ユニバーサルデザインの遊具とは?誰でも利用できて、楽しい工夫がいっぱい!

ユニバーサルパーク

「ユニバーサルデザインの公園」をご存知でしょうか。誰もが利用でき、障がいの有無や発達状況などに関わらず、大人でも子どもでもあらゆる人が利用しやすいように工夫がされており、気軽にやってみたいと思うことに挑戦できる公園です。この記事では、公園でのユニバーサルデザインの取り組みや課題などを分かりやすく説明します。おすすめの公園も紹介しますので、ぜひ訪れてユニバーサルデザインの公園の魅力を直接感じてください。

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、年齢・性別・国籍・身体能力などの違いに関わらず、あらゆる人が利用しやすいようにつくられたデザインのことをいいます。「ユニバーサルデザイン」という言葉は、1985年にアメリカの建築家ロナルド・メイスが提唱した概念です。この考え方は、建築をはじめあらゆる分野で取り入れられ、公園においても重要視されています。

似た意味で「バリアフリー」という言葉がありますが、障害があることを前提とし障壁(バリア)を取り除くという考え方です。ユニバーサルデザインは、すべての人が利用しやすいように「利用者の視点」を重視したデザインを意味します。

公園のユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザイン
公園においても、すべての人が利用できるようにユニバーサルデザインを取り入れ、バリアフリー化を進めています。子どもは一人一人特徴が異なります。遊ぶときに配慮やサポートが必要な子、発達がゆっくりの子、得意なことや苦手なこと、みんなそれぞれ違いますが「ユニバーサルデザインの公園」は、どんな子でも一緒に遊べる点が最大の魅力です。「車いすで公園に行けるかな」「体幹に不安があるけれど、遊べる遊具はあるかな」など不安に感じることがある人も、「うちの子は遊ぶときに特に配慮は必要ないけれど本当に利用しても良いのだろうか」と思う人も、もちろん大丈夫です。あらゆる人が快適に楽しく遊べる空間を目指しています。

また、ユニバーサルデザインと似た言葉で「インクルーシブ」という言葉も近年使われるようになりました。特定の人たちの問題解決を目的としたインクルーシブデザインは、問題を抱えた人を交えながらデザインをつくっていく点が特徴です。より当事者意識を持ち、あらゆる人にとってより快適な空間になるよう、インクルージブ公園としての取り組みの意識も高まりつつあります。

公園でのユニバーサルデザインの取り組み

ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインの視点より、公園にもさまざまな取り組みや工夫があります。主な取り組み例を紹介しますが、この他にもたくさんの工夫がされています。あなたがよく行く最寄りの公園にも、誰もが楽しめるような工夫がされているかもしれません。

  • 誰でも安全に楽しく遊べるデザインの遊具を採用(背もたれや安全ベルト付きのブランコやシーソーなど)
  • 転んでもケガをしにくいよう遊具の周りにはゴムチップ舗装をおこなう
  • 車いすや歩行器、ベビーカーなどが通れるような園路や幅が広く緩やかなスロープを設置する
  • いろいろな高さや種類のベンチやテーブルを設置する
  • 点字・音声ガイド・触地図・ピクトグラムなどを使用し、公園の案内版や看板などを分かりやすく表示する など

ユニバーサルデザインの公園の課題

ユニバーサルデザインの公園
ユニバーサルデザインやインクルーシブを考えられて作られた公園には、課題点があるのも事実です。実際に利用するにあたり「障がいへの理解がなく利用しづらい」「迷惑をかけるのではないかと思うと公園へは行きづらい」などの声もあるようです。ユニバーサルデザインの遊具を採用しさまざまな工夫に取り組んだとしても、実際に利用する人や運営に携わる人たちの理解や意識が乏しくては、本当の意味でユニバーサルデザインの公園とは言い難い面もあります。誰でも「利用できる」から「利用したくなる」ような、居心地の良い公園が求められているのではないでしょうか。

ユニバーサルデザインに取り組んでいるおすすめの公園

ユニバーサルデザインを取り入れたおすすめの公園を6つ紹介します。障がいがあってもなくても、発達がゆっくりな子も、ベビーカーを押すお父さん・お母さんも、歩くことがおぼつかない小さな子どもも、足腰が弱った高齢者も、みんなが楽しめるユニバーサルデザインの公園は、ユニークな工夫がたくさんあります。今回紹介した公園以外にも、ユニバーサルデザインやインクルーシブデザインに配慮した公園やスポットはありますのでぜひ探してみてください。

国営昭和記念公園(東京)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:国営昭和記念公園公式ホームページ

昭和記念公園は、東京都の立川飛行場跡地に作られた国営公園です。広大な園内には、プールやバーベキューエリア、庭園などさまざまな施設があります。

  • ユニバーサルデザインのポイント:膜状トランポリンのふわふわドームやどろんこ池には、車いすの人でも遊びやすいように高さが考えられていたり、手すりが設けられています。遊具の周りはゴム塗装となっているため安心して遊べます。また、リニューアルや改良もおこなわれ、ユーザーが利用しやすい公園づくりがおこなわれています。

