2025年7月29日、東京・永田町のザ・キャピトルホテル 東急にて、プレス関係者を招いた懇親会「食のキャピトル、サステナブル ~未来へつなぐ一皿を~」が開催されました。同ホテルでは2022年から一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会(SRAジャパン)と連携し、「サステナブル テーブル」シリーズとして食に関するサステナブルな取り組みを継続的に発信しています。
今回開業15周年を迎えるタイミングで「15年目の挑戦──変わらぬおいしさ、進化する食のかたち」をテーマに特別な懇親会として開催されました。当日提供された特別コースには、SRAジャパン主催の「未来のレシピコンテスト」で最優秀賞を受賞した創作料理も含まれ、ホテルの15年間の歩みと今後への展望を表現した内容となりました。
ホテル全体で取り組むサステナブルな食の実践
この日の懇親会では、ザ・キャピトルホテル 東急が日常的に実践しているサステナブルな取り組みが紹介されました。ホテル内の3つのレストランそれぞれが独自のアプローチで環境や社会への配慮を実現しています。

未来のレシピコンテストで最優秀賞を受賞した「玄米入り南瓜茶碗蒸し生雲丹のせ」
日本料理「水簾(すいれん)」では、食材のロスの観点から端材を活用したお漬物を提供。和食の伝統をベースに、全ての人が楽しめるメニューの開発にも注力しています。グルテンフリー対応の調味料の使用など、多様な食事制限に配慮した取り組みも進めています。
中国料理「星ヶ岡(ほしがおか)」では、フェアトレード認証を受けたバナナを使用した中華菓子を提供。2〜3ヶ月ごとに全国各地の食材を活用した地域食材フェアを定期開催し、生産者との直接交流を通じて食材の背景理解を深めています。
オールデイダイニング「ORIGAMI」は、他の2つのレストランに先駆け、2022年にSRAジャパンに加盟。ヴィーガン・ベジタリアン対応メニューを10種類以上展開し、北海道産の環境に配慮した放牧飼育の鶏の卵や、牧草のみで育てた乳牛の新鮮なミルクから作られるグラスフェッドバターを採用するなどの取り組みを行なっています。
こうした日常的な取り組みの成果として、SRAジャパン主催の30歳以下の若手シェフや調理師専門学校等を対象とした「未来のレシピコンテスト」では、2023年度にザ・キャピトルホテル 東急所属のシェフが最優秀賞を受賞しています。
ザ・キャピトルホテル 東急の食についての取り組みは公式ページにも掲載されています。https://www.tokyuhotels.co.jp/capitol-h/128277/index.html
サステナブルな食材による特別コース

懇親会では、総料理長の曽我部俊典氏を中心に、各レストランシェフと日本サステイナブル・レストラン協会プロジェクトアドバイザーシェフの杉浦仁志氏がコラボレーションし、サステナビリティに配慮された特別コースが提供されました。各料理には、食品ロス削減や環境配慮の工夫が込められています。
アミューズ:ヴィーガンスパイスタルト & ホワイトアスパラガスのムースとトマトのエスプーマ

有機野菜を使用したヴィーガンスパイスタルト(杉浦シェフ)とホワイトアスパラガスのムース(曽我部総料理長)。タルト生地にも動物性食材を使わず、通常廃棄されがちなアスパラガスの下部を活用。ゼラチンの代わりに寒天を使用してヴィーガンに対応している。
コンテスト作品:コンテスト作品:玄米入り南瓜茶碗蒸し 生雲丹のせ、未利用魚を使用した香草バター焼き みかん風味のグラスフェッドバターソース/ 江田和牛と本日野菜のプティボヌールスープ/ 博多地鶏の辛子炒め 油条添え

玄米入り南瓜茶碗蒸し 生雲丹のせ(ORIGAMI)、博多地鶏の辛子炒め 油条添え(星ヶ岡)、未利用魚を使用した香草バター焼き みかん風味のグラスフェッドバターソース(ORIGAMI)、江田和牛と本日野菜のプティボヌールスープ(曽我部総料理長)。
オードブル:白寿真鯛のカルパッチョ

愛媛県の次世代型養殖で育てられた白寿真鯛を使用。植物由来の餌を使い、環境負荷を軽減しながら250種類の餌で官能評価を重ねて最適化した美味しさを表現。
メインディッシュ:江田和牛サーロインの低温調理 出汁昆布パウダーのアクセント

動物福祉に配慮した飼育方法で育てられた江田和牛サーロインを低温調理。出汁昆布パウダーで和のテイストを表現し、グルテンフリー醤油とてんさい糖を使用して多様な食事制限に配慮している。
デザート:デクリネゾン マイス

北海道の環境配慮型農場で放牧飼育された乳牛の新鮮なミルクから作られたバターと卵を使用したとうもろこしのムース。中心にはジュニパーベリーのアイスクリーム。
プティフール:オランジェット・クラムクッキー

