「いただきます」のあと、日々の食卓で何気なく手放している割り箸。日本国内だけで、年間約200億膳もの割り箸が廃棄されているといわれています。割り箸の多くは高品質な木材から作られているにもかかわらず、一度使われただけで焼却処分に回ってしまう現状があります。「もったいないけれど、どうしようもない……」と感じてきた人に、少し気持ちが軽くなるニュースが届きました。
カナダ発のアップサイクル企業「ChopValue(チョップバリュー)」の日本法人と、文具・家具メーカーの「コクヨ」、建設大手の「竹中工務店」の3社が2月19日、使用済み割り箸を家具や建築資材へと再生させる共同研究を開始したことを発表しました。
取り組みの鍵となるのが、ChopValueが提唱する「アーバンハーベスティング(都市での収穫)」というユニークな考え方です。森から木を切り出すのではなく、すでに街の中にある「使い終わった割り箸」を資源としてとらえ、独自の技術で高耐久なパネルへと生まれ変わらせます。
今回の共同研究では、コクヨや竹中工務店のオフィスなどで実際に割り箸を回収するパイロットプログラムを実施。回収された箸は、神奈川県川崎市にある「マイクロファクトリー(小規模工場)」で加工され、おしゃれなデスクや棚、さらには建物の内装材へと姿を変えていきます。

※画像はPR TIMESより引用
大きな連携が始まった背景には、各社の「資源を大切に使い切りたい」という強い願いがあります。単にリサイクルするだけでなく、「より長く、より美しく使い続けること」を目指しているのが、このプロジェクトの魅力です。
コクヨは、2030年までにグループ全体の売上の大部分を循環型製品から生み出すという目標を掲げています。資源の使い方を大きく変えていく長期ビジョン「CCC 2030」に沿って、長く使える設計や木材の活用を進めており、今回の連携もそのビジョンを後押しする大切な一歩となります。
また、竹中工務店は、設計から施工、維持管理までを通して循環を組み込む「サーキュラーデザインビルドⓇ」を推進しています。ただ建物を建てるだけでなく、その街の中で資源が循環する仕組みを作りたいという姿勢から、今回の共同研究を通じて、耐久性の高い家具や内装ソリューションによる「ローカルな循環システム」の構築を目指しています。
3社に共通しているのは、私たちが暮らす街全体を一つの「豊かな森」のようにとらえ、資源がめぐる仕組みをつくりたいという想いです。未来の暮らしを少しずつ良い方向へ動かしたいという、企業の枠を超えた情熱が感じられます。

竹中工務店が推進する「サーキュラーデザインビルドⓇ」
現在は企業間での共同研究が中心ですが、神奈川県川崎市の「ChopValue Microfactory」を拠点としたこの循環づくりは、着実に進んでいます。まずはオフィスでのパイロット回収から始まり、回収した割り箸をマイクロファクトリーでパネルへ加工。その後、コクヨがワークスペース向けの家具や内装什器の開発を担当し、竹中工務店が建築部材としての使い方を検討します。将来的には一般のオフィスや公共空間など、私たちの身近な場所にもこの再生素材が導入されていく予定です。
さらに、建築分野で幅広く活用できるよう、防火認定に関する共同研究も継続されています。安全性に関わる条件を一つずつ確認しながら進めることで、割り箸由来の素材が、安心して採用できる家具や内装材として広がる土台づくりが進んでいます。
「捨てる」を「つなぐ」へ、流れを少しずつ変えていく動きが始まっています。手元の一膳から生まれる循環が、街のどこかで長く使われる家具や内装へとつながっていく姿を思い浮かべると、食事のあとに箸を置く瞬間の景色も、少し違って見えてきそうです。
【公式ページ】ChopValue Japan
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