規格外野菜を活用したアップサイクルとは?廃棄予定の野菜を使用した商品を紹介

アップサイクル野菜

有効活用が難しく、その多くが廃棄されている規格外野菜。最近では、そんな規格外野菜をアップサイクルして、新たな価値を生み出す取り組みが見られるようになってきました。

味は規格品と同等であるのに関わらず、なぜ廃棄されてしまうのでしょうか。今回は規格外野菜を流通させることの難しさを解説しつつ、廃棄予定だった野菜をアップサイクルした商品を紹介します。

規格外野菜を流通させる難しさ

規格外野菜とは、大きさや形、色などが出荷の規格を満たしていないがために、流通が困難になってしまった野菜のことを言います。発生した規格外野菜の一部は、直売所や産直ECサイトなどで販売されるか、加工用として流通させるのが一般的で、それ以外は廃棄されているのが現状です。

私たち消費者の感覚からすると、廃棄するのであれば安く購入したいと考える方が多いかと思います。しかし、A品やB品を中心に扱っているお店で規格外品を扱う場合、価格を安くしても結局は売れ残ってしまうことが多いため、スーパーなどの小売店では規格外野菜を扱うことに消極的です。

また、規格に適合した野菜のみで安定供給が行えているのに規格外野菜を流通させてしまうと、規格品の価格を低下させてしまうといった懸念があります。

以上の点から、規格外野菜を青果として流通させるのは現実的ではなく、生産者の暮らしを守るという観点から見ても最善の方法とは言えないのです。

アップサイクル化に注目

捨てられてしまう野菜たちを救うひとつのアイデアとして、アップサイクルした商品を販売する取り組みが見られるようになってきました。

アップサイクルとは、捨てられるはずだった廃棄物に加工を施してデザイン性や実用性を高め、新しい製品として生まれ変わらせることです。これまで再利用といえばリサイクルが主流でしたが、原料へ戻すまでにエネルギーを必要とするため、素材をできるだけ活かして製品化するアップサイクルのほうが、より環境負荷を低減できる手法として注目を集めています。

規格外野菜を活用したアップサイクルには、加工食品をはじめ服の染料や紙の原料といったモノへの転換など、ユニークな事例も多くあります。

規格外野菜をアップサイクルした商品・サービスを紹介

OYAOYA

OYAOYA

OYAOYAは、京都産の規格外野菜のみを使用した乾燥野菜の製造・販売を行っています。
定番の野菜をはじめ、万願寺唐辛子や聖護院大根といった京都の伝統野菜など、珍しい野菜を使用した乾燥野菜を取り揃えているのが特徴です。

規格から外れたことにより、行き場がなくなってしまった野菜を農家の言い値で買い取ることで、食品ロスだけではなく高齢化などを理由に減少し続けている農業の存続にも取り組んでいます。

OYAOYAを運営している小島さんは地元京都の農家「野村家」さんと共に、地域農業の活性化を目的とした「京丹波ラディッシュ」プロジェクトも手がけています。小島さんの新プロジェクトについては「レシピあり!京都発、乾燥野菜ブランドOYAOYAと京丹波ラディッシュが取り組む町おこしプロジェクトとは?」をご覧ください。

スナックミー

スナックミー

おやつのサブスクリプションサービスを展開する株式会社スナックミーは、2022年3月より「スナックミーとアップサイクルおやつプロジェクト」を開始しました。このプロジェクトでは、廃棄予定の野菜や果物を生産者などから募集しておやつを作るという取り組みです。

過去には、廃棄予定の食材で作られたグラノーラやトマトジュースなどを期間限定で発売しています。今後は全国の生産者から寄せられた規格外野菜や廃棄される食材をアップサイクルして商品化していく考えです。

おやさいクレヨン

おやさいクレヨンは、米ぬかから採れる油をベースに、主に青森県で栽培された規格外野菜などの粉末を原材料として作られたクレヨンです。顔料も通常の1/3程度使用されていますが、食品に使用できるものを採用しているので、万が一口に入れてしまっても安心といえます。

色はキャベツやニンジンなど、全部で10色。どれもナチュラルな色で子どもへの初めてのクレヨンとしてもおすすめです。

VEGHEET(ベジ―ト)

ベジ―ト

画像出典:VEGHEET

VEGHEETは、食品ロス削減や農家の支援といった視点から誕生した野菜シートです。野菜シートと聞いてもピンとこない方が多いかと思いますが、ペーストにした規格外野菜と寒天を合わせてシート状にしたもので、海苔や生春巻きの皮の代わりとしてや、野菜嫌いな子どものお弁当の彩りとして活躍してくれます。

販売されているのはニンジン・ダイコン・トマト・カボチャの4種類。常温で長期保存が可能なので、災害時の栄養補給にもおすすめです。

【関連ページ】今、話題の新食材!規格外野菜を使った栄養豊富な野菜シート「VEGHEET」

YASASHIKU

YASASHIKU

画像出典:YASASHIKU

YASASHIKUは、規格外の果物を利用して作られたジェラートブランドです。素材を最大限に活かすために、乳化剤をはじめ安定剤、香料、着色料などの添加物は使用されていません。また、甘酒を使用することで砂糖を最小限に抑えた点も特徴です。

日高村フルーツトマトエール

高知カンパーニュブルワリーが提供する日高村フルーツトマトエールは、トマト栽培に適した気候の日高村で採れた規格外トマトを使用したビールです。トマトの甘みとみずみずしさが感じられるビールで、パスタやタコスなど、トマトを使用した料理との相性が抜群。さっぱりとしているので、ビールが苦手な方にもおすすめです。

FOODTEXTILE

FOODTEXTILE

FOODTEXTILEでは、規格外野菜やカット野菜の切れ端などから抽出された染料で染められた衣類や素材を提供しています。天然染料を90%以上使用していて、優しい色合いを表現しつつも色落ちがしにくいので、長い期間楽しむことができるのが特徴です。

コンバースが展開するサステナブルなシリーズ「converse e.c.lab(イーシーラボ)」にも採用され、注目を集めています。

kome-kami

kome-kami

画像出典:kome-kami

kome-kamiは古米や流通段階などで食品として利用するのが難しくなったお米をアップサイクルして作られた紙素材です。パンフレットや封筒など薄手のものからギフト用のBOXまで、さまざまな用途で利用することができます。

食品ロス削減の一環として、kome-kamiで得られた売り上げの1%をフードバンクに寄付するという取り組みも行っています。

お米とバナナの除菌ウエットティッシュ

お米とバナナの除菌ウェットティッシュ

全日空商事株式会社と株式会社ファーメンステーションは共同で、バナナとお米を使用したウェットティッシュを開発しました。このウェットティッシュは、エクアドルの田辺農園の規格外バナナと休耕田で栽培されたオーガニック米で作られたエタノールを使用して作られています。

エタノール精製の際に出る発酵粕は、化粧品の原料や家畜の飼料として利用するなどして、廃棄物ゼロにもこだわっているようです。

【関連ページ】羽田空港のANA FESTAに「お米とバナナの除菌ウエットティッシュ」が登場

今回は、規格外野菜をアップサイクルした商品やサービスを紹介しました。ユニークなアイデアが魅力的なアップサイクル製品は、今後さらに増えていくと予想されます。気になった商品があればぜひ、食品ロス削減に向けた活動のひとつとして日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

【関連ページ】規格外野菜が廃棄されてしまう理由とは?購入できるサービスも紹介
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角家小百合

種苗会社での経験を活かして2018年にライターに転身。得意ジャンルは農業、アウトドア、食など。シンプルで自然にも自分にも優しい生活を心がけています。家庭菜園、料理、キャンプ、フィットネス、ギター、映画鑑賞が趣味の半農半ライターです。