日本の伝統技法「金継ぎ」で楽しみながらアップサイクル!新たな価値を持つ器へと大変身

お気に入りの食器が欠けたり割れたりして、やむを得ず処分した経験がある人は多いだろう。たとえ高価な物ではなかったとしても、日常的に使用しているものには愛着があり、破損したときのショックは大きいものだ。そんなときにぴったりなのが、漆を使って修理をし、表面塗装に金粉を用いて装飾する日本の伝統技法「金継ぎ(きんつぎ)」である。

伝統技法というと難しい印象があるが、東急ハンズが販売を開始した天然の漆使用の「播与漆行(はりよ しっこう)金継ぎ初心者セット」であれば、初心者でもすぐに金継ぎをはじめられる。このキットには金粉・漆はもちろん、金継ぎに必要な道具がすべてそろっており、工程ごとの解説動画を見れば、すぐにトライできるだろう。

東急ハンズでは、金継ぎ用品は50代~70代と年齢層が高い方に多く購入されており、特に夫婦で購入されることが多いそうだ。しかし昨年からは、若者にも静かなブームになっており、20代・30代の方の購入も増えてきているという。

金継ぎの工程はこうだ。まず欠けている部分に透漆を塗る「漆固め」をし、欠けた部分を埋める「刻苧(こくそ)付け」を行う。箱に入れて1週間ほど乾燥させた後、「錆漆(さびうるし)付け・錆研ぎ」をし、「塗り・塗りの研ぎ」への工程へと移る。最後に金粉蒔きをして完成だ。

完成品

モノを大事にする風潮が高まりつつある昨今、金継ぎ関連商材は活況を呈している。東急ハンズでは、一部店舗において2022年2月28日(月)まで、金継ぎとあわせて楽しめる「蒔絵(まきえ)」の初心者向けキットとともに「繕いを楽しむサステナブルな暮らし」を開催中だ。金継ぎのワークショップは毎回好評のため、東急ハンズでは定期的に開催する予定とのこと。ワークショップの情報はこちらから確認できる。

東急ハンズ

お皿やお箸などの食器類に漆と金粉を使って模様を施す、漆工芸の代表的な加飾技法の蒔絵は、いつも使っている器や箸を新たな表情に早変えしてくれる。ほんの少しだけ食卓の雰囲気を変えたい時におすすめだ。

傷跡を金で装飾してあえて目立たせ、美しく見せる金継ぎは、日本独自の美意識ともいえる。昨今はアップサイクルが注目を浴びているが、その先駆けといえる取り組みだろう。修理を施して蘇った食器は、モノとしての価値が高まるだけではなく、思い入れもさらに強くなるはず。

お気に入りの器が欠けてしまったら、捨てて新しいモノを買うのではなく、修繕しアレンジを加えながら大切に使い続けていく。金継ぎや蒔絵は、日本に昔からあったモノを大切にする生活様式に触れるいい機会になりそうだ。

【参照サイト】東急ハンズ
【参照サイト】ヒントマガジン

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河端 麻紀

愛知県で働く30代のフリーランスライターです。旅行関連の記事を得意としています。SDGsについては現在勉強中で、働きがいも経済成長も感じられる社会を目指しているところです。休日は映画鑑賞とジョギングを楽しんでいます。