家庭菜園を始めようと決めたものの、どんな野菜を育てたら良いか迷う人も多いのではないでしょうか。野菜を植えるにしても、植える季節や気温、育てやすさなど事前に考える必要があり難しく感じてしまいます。野菜にはそれぞれ栽培に適した季節があり、トマトやキュウリなどの夏野菜は寒さに弱く、ハクサイやタマネギなど秋から春にかけて育てる野菜は暑いのが苦手です。
野菜を植えるタイミングの見極めに不安を感じている人におすすめなのが「ほぼ一年中栽培できる野菜」です。真夏や真冬を除けば、植えたいと思ったときに、ほぼいつでも植えることができます。植える時期を選ばず、育てやすい特徴があるので、家庭菜園初心者におすすめです。
ほぼ一年中栽培できる野菜とは?
野菜の中には、暑さや寒さに比較的強く(真夏・真冬は除く)、春まき・秋まきともに栽培が可能な野菜があります。つまり、春にタネをまけなかった場合でも、秋にまくチャンスがあり、ほぼ一年中プランターで栽培を楽しめます。さらに、寒さに強い特徴があれば、気温が少し下がっても心配はいりません。
また、生長が早い野菜は、移動や栽培管理がしやすいプランター栽培が育てやすくおすすめです。プランターの置き場所を移動することで、急に気温が下がった(上がった)などという一時的な温度の変化にも対応できます。種まきの時期にしばられず、やってみたいと思ったときに野菜づくりを始めることができます。
ほぼ一年中栽培できるおすすめの野菜
いつでも育てられる野菜は、栽培期間が比較的短くほとんどが栽培しやすいため、家庭菜園が未経験の人や、2・3年目の初心者におすすめです。目安となる種まきに適した時期や気温などを紹介しますが、プランター栽培にすれば、少し寒いときは一時的に室内に入れ、暑いときは軒下に移動できるので、難しく考え過ぎなくても大丈夫です。
この記事では、関東以南の温暖地・暖地を目安としています。野菜の種まき時期などはお住まいの地域や、野菜の品種などによっても異なります。詳しくは種袋の記載などを確認してください。
小カブ
カブは古くから日本で食べられている野菜の一つです。カブはサイズにより、大カブ(直径15cm以上)・中カブ(直径10cm程度)・小カブ(直径5cm程度)と分けられますが、初心者には収穫までの期間が短く育てやすい小カブをおすすめします。
春まき時期:3~4月
秋まき時期:9~10月
収穫までの期間:タネまき後40~60日
生育適温:15~20℃
育て方のポイント:冷涼な気候を好み、暑さに弱く、寒さに強い特徴があります。アブラムシやアオムシなどの被害を防ぐために、防虫ネットや寒冷紗などをかけると安心です。間引きを3~4回おこない、カブの根本に土を寄せます。土寄せは、強風などで倒れにくくなり、また乾燥によるカブの割れを防ぎます。
コールラビ
名前のコールはキャベツ、ラビはカブという意味をもち、キャベツの仲間です。煮崩れしにくくホクホクとした食感が楽しめるため、シチューやポトフに最適です。皮をむいて白い部分を薄くスライスするとサラダにも使えます。
春まき時期:3~4月
秋まき時期:7~8月
収穫までの期間:タネまき後、60~70日
生育適温:15~23℃
育て方のポイント:冷涼な気候を好みますが、高温にも適応します。30℃をこえると固くなるため、秋まきがおすすめです。アブラムシやアオムシなどの被害を防ぐために、防虫ネットや寒冷紗などをかけると安心です。収穫のタイミングは、肥大した茎の直径が8cm以下まで。大きくなりすぎると、固くなり味が落ちてしまいます。
コマツナ(小松菜)
コマツナの種類には、長葉と丸葉があります。初心者には、耐暑性や耐寒性が優れている丸葉系がおすすめです。春まきは育てやすく、秋まきはより甘くやわらかくなり、霜にあたるとさらに甘く栄養価も高くなります。
種まき時期:3~10月
収穫までの期間:タネまき後、春・夏20~25日、秋・冬70日以上
生育適温:15~25℃
育て方のポイント:比較的暑さや寒さに強く、寒冷地以外ではほぼ一年中栽培が可能です。初心者には害虫がつきにくい秋に種まきをすることをおすすめします。真夏は遮光と害虫対策のため寒冷紗をかけ、真冬は防寒対策がポイントです。草丈30cmをこえ収穫が遅れると、繊維質になり味が落ちるので注意してください。
シュンギク(春菊)
シュンギクの独特な香りには虫よけ効果があり病害虫が少なく栽培しやすく、アブラナ科の野菜に発生する害虫を防ぐ効果があり、コンパニオンプランツ(※)としても役立ちます。
