家庭の食品ロス削減にも効果あり?全国各地の銘品を試食できる試食専門店「メグダイ 代官山店」

ECサイトで食品を購入するライフスタイルが当たり前になった昨今。しかし、地方の気になる銘品をお取り寄せしてみたにも関わらず、「意外と好きな味ではなかった…」としがっかりした経験はないでしょうか。残念ながら、食べずに廃棄してしまったということも。試食して味がわかっていれば防げることでもありますよね。

こうした困りごとの解決につながる試食専門店「メグダイ 代官山店」が2021年12月1日(水)にオープンしました。店内にある食品すべてを自由に試食した上で購入できるというこのお店。一体どのようなお店なのか、取材してみました!

店内に置いてある食品をすべて無料で試食できる!

「メグダイ 代官山店」は渋谷駅と代官山駅の間にあるお店です。

店内には消臭器やコーヒーメーカーといったガジェット製品のほか、甘酒、生はちみつ、調味料、スイーツ、コンフィチュールなど、全国各地の知られざる銘品が多数並んでいます。食品は約30種がラインナップ。

並んでいる食品はいずれも、全国各地から探し出した味に絶対的な自信を持った企業や農家、個人事業主が手掛けているもの。「お肉専用スパイス」や「燻製調味料」、「塩で食べるガトーショコラ」など、スーパーやコンビニでは手に入らないものばかりです。

これらの食品は、店頭に置かれているそれぞれの試食カードを店員さんに渡すことですべて試食することができます。試食代はもちろん無料。

お客さんは気になる食品を実際に試食して味を納得した上で、お店で商品を購入することができます。また試食カードに書いてあるQRコードを読み取ると、それぞれの公式サイトやECショップにアクセスができるので、そこでも購入ができるようになっています。

作り手として商品にこだわりがあるからこそ売りにくい現状

同店を手がける株式会社メグダイの代表、関川惠大さんに詳しくお話を伺いました。関川さんによると、味に自信を持っているが故になかなか市場で売ることが難しい農家や生産者、企業の悩みを解決したい想いがあるそうです。

「いずれも味にこだわりや自信のある生産者さんや事業主の方ばかりなのですが、だからこそ売り方がよくわからないというケースが少なくありません。ECサイトやホームページは立ち上げているけれども、食品は写真や文章だけでは魅力が伝わりにくい商材でもあるため、順調に売上を伸ばせていない。しっかりお客さんに商品の味や存在を知ってもらった上で食べてほしいという生産者さんや事業主の方の想いと、商品を買うお客さんを繋げるために、このお店を始めました」(関川さん)

関川さんによると、スーパーやアンテナショップに食品を卸そうとすると棚貸しとなって手数料が取られてしまうので、長期的な契約が難しい側面もあるそうです。「大型店に自社の商品を置いてもらうための営業アプローチがわからない」という声も。

また職人気質でモノづくりに長けているからこそ、「薄利多売でただたくさん売って儲けたいのではなく、本当においしいと思ってもらった上で買ってもらいたい」というこだわりがある方も少なくないそうです。

固定費だけいただいて商品の売上は全額生産者へ

こうした悩みを抱える農家や企業と消費者のかけ橋になるべく、「メグダイ 代官山店」では試食のほかにさまざまなアプローチを行っています。

まず、お店にただ商品を置くのではなく、知名度アップのためにSNSで告知を実施。また商品の説明やお客さんが興味を抱きやすいネーミングなども手掛けます。

関川さんは「どんなにいい商品でも、お店に置くだけで売れるわけではありません。そこには知名度や広告が必要ですし、1回で大きなインパクトを与えて購買意欲に繋げるためには実際に食べてもらうことが大事だと思っています」と話します。

本当においしい食品の味を知った上で買ってほしい。その想いを実現するべく、「メグダイ 代官山店」では商品を託す農家や企業から月々の固定費(3.3万円~8.8万円)だけをいただいています。そして同店で売れた商品の売上は全額作り手へ還元。

「それぞれの作り手が、うちで小売店を出しているイメージです。我々としては、作り手側に立ちすぎると『これはとてもおいしいので是非買ってください!』と、押し売りになってしまうのでやりません。あくまでフラットな立場で、作り手と買い手を繋ぐ立場でいたい。そして味に納得すればリピーターになり、良い口コミが広がり、新しいお客さんも増える。お客さんとしても味に納得して買うので、食品ロス削減にも繋がります。作り手にとっても買い手にとってもいいこと尽くめだと思います」(関川さん)

今後は日本の隠れた銘品や伝統工芸品を海外に展開する構想も

今後の予定としては毎月5社ほど出店数を増やしていくとのこと。 また海外企業の誘致や、インフルエンサーや専門店とのコラボなど、さまざまな展開を構想中です。

「ゆくゆくは中国とオーストラリアに輸出拠点を置き、日本の知られざる食材や伝統工芸品を海外に展開したいと考えています。作り手の方々とお話しすると、みなさん『世界に売りたい』と考えているので、その手助けをしたいですね。作り手のみなさんには、うちを卒業した後に、自分たちで売り先や輸出先を見つけていってもらうことが理想です。作りたいものにこだわって、作り続けるための商売を軌道に乗せてもらうきっかけになれたらと思います」(関川さん)

“試食専門店”と聞くと、試食と引き換えに押し売りしてくるお店をイメージしてしまいますが、同店はあくまでも作り手と買い手をフラットに繋げてくれる存在。実際に同店に足を運んだお客さんは、8~10種類ほどの食品を試食した上で商品を購入する方が多いそうです。

筆者も試食をして、食べたことのない味わいに感動した燻製調味料と甘酒を購入しました! 

作り手と買い手の新たな出会いを生み出してくれる「メグダイ 代官山店」。食品ロス削減にもつながる試食専門店に、みなさんも足を運んでみてはいかがでしょうか。

【参照サイト】メグダイ 公式ホームページ

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Life Hugger 編集部

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