砧公園(東京)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:砧公園

砧(きぬた)公園は、自然の地形をいかし、芝生の広場と樹林をメインにつくられた緑豊かな公園です。園内には、アスレチックやグラウンド、世田谷美術館などがあります。

  • ユニバーサルデザインのポイント:みんなの広場では、車いすや歩行器で乗りやすい幅広のスロープのある船型遊具、皿形やイス型など3種類のブランコがあり、自分に合った遊具で遊べます。障がいのある子どもの支援団体によるアートワークショップなども開催され、みんなが心地よく過ごせる空間づくりがおこなわれています。

としまキッズパーク(東京)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:としまキッズパーク

としまキッズパークは、工業デザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインし、ミニSLがシンボルの公園です。利用時間は1時間の完全入替・予約制です。(2023年3月現在)

  • ユニバーサルデザインのポイント:車いすのまま遊べる砂場や、体幹が弱くても乗れるブランコ、直射日光に当たることができない子でも遊べる屋根がついたハウス型の遊び場などがあります。最寄り駅からの巡回バスには、車いす昇降機が付いており、公園までのアクセスも利用しやすいように考えられています。

富士山こどもの国(静岡)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:富士山こどもの国 公式サイト

富士山こどもの国は、富士山の裾野に広がり、草原や池など自然に親しみ遊べる公園です。本格的なユニバーサルデザインを採用した公園として1999年にオープンしました。

  • ユニバーサルデザインのポイント:車いすやベビーカーのまま乗り込めるトラムカーや、水遊びが楽しめるように水陸両用の車いすの貸し出し、触れることができる壁画風の道案内など、遊び心あるユニバーサルデザインのアイディアが多く取り入れられています。ユニバーサルデザインの維持と発展を目的にしたボランティアグループの活動もあります。

淡路島 国営明石海峡公園(兵庫)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:淡路島 国営明石海峡公園

淡路島にある明石海峡公園は、大阪湾にある関西国際空港の埋め立てに用いられた土取り跡地に自然を回復する目的として作られた海辺の国営公園です。

  • ユニバーサルデザインのポイント:子どもの遊び場の大型複合遊具「夢っこランド」は、関西最大級の規模で、車いすのまま遊ぶことができるのが特徴です。公園には傾斜があるエリアが多くありますが、段差がなく長い傾斜の園路には待機場の設置を、危ない場所や階段になっているところには手前に表示などの工夫があります。

国営備北丘陵公園(広島)

ユニバーサルデザインの公園

画像出典:国営備北丘陵公園

備北(びほく)丘陵公園は、中国山地のほぼ中央に位置し、森や湖などの自然環境を生かし緑あふれる国営公園です。ふるさとの景観や暮らしを再現したエリアや、四季の花が楽しめるエリアなどがあります。

  • ユニバーサルデザインのポイント:丘陵公園のため、公園全体に坂道が多くありますが、3種類(歩行者・自転車・自動車)のルート分けや、電動スクーターやシルバーカーの無料運用など、園路のルートや移動手段の工夫が多くされています。また、大芝生広場には車いすに乗る子どもも遊べる大型複合遊具があり、車いすのまま遊べる幅広のローラーすべり台があります。

環境を配慮してサステナブルに公園で遊ぶ

ユニバーサルデザイン 公園
公園へ行くときは、サステナブルな視点を取り入れて持ち物を考えてみましょう。公園へ行く度に購入していたペットボトルを水筒にしてみたり、お昼ご飯やおやつの時に使っていた使い捨てのスプーン・フォークを持ち運びができるカトラリーセットにしてみたりと、無理せずに自分にできることから見直してみてください。

【関連ページ】環境に配慮しながら「公園ピクニック」を楽しむには?おすすめの持ち物やポイントも

おわりに

ユニバーサルデザインの公園やインクルーシブ公園は、日本ではまだ十分に浸透していませんが、アメリカやオーストラリアなどの海外では先進的に取り組まれています。特別な公園としてではなく、気軽に利用できる身近にありふれた場所として広がってほしいと思います。ぜひ一度遊びに行ってみてください。


【参照サイト】The 7 Principles | Centre for Excellence in Universal Design(英語)
【参照サイト】みーんなの公園プロジェクト インクルーシブな遊び場づくり
【関連ページ】脱炭素型の持続可能なライフスタイルを体験できる
「ゼロカーボンパーク」へ行こう

【関連ページ】子どもの可能性が広がる!あえて「遊具がない公園」で遊ぼう

The following two tabs change content below.

中池 梓

現在は子育てに奮闘しながら、頑張り過ぎずエコで優しい生活を目標に田舎暮らし。最近の趣味は、小説の深読み(植物が登場する作品に限る)。参考文献などを読みあさり自己流に作品を分析してマニアックに楽しむことにはまっている。