※コンパニオンプランツとは、相性の良い植物同士を一緒に植えることで、お互いが助け合って良く育つ関係のことです。
【関連ページ】コンパニオンプランツで野菜づくり!安全で安心そして環境に優しい家庭菜園へ
春まき時期:3~4月
秋まき時期:9~10月
収穫までの期間:タネまき後、30〜50日
生育適温:15〜20℃
育て方のポイント:冷涼な気候を好むため、初心者には秋まきがおすすめです。暑さや寒さには強い特徴を持ちますが、5℃以下や霜にあたると生育が衰え傷みやすくなるため、不織布やネットで防寒対策をしてください。春まきの収穫は、花を咲かせる前の草丈が約20cmで株ごと抜き取ります。
スイスチャード
スイスチャードとは、地中海地方原産のカラフルな葉野菜です。見た目も味もホウレンソウに似ています。生でサラダとしても、お浸しや炒めものなど幅広く調理できます。火を通してもカラフルな色は残るため、料理が華やかになります。
種まき時期:5~9月
収穫までの期間:種まき後、約30日
生育適温:15~20℃
育て方のポイント:暑さに強い植物のため真夏の栽培もでき、高温や乾燥にも強く育てやすい野菜です。寒さにも比較的強いですが、真冬の栽培は避けます。また、半日陰でも栽培が可能です。生長し過ぎると、葉がかたくなり苦みが増します。サラダなど生で食べる場合は、若い葉を収穫しましょう。
その他
今回紹介した野菜以外にも、ほぼ一年中プランター栽培ができる野菜はたくさんあります。気になる野菜があればぜひ挑戦してみてください。
- ラディッシュ
- ルッコラ
- ミズナ
- 葉ネギ
- ワケギ
- リーフレタス
- 茎ブロッコリー など
種から育てよう
今回紹介している、ほぼ一年中栽培できる野菜のほとんどは、種からの栽培が可能です。ポット苗から育てると、植え付けあとに不要になるポットがごみとなってしまいます。環境の面から、種まきからの栽培をおすすめします。とはいえ、家庭菜園未経験の初心者にとって、種から育てることはハードルが高いもの。最初はポット苗から育ててみて、2年目3年目と少し慣れてきたら、ぜひ種まきからの栽培にチャレンジしてみてください。ただし野菜によっては、ポット苗の販売がないものもあります。
種まきの方法
種まきの方法を紹介します。種まきの方法は、それぞれの特徴と、野菜によっても異なります。
- すじまき
- ばらまき
- 点まき
直線に種をまきます。すじまきがおすすめの野菜は、コマツナ、シュンギク、ホウレンソウ、リーフレタス、ラディッシュ、コカブなど、種が小さい野菜にむいています。
均等に散らして種をまきます。すじまきより一度にたくさんの種をまけますが、その後の間引きが大変ですので、間引いた葉をベビーリーフとしてサラダなどで食べることができる野菜にむいています。おすすめの野菜は、ルッコラ、レタス、コマツナ、シュンギク、スイスチャードなどがあります。
種を一定の間隔をあけて、1カ所に5・6粒ずつまき、間引き後1本となります。おすすめの野菜は、ダイコンやニンジンなどの根菜類や、トウモロコシや豆類など背が高くなる野菜があります。
環境に優しい視点を持って家庭菜園を楽しむ
家庭菜園を通して出るごみをできる範囲で減らし、環境に良いことに取り組んでみましょう。例えば、収穫を終えた畑から出る野菜の葉や茎などの野菜クズはコンポストへ入れ、たい肥作りに活用します。また、農薬や化学肥料の使用を減らすためにコンパニオンプランツを取り入れたりと、自分にできる工夫で環境に優しいサステナブルな家庭菜園を楽しみましょう。
【関連ページ】できるだけごみを出さずに家庭菜園を行うには?環境に優しい野菜づくりを目指して
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おわりに
ほぼ一年中栽培できる野菜は、春から秋にかけて2~3回種まきをしてほぼ一年中収穫をできるようにしても良いし、気温などの問題がなければ種まき時期を少しずらして長く収穫時期を楽しむということもできます。「種まきのタイミングを逃してしまった」とならず、始めたいと思ったときに気軽に野菜づくりが楽しめるのが嬉しいポイントです。難しく考え過ぎず家庭菜園を始めてみてください。
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中池 梓
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