ユニバーサルデザインの遊具とは?誰でも利用できて、楽しい工夫がいっぱい!

ユニバーサルパーク

※本記事は2023年に公開した記事を、2026年7月に最新情報をもとに更新したものです。

「ユニバーサルデザインの公園」をご存知でしょうか。誰もが利用でき、障がいの有無や発達状況などに関わらず、大人でも子どもでもあらゆる人が利用しやすいように工夫がされており、気軽にやってみたいと思うことに挑戦できる公園です。この記事では、公園でのユニバーサルデザインの取り組みや課題などを分かりやすく説明します。おすすめの公園も紹介しますので、ぜひ訪れてユニバーサルデザインの公園の魅力を直接感じてください。

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、年齢・性別・国籍・身体能力などの違いに関わらず、あらゆる人が利用しやすいようにつくられたデザインのことをいいます。「ユニバーサルデザイン」という言葉は、1985年にアメリカの建築家ロナルド・メイスが提唱した概念です。メイス自身も障がいのある建築家であり、のちに「ユニバーサルデザインの7原則」を提唱しました。この考え方は、建築をはじめあらゆる分野で取り入れられ、公園においても重要視されています。

似た意味で「バリアフリー」という言葉がありますが、障害があることを前提とし障壁(バリア)を取り除くという考え方です。ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすいように「利用者の視点」を重視したデザインを意味します。

公園のユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザイン
公園においても、すべての人が利用できるようにユニバーサルデザインを取り入れ、バリアフリー化を進めています。子どもは一人一人特徴が異なります。遊ぶときに配慮やサポートが必要な子、発達がゆっくりの子、得意なことや苦手なこと、みんなそれぞれ違いますが「ユニバーサルデザインの公園」は、どんな子でも一緒に遊べる点が最大の魅力です。「車いすで公園に行けるかな」「体幹に不安があるけれど、遊べる遊具はあるかな」など不安に感じることがある人も、「うちの子は遊ぶときに特に配慮は必要ないけれど本当に利用しても良いのだろうか」と思う人も、もちろん大丈夫です。あらゆる人が快適に楽しく遊べる空間を目指しています。

また、近年は「インクルーシブ公園」という言葉も使われるようになりました。インクルーシブ公園とは、障がいの有無や年齢・国籍などに関わらず、すべての人が分け隔てなく一緒に遊べる遊び場を指します。当事者の声を取り入れながらつくり上げていく点が特徴で、あらゆる人にとってより快適な空間になるよう、インクルーシブ公園としての取り組みの意識も高まりつつあります。

公園でのユニバーサルデザインの取り組み

ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインの視点より、公園にもさまざまな取り組みや工夫があります。主な取り組み例を紹介しますが、この他にもたくさんの工夫がされています。あなたがよく行く最寄りの公園にも、誰もが楽しめるような工夫がされているかもしれません。

  • 誰でも安全に楽しく遊べるデザインの遊具を採用(背もたれや安全ベルト付きのブランコやシーソーなど)
  • 転んでもケガをしにくいよう遊具の周りにはゴムチップ舗装をおこなう
  • 車いすや歩行器、ベビーカーなどが通れるような園路や幅が広く緩やかなスロープを設置する
  • いろいろな高さや種類のベンチやテーブルを設置する
  • 点字・音声ガイド・触地図・ピクトグラムなどを使用し、公園の案内版や看板などを分かりやすく表示する など

ユニバーサルデザインの公園の課題

ユニバーサルデザインの公園
ユニバーサルデザインやインクルーシブを考えられて作られた公園には、課題点があるのも事実です。実際に利用するにあたり「障がいへの理解がなく利用しづらい」「迷惑をかけるのではないかと思うと公園へは行きづらい」などの声もあるようです。ユニバーサルデザインの遊具を採用しさまざまな工夫に取り組んだとしても、実際に利用する人や運営に携わる人たちの理解や意識が乏しくては、本当の意味でユニバーサルデザインの公園とは言い難い面もあります。誰でも「利用できる」から「利用したくなる」ような、居心地の良い公園が求められているのではないでしょうか。

ユニバーサルデザインに取り組んでいるおすすめの公園

ユニバーサルデザインを取り入れたおすすめの公園を6つ紹介します。障がいがあってもなくても、発達がゆっくりな子も、ベビーカーを押すお父さん・お母さんも、歩くことがおぼつかない小さな子どもも、足腰が弱った高齢者も、みんなが楽しめるユニバーサルデザインの公園は、ユニークな工夫がたくさんあります。今回紹介した公園以外にも、ユニバーサルデザインやインクルーシブデザインに配慮した公園やスポットはありますのでぜひ探してみてください。

国営昭和記念公園(東京)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:国営昭和記念公園公式ホームページ

昭和記念公園は、東京都の立川飛行場跡地に作られた国営公園です。広大な園内には、プールやバーベキューエリア、庭園などさまざまな施設があります。

  • ユニバーサルデザインのポイント:わんぱくゆうぐの「ふわふわドーム」は、ドームの縁が腰掛けられる高さに立ち上がっているため、車いすに座ったまま無理なく乗り移ることができます。「ゆらゆらブランコ」は少しの力でも揺らせる構造で、必要な場合は専用の固定ベルトの貸し出しもあります。遊具の周りはゴム舗装になっているので、転んでもケガをしにくく安心して遊べます。

