身近な薬草を見つけよう!薬草散策ツアー参加レポート

山の散策

「薬草」とは、読んで字のごとく薬のような役目を期待して使われている植物のことで、正式には薬用植物と呼ばれています。「草」のという字が入っているので「草」のみが対象だと思われがちですが、広義では根、木の枝や幹、種、実も含む植物全体を指しています。アロマセラピーで使われるラベンダーやカモミールなどのハーブから、和食でよく出るしそやショウガまで全て「薬草」と呼べます。

身近な薬草を知り、上手に使えるようになれば、暮らしも心もより豊かになります。さらに、植物なので使用後はコンポストできるので、ゼロウェイストです。「もっと薬草のことを知れたら」と思っていた矢先に「薬草散策ツアー」の募集を見つけたので参加してきました!

ガイドプロフィール:広田史子(ひろたふみこ)さん

森林インストラクター・Yuica認定日本産精油スペシャリスト。長年行政の現場で培ってきた経験を生かし、林業経営コンサルティングの分野でも活躍している。

ハーブを軸とした複合施設「ヘルジアンウッド」

ヘルジアンウッド
このツアーの企画、運営をしてくださったのは立山町にある、ハーブを軸とした複合施設「Healthian-wood(ヘルジアンウッド)」のハーブ工房。「薬草散策ツアー」は、月1回開催されている「立山薬草倶楽部」という講座の10月の回として開催されました。

広田さん

森を案内中の広田史子さん

10月20日(金)の朝、まずはハーブ工房に参加者が集まりました。今回の講師、広田史子さんは森林インストラクターなど森に関わる仕事をしてきた森のエキスパート。「森に関する学びを続ける中でアロマセラピーへの関心が高まり、アロマセラピストの資格もとった」とのことで、まさに森の薬草の案内をするのにぴったりです!

冊子

企画担当のアロマセラピスト、小山内友子さんから1日の流れを説明していただいた後、広田さんからは、見つける予定の薬草が書かれたお手製の冊子が配られました。表紙を見ただけで、期待に胸が膨らみました。

薬草散策へ!

山の散策
説明タイムの後は、いよいよヘルジアンウッドから車で10分ほどの場所にある山の中へ。歩き始めて数分で、次々と薬草を発見!広田さんいわく、見つけるポイントは「葉っぱの色や形、葉っぱの付き方、木の幹の柄などを覚えておいて、そこを重点的にチェックすること」だそうです。

これまで山歩きでは花や実に目を奪われがちだったので「花や実はどうでしょうか?」と質問してみたところ、「それも良い方法ですが、花や実はついている時とそうでない時があるので変化が少ない葉や木の枝のほうが見つけやすいですよ」とのことでした。

以下、今回見つけた植物の一部をご紹介します。

クズ

クズ

こちらは、豆科の植物クズ。葉っぱが奇数なのが判断のポイントです。繁殖力が高くて厄介者扱いされることもありますが、薬効や食の可能性がたくさんあるとのことです。後日、街中でも見つけました!

クロモジ

クロモジ

その香りに、みんなが虜になってしまう、黄色系の枝に文字のような柄が入ったクロモジの木。今回のツアーでも一番人気でした。枝を折ったり、葉っぱをちぎると香りがふわっと漂います。

 ソヨゴ

ソヨゴ

ソヨゴは、ひらひらした葉っぱが特徴。風に揺れると「そよそよ」と音がするので、その名がついたそうです。葉にタンニンが含まれているので草木染めで赤く染まるとのことです!

コシアブラ

コシアブラ

春に大人気の山菜、コシアブラ。5枚で1枚の葉になっているのが特徴なので、それを手がかりにして見つけると良い、とのことです。

普通に歩けば徒歩15分くらいの道のりを、草の見分け方を聞き、写真を撮りながら30分以上かけて歩きました。薬草の解説をじっくりと聞くのは今回が初めてだったので、とても勉強になりました。

ハーブ入りのおにぎりでランチ

山頂
おにぎり

山の頂上では、小山内さんお手製のローゼル(ハイビスカス)の塩漬けおにぎりと、シソの実のおにぎり、お味噌汁でランチタイム!気持ちの良い景色を眺めながら、植物や山歩きの話で盛り上がりました。

蒸留水づくり&講義

作業
蒸留水づくり

ヘルジアンウッドのハーブ工房に戻ったあとは、蒸留水づくりをしました。蒸留水が作られる様子を間近で見るのは初めてだったので、参加者みんなで興味津々で様子を見守りました。とても興味深かったです!

その後は、アロマセラピーについての講義タイム。アロマセラピーの考え方や、実際に見てきた薬草の薬効について勉強しました。私は寝る前にクロモジの香りのスプレーを使っているのですが、クロモジはリラックス、安眠効果が期待できると聞き大いに納得しました。

講義後には、できたてのクロモジの蒸留水のスプレーをおみやげにいただきました。寝る前に枕にシュッとかけて、香りを楽しみながら眠りについています。

ハーブを使ったおやつタイム

おやつタイム
講義の後は、おやつタイム。富山市内で無農薬で育てられた小豆にクロモジパウダー、アイスクリームを入れて食べました。おいしくて感動! 小山内さんの「普段の食にも気軽にハーブや薬草を使ってほしい」という言葉が心に残りました。

和ハーブ図鑑
最後に、ハーブ工房で広田さんイチオシの和ハーブの本『和ハーブ図鑑』を買って帰りました。ドクダミなどの身近な植物も含む130種類以上のハーブについて詳しく書かれていて、散歩の時に見つけた草の判別にも使えます。

筆者は薬草散策のあと、山歩きの最中にクロモジを、街中の散歩中にクズやヨモギを見つけることができ、感動しました。最近は、身近な植物に目を向けるのがとても楽しいです。

ただ、薬草の中には毒性があるものもあります。例えばニラにそっくりなスイセンの葉は、毒性が強く危険です。間違いを防ぐためにも、まず今回のような専門家との薬草や野草の散策ツアーに参加するのがおすすめです。また、家で薬草を育ててみるのも良いでしょう。

ぜひ、みなさんも薬草散策や身近な薬草栽培にトライしてみてください!

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曽我 美穂

曽我 美穂(そが みほ)。2008年にエコライター・エディター・翻訳者として独立。雑誌やウェブサイトで編集、撮影、執筆、翻訳などをおこなっている。主なテーマはエコな暮らしやSDGs、環境問題。私生活では2009年生まれの娘と2012年生まれの息子の二児の母でもある。現在、富山県在住。個人サイト:https://sogamiho.mystrikingly.com/