森との共生で生まれたコーヒーがめざす未来とは?ネパールから世界へ「BIKAS COFFEE」

BIKAS カップ

農業(Agriculture)と林業(Forestry)を組み合わせた農法「森林農業=アグロフォレストリー」で、ネパールにコーヒーの森を作っているコーヒーショップがあるのを知っていますか?

ネパール・ハルパン村で採れた上質な豆を使ったコーヒーを提供している「BIKAS COFFEE(ビカスコーヒー)」。東京江戸川橋にある店舗では、浅いりでスッキリとして飲みやすいネパールコーヒーやコーヒー豆の販売を行なっています。

コーヒーは基本テイクアウト販売のみ。週末のみラウンジ利用が可能です。Wi-Fi完備なので仕事で利用したり友人とくつろいだり、BIKAS COFFEEの世界観を感じられる空間でゆっくりネパールコーヒーが楽しめます。

BIKAS江戸川橋店

BIKASの世界観が感じられる東京・江戸川橋店。週末のみ1日1,500円でラウンジ利用できます。

BIKAS COFFEEでは日本とネパールをつなぐアクションとして、ネパールにコーヒーの森をつくる植樹プロジェクト「BIKAS COFFEE VILLAGE 」への支援・参加を、5月1日よりクラウドファンディングサイトのCAMPFIRE(https://camp-fire.jp/projects/view/562837)で開始しています。

今回は、そんなBIKAS COFFEEを立ち上げたブランドマネージャの菅勇輝さんに、今回のプロジェクトへの想いや、BIKAS COFFEEを通して実現したい未来についてお話を伺いました。

BIKAS COFFEEブランドマネージャ菅勇輝さん

BIKASという名に込められた、理念で売るコーヒーへの想い

BIKAS カップ

テイクアウト用の紙コップはプラスチックの蓋のないタイプ。アイスコーヒーには生分解性の容器を採用している

学生時代に「世界を変えたくて」と、ネパール農村部での学校建設や給食プロジェクトなどの国際支援活動に参加していた菅さん。ブランド名の「BIKAS」は、当時の菅さんが現地の人につけられたニックネームで、ネパール語で発展・開発の意味を持ちます。

「ネパールは世界で最も国土に高低差がある国でほとんどが山岳地帯なのでコーヒーを栽培できるエリアは限られています。そうしたなか、BIKASのコーヒー豆を栽培しているハルパン村はヒマラヤエリアの西に位置し標高1200mに位置し、コーヒーを栽培するのにちょうど良い気候です。アグロフォレストリーで育つ上質なネパールコーヒの特徴は、あっさり、すっきりして飲みやすく、まるでほうじ茶のよう。ブラックコーヒーが苦手な人にもおすすめです。」

BIKAS COFFEEには「CREATING A FUTURE WHERE EVERYONE CAN DEVELOP ALL GLOBAL ACTION(すべてのヒトが社会に貢献できる経済社会をつくる)」というブランドビジョンがあります。

「コーヒーを通して、一人でも多くの人が世界を良くする活動に参加できる機会を増やしていきたいと考えています。日本と地理的に離れていたとしても、BIKASを通してネパールの人の暮らしを支える活動に関わることができる。その一つとして始めたのが、ネパールにコーヒーの森をつくる植樹プロジェクト「BIKAS COFFEE VILLAGE 」です。」

森と共生するオーガニック農法で育ったネパールコーヒー

BIKASの森
ハルパン村では森と共生するオーガニック農法と言われる「アグロフォレストリー」でコーヒー豆を栽培しています。現地の樹木を伐採して農園を作るのではなく民家の庭や空いている場所にコーヒーの木を植樹し、現地の生態系を壊すことがないよう、すでに生息している植物と共生する方法でコーヒーの木を育てていきます。