砧公園(東京)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:砧公園

砧(きぬた)公園は、自然の地形をいかし、芝生の広場と樹林をメインにつくられた緑豊かな公園です。園内には、アスレチックやグラウンド、世田谷美術館などがあります。

  • ユニバーサルデザインのポイント:国内で初めてインクルーシブな遊具広場として整備された「みんなのひろば」には、車いすやベビーカーでもすれ違える幅広のスロープを備えた船型遊具「みらい号」があります。ブランコは円盤型やイス型、体をホールドできるタイプなど複数の種類がそろい、自分に合った遊具で遊べます。広場の中央には高さや形の違うベンチが配置され、手すりも設けられています。障がいのある子どもの支援団体などによるアートワークショップも開催され、みんなが心地よく過ごせる空間づくりがおこなわれています。

としまキッズパーク(東京)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:としまキッズパーク

としまキッズパークは、コミュニティバス「IKEBUS」も手がけた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインし、ミニSL「IKEDEN」がシンボルの公園です。園内は「池袋レッド」で統一されています。利用時間は10:00〜16:00、1時間ごとの完全入替・予約制で、利用は無料です。保護者の同伴が必要です。

  • ユニバーサルデザインのポイント:車いすに乗ったまま遊べる砂場や、横転の心配がなく体幹が弱くても乗れるブランコ、直射日光に当たることができない子でも遊べる屋根がついたハウス型の遊び場(キッズハウス)などがあります。障がいのある子もない子も一緒に遊べる、豊島区で2例目のインクルーシブ公園です。
  • ご注意:としまキッズパークは旧造幣局東京支局跡地に整備された暫定的な施設で、2026年末までの暫定施設とされています(閉園後は跡地が別の用途に活用される予定です)。お出かけの際は、公式サイトで最新の開園状況をご確認ください。

富士山こどもの国(静岡)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:富士山こどもの国 公式サイト

富士山こどもの国は、富士山の裾野に広がり、草原や池など自然に親しみ遊べる公園です。本格的なユニバーサルデザインを採用した公園として1999年4月26日にオープンしました。

  • ユニバーサルデザインのポイント:ゲートから広場に至る園路は、階段・スロープに加えて障がい者用スロープカーでも通行でき、障がいのある方には無料で車いすの貸し出しも行われています。触れて分かる触知案内地図や、人影に反応して園内案内が流れる音声ガイドなど、遊び心あるユニバーサルデザインのアイディアが多く取り入れられています。園に採用されたユニバーサルデザインの維持・発展を目的にしたボランティアグループ「U-DO」の活動もあります。

淡路島 国営明石海峡公園(兵庫)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:淡路島 国営明石海峡公園

淡路島にある明石海峡公園は、大阪湾にある関西国際空港の埋め立てに用いられた土取り跡地に自然を回復する目的として作られた海辺の国営公園です。

  • ユニバーサルデザインのポイント:子どもの遊び場には、風・花・水をテーマにした関西最大級の大型複合遊具「夢っこランド」と、ユニバーサルデザインを取り入れた大型遊具「子供の森」があります。園内には車いす対応のスロープや車いす対応トイレが整備され、車いすの無料貸し出しも行われています。広い園内の移動には、春から秋にかけて運行する園内トラムカー「夢ハッチ号」も利用できます。

国営備北丘陵公園(広島)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:国営備北丘陵公園

備北(びほく)丘陵公園は、中国山地のほぼ中央に位置し、森や湖などの自然環境を生かし緑あふれる国営公園です。全国で11番目、中国地方では初の国営公園で、ふるさとの景観や暮らしを再現したエリアや、四季の花が楽しめるエリアなどがあります。

  • ユニバーサルデザインのポイント:丘陵公園のため園内には坂道が多くありますが、中案内所では、歩行が困難な方を対象に操作の簡単な電動スクーターを無料で貸し出しています。また「中の広場」と「湖畔レストハウス」の間では、シルバー・身体障害者の方を優先した遊覧運行(約30分間隔・12〜2月は運休)もあります。大芝生広場の大型複合遊具「きゅうの丘」には、ジェット・ローラー・スライダーなど40種類以上の遊具がそろい、小さな子どもから大人まで、身体に障がいのある方も一緒に遊べます。

環境を配慮してサステナブルに公園で遊ぶ

ユニバーサルデザイン 公園
公園へ行くときは、サステナブルな視点を取り入れて持ち物を考えてみましょう。公園へ行く度に購入していたペットボトルを水筒にしてみたり、お昼ご飯やおやつの時に使っていた使い捨てのスプーン・フォークを持ち運びができるカトラリーセットにしてみたりと、無理せずに自分にできることから見直してみてください。

【関連ページ】環境に配慮しながら「公園ピクニック」を楽しむには?おすすめの持ち物やポイントも

おわりに

ユニバーサルデザインの公園やインクルーシブ公園は、日本ではまだ十分に浸透していませんが、アメリカやオーストラリアなどの海外では先進的に取り組まれています。特別な公園としてではなく、気軽に利用できる身近にありふれた場所として広がってほしいと思います。ぜひ一度遊びに行ってみてください。


【参照サイト】The 7 Principles | Centre for Excellence in Universal Design(英語)
【参照サイト】みーんなの公園プロジェクト インクルーシブな遊び場づくり
【関連ページ】脱炭素型の持続可能なライフスタイルを体験できる
「ゼロカーボンパーク」へ行こう

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中池 梓

現在は子育てに奮闘しながら、頑張り過ぎずエコで優しい生活を目標に田舎暮らし。最近の趣味は、小説の深読み(植物が登場する作品に限る)。参考文献などを読みあさり自己流に作品を分析してマニアックに楽しむことにはまっている。