家庭菜園でも可能!自然栽培野菜宅配「ベジモ」の土づくり体験レポート

ベジモ

私たちの食卓に欠かせない新鮮な野菜。しかしその多くは、化学肥料や農薬で育てられ、遠くの産地から運ばれてきます。生態系を破壊しない食料生産の方法へと舵を切ることが求められている今、注目を集めているのが「自然栽培」などの環境再生型農業(リジェネラティブ農業)です。

「自然栽培は、実践すると楽しく、気持ちが良いです。作る人にも地球にも食べる人にもやさしく、育てた野菜はおいしい。欠点は1つもありません。」

こう話すのは、自然栽培にこだわり野菜を生産し販売する「VEGIMO(ベジモ)」の代表取締役、小林寛利さんです。ベジモは、「ベジタブルもっと!」という理念のもと、有機野菜を広めることを目的に立ち上げられました。

ベジモ

ベジモの代表取締役 小林寛利さん

ベジモは、地域密着型の自然栽培野菜の宅配をおこなっています。注文をすると、できるだけ近い畑から、収穫した翌日に採れたての野菜が届きます。また、注文した野菜を畑に直接取りに行くことも可能です。さらに、通常は鮮度維持のため野菜は個包装されていますが、必要ないという場合には、新聞紙などの簡易包装で発送し、不必要なチラシを配布しないなど、環境にも配慮されています。

世界を変えられる可能性を秘める自然栽培とは? 自然栽培の概要とその重要性について、ベジモパートナーの畑の一つがある、愛媛県松野町「森の国」を訪れ、小林さんにお話を伺いました。

自然栽培と農業は違う

ベジモ

自然栽培で育てられたルッコラは、甘くておいしい。

自然栽培は、農薬や化学肥料、そして肥料も極力使用しない(外から持ち込まない)持続可能な農法です。

自然栽培では、土壌内の微生物が野菜を育てるための重要な役割を果たします。微生物が土の中の有機物を分解し、その過程で植物に必要な栄養を作り出します。

「自然栽培と慣行農業(※)は、まるで別の仕事のように異なります。」と、小林さん。
※慣行農業とは、農薬や肥料などを使った一般的な栽培方法。

自然栽培では、微生物の数と種類を増やすため、あえて農薬を使用しません。多様な微生物が多様な栄養素を作り出すため、野菜の味に深みがあります。

愛媛県松野町「森の国」で自然栽培を体験!

今回は、愛媛県で1番小さな町の松野町、通称「森の国」で、実際に自然栽培を体験しました。

「森の国」は、面積の84%を森林が占め、日本一の清流である四万十川の源流を形成しています。

また、滑床(なめとこ)渓谷では、そのまま手ですくって水が飲めるほどきれいな、硬度6の超軟水が流れています。硬度の数値が一桁の軟水は日本国内でも珍しく「奇跡の軟水」と呼ばれています。
※硬度とは、水1Lあたりのカルシウムやマグネシウムの含有量で、少ないほど飲みやすくなります。

この地域ではこの「奇跡の軟水」を守るため、小林さんの指導のもと、自然栽培を取り入れる農家が増えています。

自然栽培の畑は、生き物の宝庫!

ベジモ

自然栽培を実践している畑では、雑草や虫も共存しています。

畑を見渡すと、自然と調和して育つ野菜と、生物多様性の豊かさが目に飛び込んできました。多種多様な生き物が共存し、それぞれが生態系の重要な役割を果たしているのが伝わってきます。

化学肥料や農薬を一切使わず、自然の恵みと微生物の力を借りて育てられた野菜たちは、生命力に満ちあふれています。

木片と落ち葉を使った「自然栽培の土づくり」

自然栽培では、「土づくり」のプロセスを重視します。今回は、木片と落ち葉を利用して、約3ヶ月で完成する方法を教えてもらいました。

ベジモ

①自然栽培の土づくりを体験。まず、深く穴を掘ります。

ベジモ

 ②そこに、木片を埋めてから土をかぶせ、最後に落ち葉をのせます。

ベジモ

 ③微生物が木片や落ち葉を分解し、植物に必要な栄養を生成します。

土が乾燥しないように、微生物が活発に活動する湿度の60%前後に保ちます。このプロセスを経て、約3ヶ月で自然栽培に適した土が完成します。

ベジモ

④完成した土は、柔らかくふっくらとしています。ここへ直接野菜を植えます。

「自然栽培は土づくりさえすれば、その後は手間がかかりません。大きな畑でなければ、家庭菜園にも適しています。農薬やトラクターを使用せず、高齢者も含めて多くの人々に実践してもらえる方法です。」と小林さん。

自然栽培の土づくりは、特別な道具や材料が不要なため、家庭菜園でも簡単に試してみることができそうでした。

自然栽培を広げたい

ベジモ

自然栽培の楽しさを伝える小林さん(中央)。

小林さんは、自然栽培野菜の宅配サービスに加えて、市民向けに自然栽培の方法を教えるスクールの開講などを通じて、自然栽培の普及に積極的に取り組んでいます。

また、生産者と消費者との距離を縮めるため、宅配ではなく、直接野菜を取りに来てもらえるよう、全国各地に畑を拡大したり、加工品の企画販売や農福連携にも取り組んでいます。

「自然栽培を通じて自然に触れることは、精神面の安定をはじめ、さまざまな良い効果があります。私自身、自然栽培を始めてから、自然から学ぶことが非常に多いことを実感しています。農家の人たちだけでなく、普段農業をしない人たちにも自然栽培を知ってもらいたい。多くの人に自然栽培を体験してもらったり、野菜のおいしさを感じてもらいたい。自然栽培が多くの人々にとって当たり前に存在する選択肢になれば嬉しいです。」と語りました。

編集後記

化学肥料や農薬を使用せず、自然の力と微生物を活用して栽培された野菜たちは、それぞれの色が鮮やかで、生き生きとしたエネルギーを感じました。また、食べてみると、味が濃く、そのおいしさにも驚きました。

今回の体験を通じて、自然との調和の中で育つ食物の大切さ、そして農業が地球の生態系に与える影響の大きさを改めて実感しました。

自然栽培は、単に野菜を育てる方法だけではなく、地球のバランスを保ち、自然を守る行動でした。私たち消費者の野菜の選び方や、家庭菜園に自然栽培を取り入れることなどが、豊かな自然を未来に引き継ぐための重要な鍵となりそうです。

【参照サイト】ベジモ|自然栽培された無農薬野菜を新鮮なまま全国へお届け
【参照サイト】【公式】森の国 Valley
【関連ページ】【旅レポートin愛媛】松野町にある「森の国」で自然農を体験して、心と地球を癒す旅へ

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Life Hugger 編集部

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