日本発フードテックベンチャーのネクストミーツ株式会社が2021年10月18日、焼肉用代替肉「NEXTカルビ2.0」を新発売しました。世界初の焼肉用代替肉として大きな話題を呼んだ「NEXT焼肉」シリーズの最新作となる本品。制作過程や味わいについて、10月18日に行われたメディア先行試食会を取材しました。
ネクストミーツ株式会社は、「地球を終わらせない。」を理念として掲げている2020年6月設立のフードテックベンチャー。過剰な食肉の畜産によってもたらされる温室効果ガスの排出に危機感を覚え、環境負荷を少しでも減らす代替肉商品の開発や製造を行っています。
気候変動問題や地球環境の今後を考えた事業を展開している同社は、これまでに焼肉用フェイクミート「NEXT焼肉」シリーズや100%植物性の牛丼「NEXT牛丼」、鶏肉タイプの代替肉「NEXTチキン」、100%植物性の代替シーフード「NEXTツナ」など様々な代替肉を販売してきました。今年3月には世界のVegTech企業21に、日本企業として唯一選出された注目の企業です。
2022年夏には新潟県長岡市に代替肉専門工場「Next Factory」を建設予定。環境保全やエネルギーに配慮した設備のもと、最先端の食品工場として稼働していくそうです。併設される自社のR&Dセンター「NEXT Lab」では、日本初となる代替肉専用の研究開発から生産ラインまでを備えます。これによって今後は生産量の増大やコストカットによる価格見直しなどが図られ、持続的な代替肉の供給を可能にしていく見通しになっています。
1年の時を経てバージョンアップした「NEXT焼肉」シリーズ
そんな同社がこのたび満を持して発売したのが、「NEXT焼肉」シリーズの最新作である焼肉用代替肉「NEXTカルビ2.0」です。前作「NEXTカルビ1.1」を1年ぶりにリニューアル。前作に比べて肉としての食感を大幅に向上させたそう。
同社取締役会長の白井良さんによると、この「NEXTカルビ2.0」は、理想の食感を出すために試行錯誤を重ね、たんぱく質の含有量を5%増やし、製造時の熱や水蒸気、圧力といった変数をすべて変更するなどしてよりリアルな牛肉の食感を実現したとのこと。
また代替肉は製造工程でどうしても崩れてしまうため、お肉のような塊としての大きさを保つことが非常に困難なんだとか。その課題を克服するため、たんぱく質含有量の増加などによって結着性を改良。お肉らしい大きさとサイズ感にしたことで、見た目にもさらにお肉に近づきました。
さらに大豆臭を消すためにさまざまな食材を試して味付けを考案。「できるだけ安全で体にいい素材を使って代替肉を覆うことで、大豆臭を消してお肉らしい味わいに近づけた」と白井さんは自信を持って語りました。
「NEXTカルビ2.0」を試食した感想は?
試食会では実際に焼き立ての「NEXTカルビ2.0」を試食させてもらいました。見た目は完全に焼肉です。見た目だけでなく、色、形、におい、箸で持った感触すべてがお肉!一口食べてみると、ほどよい弾力とジューシーな味わいで、代替肉と言われても疑ってしまいそうなレベルです。モグモグと噛んでいくと、お肉特有の繊維質のような食感もあり、とてもリアルな食感。
味は、ギュギュっと旨味が閉じ込められていてとても美味しいです。お肉に加えて、甘じょっぱいタレがお肉の旨味をさらに引き立てていました。植物性食材でできているため、胃にもたれる感じもなく、本当のお肉よりも消化によさそうだと感じました。
代替肉と言うと、こんにゃくのようにぐにゃぐにゃとしていたり、大豆のパサパサ感が感じられたりするものも少なくありません。しかしこの「NEXTカルビ2.0」は見た目も香りも味も食感もすべてが本物の肉に酷似しており、今まで食べた代替肉の中でもかなり美味しいと感じました。
ちなみに前作「NEXTカルビ1.1」とも食べ比べてみましたが、「NEXTカルビ2.0」のほうが食感も肉らしい風味があります。もちろん「NEXTカルビ1.1」も十分に美味しいのですが、「NEXTカルビ2.0」はさらにリアルな肉感が楽しめました。
「将来、お肉が食べられなくなる」という絶望ではない
「NEXTカルビ2.0」は自社公式オンラインショップで発売中。1パック390円。賞味期限は冷凍で1年間となっています。調理の仕方は冷凍のパッケージを自然解凍した後、そのままフライパンや網で焦げ目がしっかり付くまで焼くだけ。焼肉としてだけでなく、炒め物やお好み焼きなどさまざまな料理に使うことができます。
同社代表取締役社長の佐々木英之さんによると、「NEXTカルビ2.0」を美味しく食べるコツは焼くときにしっかり焼き目をつけること。そうすることで見た目もより本当の焼肉に近づきます。
同社の代替肉は自社公式オンラインショップでの発売のほか、全国のイトーヨーカドーや焼肉店「焼肉ライク」などでも取り扱いが始まっています。
また代替肉の浸透に向け、ミシュラン一つ星にも選ばれた「sio(シオ)」のオーナーシェフ鳥羽周作氏とのコラボ商品やレシピ開発、シンガポールで『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』とのコラボカレーを発売するなど、さまざまなコンテンツとのコラボを展開しています。
今回、最新の代替肉を試食してみて感じたことは、代替肉のクオリティがここまで来ていることへの驚きです。そしてその驚きと同時に、この美味しさが楽しめるなら将来畜産がなくなっても不安がなさそうという安心感も覚えました。
「牛肉が食べられない未来なんて絶対に嫌だ」と思っている人も「NEXTカルビ2.0」を一度食べてみると、その考えに少し変化が起きるのではないでしょうか。代替肉は、牛肉や豚肉が食べられなくなる未来への絶望ではなく、地球環境に負荷を与えずにお肉と同じ満足感が得られるという未来への希望であると再認識しました。
【参照サイト】ネクストミーツ株式会社
【参照サイト】ネクストミーツ公式オンラインショップ
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