1912年創業のカンロ株式会社は、優しいミルクを味わえる飴「金のミルクキャンディ」や、ちょっとお腹が空いたときにうれしい「ピュレグミ」など、多くのヒット商品を手がけています。なかでも1955年に発売された「カンロ飴」は、発売から60年以上経った今でも、日本中の人々に愛されているキャンディです。
このたび、カンロはこれまでとは全く違う、さらなる価値の創造をめざして、「フューチャーデザイン事業」を発足。「サステナブル」と「Well-being(ウェルビーイング)」の2つの観点から、カンロの将来につながる事業を推進していくことを発表しました。
カンロはこれまでも、飴の製造過程でやむを得ず出てしまう、割れたり気泡が入り込んだりした規格外の廃棄飴を、飼料や肥料に再利用してきました。2020年からは、本来なら捨てられるはずだった約1,302tの廃棄原料のうちの約9割を再利用。残りの1割も肥料にするなどして、廃棄ゼロに向けた取り組みを行ってきました。
今回のフューチャーデザイン事業ではこういった廃棄飴を使い、新たな日用品を生み出すために他社と協業して商品開発を行うとのこと。
それに先駆けて、12月13日(月)に行われた「フューチャーデザイン事業発表会」にお邪魔してきましたので、詳しくご紹介します!
キャンディの枠を超えた市場拡大を目指す「フューチャーデザイン事業」
カンロは2030年に向けた方針「Sweeten the Future」を公表しており、キャンディを通じた新たな市場の開拓と事業領域の拡大を目指しています。フューチャーデザイン事業はその取り組みのひとつ。「サステナブル」と「Well-being」をキーワードに掲げて、将来的にはカンロの未来を担う事業を形づくっていきます。
今回発表されたのは、「サステナブル」をキーワードとする規格外の飴をアップサイクルしたスプレーの製造と、「Well-being」をキーワードとする「口」から広がる可能性を追求したキャンディストローの開発です。
どちらも循環型経済=「サーキュラーエコノミー」を実現する取り組みの一環として、異業種企業とのコラボで誕生しました。
【サステナブル】天然飴×エタノールでアップサイクル
これまで、飴の製造過程で出てしまう規格外の廃棄飴を再利用して、飼料や肥料に生まれ変わらせてきたカンロ。今回は新たに独自の発酵技術を持つ「FERMENSTATION(ファーメンステーション)」と協業し、規格外の廃棄飴を再利用した日用品を誕生させました。
FERMENSTATIONの技術力を駆使し、本来なら捨てられてしまう廃棄飴に休耕田で育てたオーガニック米を加え、発酵・蒸留。不純物が少ないカンロ飴だからこそ、高純度で高品質なエタノールが生成され、天然由来のアルコールにアップサイクルできました。説明会では、このエタノールを利用したオリジナルの「アロマスプレー」と「マスクスプレー」がお披露目され、実際に使用することができましたよ。
日常的に使用しやすい「アロマスプレー」は、落ち着くヒバと爽やかなカルダモンの香りで、リフレッシュしたいときにピッタリ。お部屋にシュッとひと吹きするだけで爽やかな空気が漂い、気分転換には最適です。一方で、マスク生活の救世主とも呼べる「マスクスプレー」は、心安らぐラベンダーと清涼感のあるティーツリーの香り。これまでマスクの匂いが気になっていた方も、シュッとひと吹きすればすっきりと心安らぐ香りで、快適なマスク生活を送れるでしょう。
今後は2022年6月をめどに一般発売を計画しており、ハンドスプレーや飴から生まれる日常雑貨など、さらなるサステナブルな日用品の展開を検討しているとのことです。
【Well-being】食べられるストローでプラスチックの削減も
フューチャーデザイン事業のもうひとつの取り組みとして、リベラベル代表・ストローマエストロの野村さんと協業し、食べられるストロー「キャンディストロー」を開発しているカンロ。当日はストローマエストロの野村さんとのトークセッションが行われ、現在開発中のキャンディストローや、野村さんおすすめのサステナブル素材のストローを実際に体験することができました。
フィリピン滞在時に竹素材の竹ストローに出会ったことがきっかけで、ストローに目覚めたと言う野村さん。きゅうりやにんじんといった野菜を利用したストローや、サステナブルな素材でできたサトウキビや麦わらストローなど、吸えそうなものであればなんでも吸ってきたと言います。
今回のトークセッションでは、「ストローのネガティブなイメージをもっと変えていきたい」と、強い意志を持った野村さんが、「キャンディを多く手がけるカンロと協業することで、多種多様なストローの選択肢を広げ、世界中の人々にキャンディの持つ力を示していきたい」と語っていました。
現在開発中の食べられるストロー「キャンディストロー」は、キャンディの味を楽しみつつドリンクも味わえる画期的なアイテム。プラスチックのストローを使用しないことで、廃棄プラスチックの削減に貢献できるというサステナブルな一面もあります。環境に配慮しながらも、ストローの可能性を広げる今回の取り組みからは目が離せそうにありません。
当日は、タピオカのストローのように太いストローが登場。甘い香りがするストローを、水が入ったコップに差し込んで吸ってみると、ほのかに甘く感じます。普通のストローと同程度の吸いやすさには驚きました。水に浸しておくと少しずつキャンディが溶けてきて、より甘くなるのが印象的です。ストローとして使用した後にキャンディとして食べられるのは、今までにはない初めての体験でした。
まとめ
これまでにも廃棄飴を再利用した、サステナブルな取り組みを行っていたカンロ。今回新たに始まる循環型社会への取り組みは、環境負荷を軽減すると同時に、心が楽しくなるものばかりでした。今後も廃棄飴を使用してどんな商品を生み出してくれるのか、今から楽しみです。
いつか食べられるストローが世間に知れ渡るようになったときには、飲料メーカーとコラボレーションして、コーヒーをミルク味のキャンディストローで飲める商品が登場するかもしれません。キャンディを味わいながらドリンクを楽しむという新しい価値観がもっと広がっていけば、プラスチックストローの削減に一歩近づけるでしょう。
【参照サイト】カンロ株式会社
【参照サイト】株式会社ファーメンステーション (FERMENSTATION Co., Ltd.)
【参照サイト】Yuhi Nomuraのhandshake
むなかたりょうこ
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