タイ北部・チェンマイの地で、発酵食品の専門店として、またヴィーガンレストランとして現地の人から愛される「neo食堂(通称aeeen)」。満を持して2023年10月3日、2店舗目がオープンしました。
新店舗では「AEEEN Omusubi」として、日本のソウルフードである「おむすび」を提供しています。店舗が位置するのは、個性的なショップが集まるクラフトビレッジ「バーン・カーン・ワット」。どのようなショップに仕上がったのか、お邪魔してオーナーの牧野夫婦からお話を伺ってきました。
出店したクラフトビレッジ「バーン・カーン・ワット」
「neo食堂」の徒歩圏内にあり、個性的なショップやギャラリーが集まるクラフトビレッジ「バーン・カーン・ワット」。純粋にかわいいものやナチュラルなものが好きな人はもちろん、アートやクラフトに関心がある人には、ぜひ訪れていただきたいスポットです。
オーナーの牧野夫婦は2店舗目の候補地を探すなか、市内にあるモールのフードコートなど、さまざまな形態の場所を実際に訪れてリサーチ。そのなかでも取り組みや雰囲気にマッチしていて、すでにたくさんの人が訪れているという理由で、白羽の矢が立ったのがバーン・カーン・ワットでした。
牧野さんはクラフトビレッジで作った豆腐の販売をしていたことがあり、オーナーとも知り合いで、すでにご縁があったのです。いかに「neo食堂」が地域の一部として馴染んでいるのかがよくわかりますね。
コンセプトは「新しいファーストフード」
2店舗目の商品をおにぎりではなく「おむすび」にしたのは、「なにかとなにかをつなげる」という意味があり、「ご縁を結(むす)ぶ」という意味を込めて。さらに新店のコンセプトについてお伺いすると、「おむすびは新しいファーストフードだと伝えたい」と、牧野裕樹さん。
「世界中にファーストフードはたくさんあるけれど、大きな違いは情報量の違い」とのこと。「例えば、両者とも出てくるスピードはファストだけれど、僕らのおむすびは提供までに必要なだけ時間をかけています」。
「AEEEN Omusubi」では「neo食堂」で提供している100%手作りの調味料を使用。調味料だけでも、それぞれ半年から一年以上の月日をかけて丁寧に発酵、熟成させているのです。加えてお米も現地のもので、いかに日本人がおいしいと思える味や食感を出せるか、考え抜いてブレンドしています。
「だからうちのおむすびは、情報量が多い。慣れていないと、食べて疲れる人もいるかもしれない」と笑う裕樹さん。その食感や風味、そしてそれを作る人から、こだわりと想いが伝わってくるおむすび。なんでこんなにおいしいのか、どんな調味料なのか、どのような想いで作られているのか…。ひとつずつのことに想いを馳せたくなるのです。
十分に手間暇かけられた材料が、目の前の人の手で握られ、提供される。こんなにも豊かな気持ちになるなら、ぜひ毎日いただきたいファーストフードです。
“かわいい”世界にエッジを効かせて
バーン・カーン・ワットはまるで絵本の世界!中央の楕円形のステージを囲むように、おとぎ話に出てくるような、個性的でかわいい店舗が立ち並びます。
むき出しのレンガや木材などの天然素材と、アイロンのインダストリアルな風合いが絶妙にマッチした、かわいくおしゃれな雰囲気。
ただオーナーの恵子さんとしては「バーン・カーン・ワットは純粋に『かわいい』だけど、私はエッジを効かせて『らしさ』も出したい。美しさと品も共存させたくて」と、場所の持つ雰囲気とショップのカラーのどちらも活かせる方法を模索。「チェンマイのバーン・カーン・ワットからムーブメントを創る」、そんな気持ちで試行錯誤を繰り返します。
そしてたどり着いたのが、オリジナルボックスに入れて風呂敷で包む販売方法でした。もちろんエコフレンドリーな取り組みのために、おむすびの個包装はプラスチックではなく紙袋。それらを5つセットとしてボックスに詰め、オリジナル風呂敷で包んで手渡すというスタイルです。風呂敷には日本らしさ、風呂敷の個性豊かな柄には恵子さん、そして「neo食堂」らしさが詰まっています。
できたておむすびを紙や綿といった天然の素材で包み、おむすびの温かみを肌で感じられるパッケージに仕上がりました。
店作りは完全オリジナル
バーン・カーン・ワットの特徴のひとつは、ブースやショップを各自で建てているという点。それはまるでクラフトビレッジと呼ばれるコミュニティ内に、自分の家を建てるようなもの!各ショップの個性が際立っているのはそのためです。
トラブル発生?…色が違う!
信頼のおける職人さんたちの手によって工事は着々と進みました。骨組みができたら木材で壁が作られ、ショーケースのガラスが入り…。裕樹さんは工事が始まってから毎日様子を見に行っていたのだそう。あるとき、ペンキの一度塗りが終わったタイミングで訪れたときに違和感を覚えました。
「朱色を選んだのですが…」。「その朱色は誰の目にもオレンジ色に映った」と、オーナー夫妻。
ただ、サンプルでは朱色に見えていたので、誰のミスでもなかったのです。とにかく修繕するしかなく、職人さんに「手伝うから自分で色を作らせて!」と交渉したという恵子さん。そのまま自身も参加してのペンキ塗りが始まりました。
地元の若者に依頼したアイテム作り
すでに触れたように、「AEEEN Omusubi」は地元の人の手仕事によって誕生しました。
同店の最初の商品である特別セットのパッケージボックスは、地元の紙工場の息子さんカップルに依頼。センスを生かした新しいものづくりをしている彼らと知り合ったときから、「なにかやるときにはお願いしよう!」と考えていたのだとか。「感じがいいだけでなく、とにかく仕事が早い!」と恵子さん。依頼すると3~4日後にはサンプルが届き、修正をお願いしたときには理想通りの、三角の形をしたボックスを届けてくれました。
10月3日、「AEEEN Omusubi」始動!
満を持して10月3日、バーン・カーン・ワット内に「AEEEN Omusubi」がオープンしました。入り口から左に入って、突き当たりにあるジェラートショップの隣。鳥居を彷彿とさせる朱色の建物が迎えてくれます。オープン時のメニューは「neo食堂」にもあるものと、さらにアレンジを加えたものの10種類。オープニングを記念したスペシャルセットとして、前述のオリジナルボックスと風呂敷で包んだ5つセットも用意。
オーダー後、なるべくできたてを食べて欲しいという想いから、ショーケースに並べるおむすびは最小限に。注文を受けてから握ってくれるため、できたてのフレッシュなおむすびや日本のオーガニック茶を楽しむことができます。
試行錯誤しながらおむすびの魅力を発信
スタートを切った「AEEEN Omusubi」。今はより多くの人に知ってもらえるように、営業しながら改良を重ねる日々だとか。
日本のソウルフードであり、良質なファーストフードであるおむすびで、人や場所のご縁をむすぶことがきっとできるはずだと、密着して確信しました。そしてなにより現地に溶け込み、現地のコミュニティのなかで循環する。そうしたあり方こそ、持続可能な飲食店になるのだと改めて感じました。
チェンマイを訪れることがあれば、ぜひ足を運んでみていただきたい一軒です。
【参照サイト】AEEEN Omusubi
【関連ページ】大阪の“おかん”が夫婦で営む「neo食堂」、北タイから食や循環型社会の大切さを発信する
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