兵庫県芦屋市の閑静な街並みの中にある、イタリアンレストラン「BOTTEGA BLU.(ボッテガブルー)」はおいしいイタリアンを楽しめるだけではなく、食の未来を模索するレストランとしても注目を集めています。今回は、そんなボッテガブルーのサステナブルな取り組みを取材しました。
イタリアンレストラン「ボッテガブルー」
ボッテガブルーでは、新鮮な魚介や地元兵庫の季節の野菜などを組み合わせたイタリア料理を楽しむことができます。保存料や着色料を一切使用していないため、食材の自然な風味が魅力です。また、ワインリストも豊富で、自然派ワインを中心にセレクトされています。
ヴィーガンの方やアレルギーがある方でも、安心しておいしい料理を楽しめるように配慮されているため、特別な日に友人・家族と大切な時間を過ごす場所として、多くの人々から選ばれています。
地元兵庫の食材を堪能できる持続可能なコース料理とは?
ランチコースはスープや前菜、パスタ、自家製米粉パン、そして食後にドリンクが楽しめる「アランチャ(税込3,300円)」、さらに自家製ドルチェを楽しめる「リモーネ(税込4,400円)」、そしてメイン料理を堪能できる「オリーブ(税込5,500円)」の3コースです。地元兵庫から毎日直送される旬の食材をメインに扱う季節限定のコースで、訪れるたびに季節の移ろいを五感で感じることができます。
大根のポタージュ、太刀魚のフリッター添え。太刀魚には「未利用魚」が使われています。漁師さんと直接連携を取り、その日に獲れた魚を無選別で仕入れているのだそう。
前菜には、地元兵庫で採れた新鮮な野菜がふんだんに使われています。
グルテンフリーの米粉のパンは、もちもちです。
テレビでも取り上げられた、てなし烏賊と茄子の冷製パスタ。トマトソースに米粉のカッペリーニが絡んでいて絶品です。
アレルギーの方にも楽しんでもらえるように、グルテンフリーの米粉のデザートも用意されています。
「もったいない精神」を根本に
ボッテガブルーのシェフ、大島 隆司さんは20代でイタリアに渡り、グアルティエーロ・マルケージ氏の下で修行。その時に培った、食材を余すことなく使い切る「もったいない精神」を守りながら地産地消にこだわり、手作りで体に優しい料理を作り続けています。
特に注目されているのは、通常廃棄される可能性がある食材をおいしくアップサイクルした料理で、日本サステイナブル・レストラン協会(SRA-J)主催のFOOD MADE GOOD Japan Awards 2022では、大賞とサーキュラーエコノミー賞のダブル受賞を果たしました。
普段は捨てられてしまうような食材も食べられるように調理して提供したり、ひと手間を加えて、自店舗のみならず提携農家でもロスが出ない工夫をしていたりする点が、大きく評価されています。
ボッテガブルーの「もったいない」レシピとは
ボッテガブルーでは、その日に獲れた魚介類を無選別で仕入れているので、規格外のサイズや漁獲量が少なく流通させるに適さない「未利用魚」が届けられます。それを元に、毎朝大島シェフがメニューを考えています。
「今日使ったのは、鳥取境港の未利用魚です。無選別で魚介類を仕入れているので、小さいというだけで廃棄されてしまうような魚が届けられ、捌くのが大変な時もあります。しかし、これらは調理次第で非常においしくなります。未利用魚は買い手がいないので多くは捨てられてしまいますが、それを利用することは海の持続可能性を守るひとつの方法になるかと思います。」
また、ボッテガブルーでは食材を最大限利用することにも焦点を当てています。多くのレストランで廃棄されがちな皮やへたなどの野菜くずも捨てずに昆布と合わせて弱火で煮込み、ベジブロス(ブロード)にしています。このブロスは、さまざまな料理のソースとして使われています。
「調理で出る野菜くずなどは、いつも何かに使えないかなと考えています。よく作るのがベジブロスで、野菜くずだけではなく、きのこの石づきや魚のアラ、スイカやバナナの皮も、入れる量を加減することでおいしいベジブロスになります。貝殻からもおいしいブロスが取れるので、あれば必ず入れます。その季節に出た野菜くずを使うため、季節ごとで味が変化します。」
取材時に味見をさせてもらったベジブロスは、コンソメのような味がとてもおいしく、驚きました。
ベジブロスをとった後の野菜くずは、コンポストに入れると質の良い堆肥に。ボッテガブルーでは、この堆肥を使ってシソやバジルなどのハーブを育てています。収穫されたものはレストランで使って循環させています。
スタッフも一緒に生産者を訪ねる
大島シェフは食材の生産地まで足を運び、生産者と会って仕入れすることを心掛けています。その時に特に大切にしているのが、アルバイトを含めたスタッフも一緒に連れていくことだそうです。
「実際に生産者の方と会い、どのような想いでその食材を作っているのかを聞くと、無駄に「捨てる」ことができなくなります。野菜くずでも最後まで使い切りたくなるものです。」と大島シェフは語ります。
今後は畑にも挑戦したいと言う大島シェフ。「東京で、オフィスビルの上にある畑を見学したことがあります。それを芦屋にも作って、みんなで作物を育ててみたいです。」
ボッテガブルーは、おいしいイタリアンを楽しむ場所でありながら、食についての新しい視点を提供してくれる場でもありました。
サステナビリティという言葉はしばしば食の業界で取り上げられてはいるものの、実際に行動へと移しているレストランはまだまだ少ないのが現状です。ボッテガブルーのような先駆者の存在は、非常に価値があると感じます。
取材を通じて感じたのは、単なる流行に流されることなく、真心で「もったいない」を体現している大島シェフの姿勢です。彼の料理からは、食材への敬意やそれを提供する地域との深いつながりを感じることができました。
持続可能な食の未来は、ボッテガブルーのようなレストランの取り組みから生まれていくのではないでしょうか。私たち消費者一人一人がこうした取り組みをサポートし、選択することで、より持続可能な食の未来を築いていけるのかもしれません。
【参照サイト】ボッテガブルー
【参照サイト】日本サステイナブル・レストラン協会
【関連ページ】気付いたら食品ロス「ゼロ」に。兵庫芦屋のイタリアンBOTTEGA BLUE【FOOD MADE GOOD#1
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