一郎:うちは料理が好きだったので、鍋炊きのご飯はおこげができておいしかったし、電子レンジよりも蒸篭を使ったり、オーブンを使ったり・・・敢えて「家電を減らす!」という節約の観点からではなく、「よりおいしく」「よりこだわって」みたいな部分が最初は大きかった気もします。

麻子:鍋炊きご飯は本当においしいです。わざわざ土鍋を買わなくても、家にある普通のステンレス鍋などでも大丈夫ですよ。基本の炊き方は、お米と同量の水を入れて、フタをして強火にかけ、沸騰したら弱火で15分くらい。火を消して、そのまま10-12分ほど蒸らせば、できあがり。

わが家は、最近はより加熱時間が少なくて済む非電化の保温調理器具「シャトルシェフ」でご飯を炊いていますが、右にあるような普通のステンレス鍋でもおいしく炊けます。

雄一郎:炊飯器を使っていらっしゃる方も、ぜひ気軽に一度試してみてはいかがでしょう? おこげができるのは鍋炊きならでは。炊飯器はフッ素樹脂加工(プラスチックコーティング)なので、その意味でも鍋炊きは安心ですね。

シャトルシェフの場合は、沸騰後わずか6分ほど弱火で加熱し、あとはこの保温ケースに入れて、少し長めに15分ほど蒸らせば炊き上がり! うちのシャトルシェフはいただき物なので黄色ですが、ステンレス製のケースなどもあります。

麻子:わが家は電子レンジもないので、ご飯を温め直す時は、蒸し器が基本。ふっくらおいしく温められます。あとは、いっそチャーハンにしてしまったり、ドリアにしたり、雑炊や冷や汁にしたり、電子レンジがなくても冷やご飯をおいしく料理できる方法は意外にいろいろありますよ。

雄一郎:パンを焼くときは、京都の焼き網か、インドのチャパティパン(厚手のフライパン)を使っています。どちらも甲乙つけがたい焼き上がり。香ばしく、おいしくトーストできて、文句なしです。

京都の老舗「辻和」の焼き網。直火で焼くイメージなのですぐ焼きあがります。子どもたちはこれがお気に入り。

麻子:チャパティパンを使う時は、パンの表面に軽く水をつけて、ステンレスのボウルでフタをして焼くと、蒸気がこもってすごくおいしく焼きあがりますね。

インドのチャパティパン。こんな風にステンレスボウルをかぶせて焼くと、おいしく焼きあがります(ボウルは熱くなるので、やけどに注意して、トングなどで取り外します)。

雄一郎:普通の鉄のフライパンでもおいしく焼けますが、フッ素樹脂加工の場合は空だき厳禁。フッ素樹脂が剥がれ、有毒ガスが出るという話もあるので、注意してください。

掃除はほうきとぞうきんで

麻子:掃除は、ほうきとぞうきんで。とてもシンプルです。

雄一郎:掃除機は、コードが絡まったり、中のフィルターを交換したり、毎回出し入れしたり、意外に面倒だというのが僕の実感。ほうきとぞうきんは、そういった煩雑さとは無縁で、気分がいいです。

京都の老舗「内藤商店」のほうき。掃除機と違って、壁にスッとかけておいても邪魔になりません。

麻子:以上、「ない家電」について話しましたが、どれについても、わが家は「ない良さ」を感じている気がします。別に、無理に減らす必要はないと思うんですよ。でも、「ないと困る!」と思い込んでいる家電が、実は意外に、なくても平気だったりする。たとえば、壊れた時、慌ててすぐに買い替えずに、2週間くらい「なし」のままで暮らしてみて、それから考えてみると、本当に必要かどうかが見えてくるかもしれませんね。

雄一郎:後半では、「わが家にある家電」についてお話ししたいと思います。

【⬇︎後編はこちらから】

必要な家電・いらない家電とは?②服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola