フードドライブとは、主に家庭にある余剰食品を回収して、フードバンクや地域の福祉施設などに寄付する社会福祉活動です。1967年にアメリカのアリゾナ州では、食品ロス削減を目的としたフードバンクを設立し、活動を開始しました。1984年にはフランス、1994年にはポーランドのワルシャワでフードドライブを支援する、フードバンクが設立されています。日本におけるフードドライブの歴史はまだまだ浅いものですが、2013年に設立された日本フードバンク連盟を中心に、さまざまな自治体や企業、また個人がフードドライブに取り組み始めています。
フードドライブのメリット
フードドライブは受給者・企業・行政それぞれに良い影響を与える取り組みです。受給者は食の楽しみを感じられるようになり、福祉施設や団体は食費を浮かせて、予算をしかるべき活動に活かすことができます。
また、食品製造会社などの企業はフードドライブを実施することで廃棄コストを削減でき、社会貢献活動を対外的にアピールすることができるのです。食品ロスの削減を目指す自治体がフードドライブで食品廃棄物を抑制できれば、環境負荷低減効果を期待できます。また、生活困窮者や生活保護受給者に食料を提供することで福祉予算を抑制でき、財政負担の低減につながります。
フードバンクとの違い
「食料銀行」を意味するフードバンクは、農家や企業、個人宅から、まだ食べられるにも関わらず、さまざまな理由で廃棄されそうな食べ物を引き取って、必要とする人に届けている団体です。企業も参画している点が、フードドライブとの大きな違いです。
日本国内にはさまざまなフードバンクが存在しますが、2002年に設立されたセカンドハーベスト・ジャパン認定NPO法人は日本初のフードバンクであり、2013年には日本フードバンク連盟を設立している、いわば中心的存在です。同団体は、食べ物に困っている人へ食料を届けるフードセーフティネットの構築や、提供者・受給者ともに利用しやすくなるフードライフラインの強化を目指しています。
もうひとつ、食料の輸送費・交通費の負担元は、フードバンクとフードドライブで大きく異なります。前者は基本的に農林水産省が負担していますが、後者は寄付者が自己負担しています。
寄付の対象となる食品
フードドライブに取り組む自治体や団体によって、寄付を受けつけている食品は異なります。一般的に、歓迎される食品は以下の通りです。
- 米
- 缶詰
- 乾物(うどん、パスタ、蕎麦など)
- インスタント食品(カップラーメン、レトルトカレーなど)
- 調味料
- お菓子
- 乳児用食品(粉ミルク、離乳食など)
- フリーズドライ食品
反対に、断られやすい食品もあります。
- 生鮮食品
- 冷蔵・冷凍食品
- 瓶詰の食品(配達中に破損する恐れがあるため)
- 開封されたもの
- 賞味期限が切れているもの、または間近なもの
- 破損しているもの
フードドライブの取り組み事例
フードドライブはさまざまな企業や自治体が取り組んでいますが、そのなかでも代表的な事例を紹介します。
ファミリーマート
コンビニエンスストアのファミリーマートでは、「ファミマフードドライブ」と称して、全国の特定店舗で手つかずの食品を受けつけています。店舗内に専用ボックスを設置していて、参加者は缶詰ひとつから気軽に寄付することが可能です。寄付された食品は協力パートナーを経由して、生活困窮者に届けられます。
杉並区
東京都杉並区では、令和2年からフードドライブを実施。1年で6,542個もの食品が提供され、それらは子ども食堂や社会福祉協議会に寄付されました。令和3年も家庭で使いきれない食品の常時受付窓口を設置し、寄付を受け付けています。
ダイエー
全国にスーパーマーケットを展開するダイエーでは、令和3年6月現在、161店舗でフードドライブを実施しており、2021年度中に全店舗での実施を目指しています。店内に専用の回収ボックスを設置し、店頭ポスターや館内での放送を通じて食料品の提供協力を呼びかけ、集まった食料品はフードバンク活動を実施している団体へ寄贈しています。
ここで紹介したもの以外にも、さまざまな自治体がフードドライブを実施しています。意外と身近なところで実施されているフードドライブに、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
【参照サイト】海外におけるフードバンク活動の実態及び歴史的・社会的背景等に関する調査
【参照サイト】ファミリーマート フードドライブ
【参照サイト】杉並区 フードドライブ
【参照サイト】ダイエー フードドライブ