「バスルームのゼロウェイスト」服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

お風呂

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るプラスチックごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタートしました。

第2回目となる今回は、バスルームのゼロウェイストについて教えてもらいました。

お風呂場にあるのは、石鹸、重曹、お酢の3つだけ!

麻子さん:わが家のお風呂場にあるのは、石鹸、重曹、お酢の3つだけです。私は、髪も体も石鹸ひとつ。石鹸だけだと髪がアルカリ性に傾いてしまうのですが、お酢をリンス代わりに使って中和すれば髪がサラサラになります。

酸性なら何でも良く、あれば柑橘の果汁などでも構いません。高知はゆずがたくさん獲れるので、うちでは料理に使い終わったあとのゆずの搾りかすを、お湯でもんで使ったりもしますよ。さわやかで気持ちが良いですし、理想的な廃物利用という意味でもうれしいです。

石鹸置き

石鹸置きにはヘチマがおすすめ! 黄色い液体は去年絞ったゆず果汁です。

雄一郎さん:僕は、石鹸よりも重曹のシャンプーの方が気に入っています。小さじ1程度の重曹をカップ1くらいのお湯に溶かして髪を洗うだけ。髪質のせいか、僕はリンスも必要ありません。重曹はそのまま浴室の掃除にも使えて便利ですし、料理や台所掃除、お菓子づくりや洗濯にも使うので、いつも食品グレードのものを5kgパックで購入して使っています。ひとつのものをいろいろな用途に使えるのも、ゼロウェイストをラクに進めるコツですよ。

重曹

重曹は、使わなくなったステンレス製の弁当箱に入れているので湿気ません。

麻子さん:一般的なボトル入りのシャンプー、リンスやボディソープなどは使わないので、シンプルでごみも出ず、快適に感じています。気に入った銘柄のシャンプーなどがある方はそれを使うのもいいと思いますが、ボトルのごみ以上に気にしたいのは、中身の成分かもしれません。市販のシャンプーなどには、髪をなめらかにするためにシリコーンが成分として配合されていたり、香りづけとして「マイクロカプセル」という微細なプラスチックカプセルが配合されていたりするものがかなりあるようです。

雄一郎さん:単に「香料」という表記で、成分表示からわからないことも多いと聞きますね。化学物質過敏症の方々にとっては、そうした香料が大きな負担となるようですし、選ぶのであれば、そういった化学的な成分が配合されていないものにすると、自然にとっても、体にとってもより良い選択になるのかな、と感じます。

麻子さん:地方は下水が整備されていない場所も多く、我が家もお風呂の排水がそのまま川に流れるので、水を汚すものをできるだけ流したくないというところもあります。天然由来の石鹸は生分解性で自然に還るので(もちろんそれも使い過ぎるべきではないと思いますが)、なるべくそうしたものを使いたいと思っています。

なので、いわゆる入浴剤も使いません。「今日はちょっとリフレッシュしたいな」と感じる時には、台所にある天然塩や日本酒などを大さじ1程度入れると、すっきり清められる感じがして、とても気分がよいですよ。

お風呂掃除もゼロウェイストに

麻子さん:浴槽の掃除には、食器洗いにも使っている「びわこふきん」の使い勝手がいいです。自然素材のものの中では、浴槽の汚れがいちばん落ちやすい気がします。常用はしていませんが、いただき物のセルローススポンジも使いやすかったですね。

雄一郎さん:タイルのそうじには亀の子たわしが定番です。カビが生えないように、こまめに掃除するのが理想ですけど、カビが生えてしまったら、やむなく酸素系漂白剤を少量使っています。

びわこふきん

「洗剤を使わずに食器が洗える」ロングセラーのびわこふきん。

セルローススポンジ

先日使った「土に還る」セルローススポンジ。浴槽そうじには使いやすかったです。

お風呂の「フタ」もゼロウェイスト!

雄一郎さん:そうそう、浴槽の「フタ」にはプラスチック製のものが多く、カビが生えたり、ぬめったり、しかも最後は粗大ごみになってしまいます。うちはホームセンターの木材売り場で買ってきた細長いひのき板を6枚並べてフタ代わりにしています。もう5年以上使っていますが、多少黒ずむ程度でカビないし、まったくぬめらないし、すこぶる快適でおすすめですよ。最後は薪にしてもいいし、表面を削ればきれいな木材になるので、DIYに使うこともできます!

お風呂のふた

使わない時はこんな風に立てかけておきます。

次回は洗面所のゼロウェイストについてお話しします。おたのしみに!

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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola