服にあいてしまった小さな穴を修理できる!伝統的なお繕い「かけはぎ」をレポート

かけはぎ

みなさんは和服や洋服の修理技術「かけはぎ」を知っていますか?布地にできた穴や擦り傷などをふさぐ、伝統的な技術のことです。大切に着ていても、ちょっとした拍子に引っかかってしまったり、穴や傷がついてしまったり…。今回、筆者自身がとても大切に扱っていたワンピースに傷が見つかったことで、「かけはぎ工芸織本」へ依頼することにしました。

かけはぎとは?

かけはぎとは、布地にできた穴や擦り傷などをふさぐ修理の技術のことです。縦糸と横糸を一本ずつ入れていき、元の布と同じ綾を再現する「織り込み式」、共布(修理用の布)を使って傷口を覆って元生地にはめ込む「刺し込み式」などの方法があり、一番の特徴は高い技術力を持った職人の手作業で、繊維の織りを再現しながら行う修繕であることです。穴や傷の状態に応じて最善の方法で傷を修理してくれる職人は、まるで服のお医者さんのようです。関東地方では「かけはぎ」、関西地方では「かけつぎ」と呼ばれています。

ワンピースに開いてしまった穴

修理前の写真
今回かけはぎサービスに出したのは、薄くて柔らかい、テンセル生地のワンピースです。ワンピースの背面に引っ掛けたような5mmほどの傷が見つかりました。写真ではわかりにくいのですが、裏側から触ると指先がちらりと見えてしまうほど、はっきりと穴が開いてしまっています。

申し込み方法・見積もり・期間

かけはぎ

今回、私は直接店舗へ洋服を持参し、傷の状態を見ながら職人と相談して決めました。修理を担当してくれたのは、創業者でもある松本文孝さん。

傷の大きさや状態を確認し、どのような方法でお直しをするか、時間と料金はどれくらいかかるのかをその場ですぐに教えていただきました。5mm程度の傷にかかる修理期間は約10日間、費用は5,000円。あわせて、生地が大変デリケートであり、修理の跡が残りそうだと説明を受けました。

また、共布がなかったため、外側からは見えないポケットの内側から少し生地を切り取り、それを修理に充てるという提案もいただきました。来店が難しい場合には、全国から郵送での受付も可能とのことです。

修理後の写真

修理後の写真
少し浮いてしまい、修理跡も残りましたが、傷はわからなくなりました。今回依頼したものは無地・紺色・薄手で、アイロン掛けできない生地と、条件が悪かったそうです。柄モノや織で表情のある生地であれば、修理後はさらにわかりにくくなるそうです。

「織り込み式」の修理例

縦糸と横糸を一本ずつ入れていき、元の布と同じ綾を再現しながら、傷口をふさぎます。

かけはぎ「織り込み」施工前

施工前

かけはぎ「織り込み」施工後

施工後

「刺し込み式」の修理例

共布を使って傷口を覆い、元生地にはめ込みます。

かけはぎ「刺し込み」施工前

施工前

かけはぎ「刺し込み」施工後

施工後

今回お世話になったお店「かけはぎ工芸織本」について

かけはぎ工房織本

“「いいものを長く大切に」される方へ、信頼と誇りのかけはぎをお届けする”という理念のもと、1986年に名古屋で創業したかけはぎ専門店です。現在、東京・横浜・名古屋・大阪・京都に直営店があり、一般の方だけではなくクリーニング店、テーラー、リフォーム店など、衣類のプロの方も利用されています。

また、ホームページには代表取締役社長 松本剛麿さんのインタビューが掲載されていました。一部を紹介します。

「かけはぎは決して衣服を新品に戻せるものではありません。また生地の目を作っていく、非常に細かいかけはぎの工程はすべて手作業で行うため、機械を使った修理と比べるとコストもかかります。しかし、「お治し」したかけはぎのその仕上がりこそ、創業以来かけはぎ一筋で歩んできた専門店としての私共の矜持です。」

「また近年、地球環境への負荷軽減やより持続可能な社会の実現を目指すにあたって、「いいものをより長く大切にする」という昔ながらの価値観が見直されています。昔から「衣・食・住」と言うように、衣服は暮らしに関わる重要な要素として、いつも生活の中にありました。誰かからもらった思い出の服、初めてのお給料で買った服、親から子へ受け継がれた服など、衣服には単純な値段や市場価値では計れない、持ち主ならではの愛着が生まれていくものです。」

編集後記

ワンピース
今回、大切な一着に傷が見つかり、ショックを受けつつも、お世話になることを決めました。一針ずつ職人さんに手直ししていただくため、決して安くはありませんが、改めてその一着を大切にする心構えを問われているようで、少しの緊張がありました。洋服を新調するのも楽しいですが、今持っている洋服を自分で直したり、時にはプロの力を借りたりして、長く愛用できるといいですね。

【参照サイト】かけはぎ工芸織本 HP
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牛嶋麻里子

福岡出身。フェアトレードを仕事にしてみようと思い立ち、2018年からは京都へ移住。アパレルのゼロウェイストや生産背景について学び、よりエシカルな選択ができる社会を目指して働いています。 プライベートでは、チョコレートのおもしろさとカカオの課題から目が離せなくなり、ひとりでフィリピンのカカオ畑に行ってみたり、チョコレート検定プロフェッショナルを取得してみたり。