厨房で出たスポンジケーキの端材を再活用したプティフール。柑橘の皮も活用したオランジェットと合わせて、最後まで食材を大切にする姿勢を表している。
パン:ホテルベーカリーのパン2種類(フォンデュ・ソフトカンパーニュ)

国産有機小麦を使用し、長時間発酵で小麦の甘さと香りを最大限に引き出した2種類のパン。有機小麦のもっちりとした食感と、食べきれない場合は持ち帰りも可能。グラスフェッドバターを添えて。
ラグジュアリーとサステナブルの両立を目指して
イベント後半では、東急ホテルズ、ザ・キャピトルホテル 東急 総料理長の曽我部俊典氏、一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事の下田屋毅氏、同協会プロジェクトアドバイザーシェフの杉浦仁志氏による対談が行われました。「ラグジュアリーとサステナブルは両立できるか」をテーマに、それぞれの立場から活発な議論が交わされました。

左から、一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事 下田屋毅氏、東急ホテルズ総料理長 曽我部俊典氏、一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会プロジェクトアドバイザーシェフの杉浦仁志氏
曽我部総料理長は、ザ・キャピトルホテル 東急の食の根底にある、「不易流行」の考え方について語りました。
「私たちは伝統を守ることと変化を受け入れること、どちらも大切にしています。変えない部分と、変えていくべき部分を見極める目が必要です。ラグジュアリーホテルとして、単に贅沢な料理を出すのではなく、この料理を選ぶことで社会とつながれるという設計ができれば、意味が生まれると考えています」
また杉浦氏は、料理人の立場から、制約がもたらす創造性と、こうした取り組みを継続することの大切さを強調しました。
「制約こそが創造の源なんです。使い切らなければならない、残せない、アレルゲンに配慮しなければならないという条件の中で、どうしたら驚きや楽しさを届けられるかを考えることに料理人の腕がかかっています。ザ・キャピトルホテル 東急が素晴らしいのは、この取り組みを一過性のイベントではなく、日常のサービスに組み込んで継続していることです」
下田屋氏は、世界のサステナブル動向と日本の現状について説明した後、私たち一人ひとりにとって必要な視点、姿勢について言及しました。
「グローバル企業では社会課題への貢献意識が高く、実際のビジネスに反映されています。日本では段階的なアプローチが必要で、知識の蓄積から活動の共有、自分事化、そして社会の常識化という流れが大切です」
トークセッションの最後は、ホテルの食のこれからについて、「料理は特別な体験であると同時に、日常の延長でもあります。その中間にある選択肢を、ホテルという場だからこそ丁寧に届けていきたいと思います」という、曽我部総料理長の言葉で締め括られました。
ザ・キャピトルホテル 東急が目指すサステナビリティ
ザ・キャピトルホテル 東急のレストランでは、SRAジャパンが推進するグローバルスタンダードにも取り組み、継続的な改善を進めています。一方、ホテル全体では「地球にやさしいホテル・まちにやさしいホテル・ひとにやさしいホテル」という3つのサステナビリティ(目指す姿)を掲げ、木製カードキーの導入、再生素材を使った客室アメニティ、テーブル装花の再利用、プラスチック削減など、宿泊から食事まで一貫した取り組みを展開しています。
当日の会場入り口では、こうした食以外でのサステナブルな工夫が展示で紹介され、料理だけでなく空間全体で、サステナビリティに対するホテルからのメッセージを感じ取ることができました。

会場入り口に設置された展示では、ホテルの木製カードキーや再生素材を使用した客室アメニティなど、食以外でのサステナブルな取り組みが紹介されていた。
10月の開業15周年記念月には、中国料理「星ヶ岡」での北京ダッグのオーダーバイキング(平日限定)をはじめとする特別企画が予定されています。また、秋には未来のレシピコンテスト作品を一般客向けに提供する計画もあります。11月には、同ホテルが、日本サステイナブル・レストラン協会主催の「FOOD MADE GOOD Japanアワード」の会場になる他、サステナブルをテーマにしたディナーイベントも実施される予定です。
ホテルを利用するゲストは、環境への負荷が気になるものの、非日常の空間への期待を手放すことは難しいものです。今回のイベントを通じて見えてきたのは、ザ・キャピトルホテル 東急がレストランから客室まで、宿泊体験全体でサステナブルな選択肢を提供していることでした。
ラグジュアリーホテルとしてのサービス品質を保ちながら環境や社会への配慮を実践する同ホテルの取り組みは、1つのモデルケースとして注目されるのではないでしょうか。
(取材:和田みどり)
【関連ページ】人と地球のウェルビーイングにつながる一皿とは?持続可能な美食の探求「サステナブル テーブル 最終章」
【関連ページ】多様な食文化」とは、選択肢を持つこと。ヴィーガンシェフが考える、ソーシャルフードガストロノミーとは?【FOOD MADE GOOD#3】
【参照サイト】日本サステイナブル・レストラン協会(SRA-J)
【参照サイト】ザ・キャピトルホテル 東急|溜池山王駅直結 東京・赤坂


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