「農地を切り崩してコーヒーを作ったのでは、生物資源保護や土壌保護の観点から将来的に持続可能な農法とはいえません。ハルパン村では米が作れないため、村の人たちは自宅の庭で野菜を作っています。そこにコーヒーの木も加えコーヒー豆を栽培すれば副業として村の人たちの収入が増える。自宅の裏庭で育てるために管理もしやすく、サステナブルな農法といえます。

また、従来のフェアトレードは生産者側から消費者の顔が見えないという課題がありました。『BIKAS COFFEE VILLAGE』のプロジェクトでは、オーナーになるとコーヒーの木に名前をつけることができます。生産者はオーナーの名前を知ることで大切に育てたコーヒーを飲む相手に想いを馳せることができます。」

一杯のコーヒーから世界をより良く変えていける未来へ

菅さん
そもそも菅さんがネパールと関わることになったきっかけは、大学生になったら何か面白いことをしたい、誰かのためになるようなことをしたいという思いから。そうした活動で世界を変えたいと考えていたといいます。

「人は生きているだけで、社会になにかしら貢献しているはずです。そういう意味で『社会貢献』という言葉に対しては違和感があります。やりたいことを通して誰かを幸せにしたい。僕自身、そんな想いでネパールに足を運んでいました。そこでネパールコーヒーに出会い、その可能性に惹かれて今があります。

コーヒーという日常にあるものを起点に、好きなコーヒーを飲むことが結果的に社会にポジティブなインパクトを与えていくことにつながる。好きなモノ・コトの延長線上に世界をより良い場所にするアクションがある。そんな仕組みをBIKASで作っていきたいです。」

今後の展開として、2022年12月にはネパール最大の都市カトマンズに、江戸川橋に続く実店舗「BIKAS COFFEE KATHMANDU」をオープンする予定だという。

「カトマンズはネパール国内、唯一の世界への玄関口、世界中から共通の価値観を持ったヒトが集まる場所です。ネパールから世界へ。ここ東京・江戸川橋店とともに“BIKAS CAN BIKAS(BIKAS COFFEEが世界を発展させる)”を実現できる場になると期待しています。」

編集後記

日常にある好きなモノを手に取り、好きなことをして、それで世界がより良い場所になる。誰もが幸せを感じる持続可能な社会とは、それができる社会なのではないかと思います。

ネパールのハルパン村の森とともに育ったコーヒーが家に届く時まで、3年間生産者とともにコーヒーの木を見守っていく。コーヒーを飲む人、作る人、作り手を支援する人のすべてが、コーヒーを通して幸せを感じられる、BIKAS COFFEEはそんな場所ではないでしょうか。

コーヒーを通じてネパールとつながりたい、より良い世界を作っていきたいと思っている方は、ぜひ一度「BIKAS COFFEE VILLAGE」のプロジェクトのページをのぞいてみてください。遠く離れたネパールの地を感じることができるはずです。

(文・写真:わだみどり)

ネパールにコーヒーの森をつくるプロジェクト「BIKAS COFFEE VILLAGE 」の第2期支援者募集

BIKASプロジェクト

BIKAS COFFEEがオーナーの名前付きの木を植樹してネパールにコーヒーの森をつくるプロジェクト「BIKAS COFFEE VILLAGE 」の第2期支援者を5月1日から募集しています。

CAMPFIRE内プロジェクトページ:https://camp-fire.jp/projects/view/562837

昨年すでに150本の苗の植樹をおこなっている同プロジェクト。今回は「未来を描き続けられる社会の実現」をめざして400本の植樹を目標に掲げています。本プロジェクトで集まった資金は、東京に続く実店舗としてネパール・カトマンズに出店予定の「BIKAS COFFEE ネパール・カトマンズ店」の立ち上げにも運用されます。
(昨年実績:https://camp-fire.jp/projects/view/417645

【参考ページ】『BIKAS COFFEE VILLAGE』第2期植樹の支援者募集開始|CAMPFIRE
【参考サイト】BIKAS COFFEE

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Life Hugger 編集部

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