都市の中のオアシス、皇居外苑。緑が多く、噴水が象徴的な公園の中に、新たな「日本初」の称号を持つスターバックス店舗が登場した。2021年12月1日にオープンした、スターバックスコーヒー皇居外苑 和田倉噴水公園店だ。
皇居外苑 和田倉噴水公園店は、サステナビリティの実験拠点として、CO2排出、水使用、ごみを徹底的に減らすことを目指した環境配慮型店舗「グリーナーストア」の、日本第1号店である。
グリーナーストアとは、スターバックスが世界自然保護基金(WWF)と共同で策定した国際認証「Greener Stores Framework」を取得した店舗で、以下の8つの環境基準をクリアする必要がある。アジアでは2021年9月にオープンした上海の店舗に続き、今回が2店舗目だ。
実際に店舗を訪れると、心地よい光が差し込んでくる。椅子やテーブルなどは国産材100%で作られており、長い間修理しながら使い続けることが想定されている。また、天井から下がる照明には和紙やリサイクルガラスを使い、手作り感のある雰囲気となっている。
一部の床には、コーヒーの豆かすを練り込み、CO2を吸収することで固まる新素材で作られたタイルが敷かれている。スターバックスによると、タイル1枚あたり、315gのCO2を吸収しているという。出店工事の際に店舗から出た廃棄物の約85%は、鉄や紙の原材料としてマテリアルリサイクルされた。
この店舗では、特に食品ロスの削減にも熱心だ。注文は、デジタルサイネージに表示されたメニューを見て行う。商品をケースに陳列せず、実際に提供するときまでは保存しておけるため、賞味期限切れによるロスを減らすのである。また、使い捨てのカップをできるだけ出さないために、持ち帰り時は繰り返し使えるカップを使用することで通常価格から割引される、というインセンティブを設けている。
スターバックスでは、国内すべての路面直営店舗において、再生可能エネルギーへの切り替えが完了している。皇居外苑 和田倉噴水公園店の屋根にも、ソーラーパネルが取り付けられていた。
さらにこの店舗では、自律分散型水循環システムを開発するWOTA株式会社と協業したクリーンステーション(手洗い場)を店舗内にスターバックスとして初めて導入し、手洗い時に使用する水の98%以上を循環利用している。「Greener Stores Framework」の基準を満たすことにより、従来の店舗に比べ、CO2排出量約30%、水の使用量約20%の削減を実現したのだ。
本プロジェクトのマネージャーである柳和宏氏は、今回の店舗オープンにあたり「北米での基準を、日本に当てはめることが課題だった。空調のシステムの違いや、消費者意識の違いも感じられた。この店舗でのサステナビリティ実験が、次の店舗以降の足掛かりになれば」と述べる。
現状、持ち帰り時のフラペチーノに関しては繰り返し使えるカップの対象外で、希望されれば他のドリンクでも使い捨てのカップで提供できるため、完全にゼロウェイストと言い切ることはできない。
しかしそこも含めて、皇居外苑 和田倉噴水公園店は、どれだけ消費者の快適な体験を損なわずにごみを減らせるかを実験していく店舗といえるだろう。細かなこだわりが詰まった店舗を、ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」からの転載記事となります。
【参照サイト】リソースポジティブカンパニー実現への戦略店舗「スターバックス コーヒー 皇居外苑 和田倉噴水公園店」 12月1日(水)オープン
【関連記事】スターバックス、サーキュラーエコノミー型店舗を上海にオープン
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