CSA(Community Supported Agriculture)zとは、消費者が農家と事前契約を結んで代金を前払いし、定期的に作物を受け取る「地域支援型農業」です。半年や1年の定期契約を結んだ生産者は安定した収入を確保でき、経営を維持することができます。天候不順による不作の年でも、消費者と生産者が経営リスクを分け合う、対等な関係を築けるのもCSAの特徴です。
一方の消費者は、顔見知りの生産者から、安全かつ新鮮な野菜を定期的に得ることができます。CSAは消費者が出荷所まで作物を引き取りにいくスタイルが基本です。また、農業体験の場を提供して消費者とのコミュニケーションを図る農家も多いことから、CSAは消費者参加型の農業として期待されています。
CSAの起源と動向
CSAの起源は、1986年にアメリカのマサチューセッツ州に誕生した2つの農場にあるといわれています。環境保護活動の一環として保護対象地をCSA用地に指定しているアメリカで広く浸透しました。2007年の農業調査では、12,549 の農場がCSAを通じて農産物の販売を行っていると報告しています。
世界的に見ると、イギリス、ドイツ、イタリアといったヨーロッパ諸国、カナダやブラジルなど、30 か国以上でCSAが展開されています。他にも、スイスのACPや、フランスのAMAP(アマップ)など、CSAに相当する活動も少なくありません。最近では、新型コロナウィルスの感染拡大による健康志向の高まりや、環境保護の観点から、持続可能な農業に取り組む生産者を支えるために、CSAで野菜や果物を購入する消費者が増えています。
日本のCSAの現状と課題
日本におけるCSAは、1970年代に始まった「産消提携」の有機農業運動が先駆けといわれています。CSAという言葉自体は、平成11年(1999年)版「環境白書」に紹介されましたが、現在も深く浸透しているとは言えません。その理由として、日本にはアメリカやスイス、フランスには存在する、CSAの支援組織の不在が挙げられます。また、消費者・生産者、双方の契約や認証が自己責任となることに、不安を抱く消費者は少なくありません。
その一方で、最近では、都市部の消費者が参加できるようなCSAの取り組みや、クラウドファンディングで支援者を募る農家も増えてきています。
神戸の有機農家グループBIO CREATORS(ビオクリエーターズ)が提案するCSAは、有機野菜が当たり前に食卓に並ぶ社会を目指して、有機農家を応援する野菜の購入方法”CSA FARM-SHARECSA FARM-SHARE”を提案。参加者は、野菜の作付け費用として数ヶ月~1年間の野菜代金を農家に先払いし、育った野菜を後から受け取っていただくという仕組みです。
また、東京・表参道の青山ファーマーズマーケットでは、家家庭用コンポストでできた堆肥を近所の農家に利用してもらい、堆肥を使って作った農作物を消費者が購入することで農家を支えるという、都市ならではの新しい形のCSAの取り組みも始まっている。
【参照サイト】農業・食品産業技術総合研究機構 CSA(地域支援型農業)導入の手引き
【参照サイト】農林中金総合研究所 事例調査にみるCSAと農業・農村の機能・価値との 関係性
【関連サイト】「ELEMINIST」コラボ企画。都市ならではの循環生活を考える【Urban Circulars特集 #0】
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