家族の一員として幸せに暮らす犬や猫がいる一方、さまざまな事情で保護犬・保護猫となってしまう犬・猫もたくさんいます。今回は保護犬・保護猫の現状を伝えたうえで、私たちができることをお伝えします。
保護犬・保護猫とは?
保護犬・保護猫とは、民間の保護団体や動物愛護センター、保健所などの行政施設に保護されている犬や猫のことです。例外もありますが、大きく分けて3つの経緯で保護されています。
一般家庭からの保護
ペットとして飼われていたものの、経済的な理由、時間の制約、引っ越し、飼い主の高齢化などの飼い主側の理由で保護されています。近年問題になっている多頭飼育崩壊(多く飼いすぎて飼育できない状態)により保護される犬猫もいます。
ブリーダーやペットショップからの保護
売れ残りになってしまったから、繁殖しすぎたから、繁殖のための犬猫が引退する年齢になったが飼えないから、といった理由で保護されています。
地域からの保護
排泄物の被害や病気のまん延を防止したいといった理由で通報された野良犬や野良猫が、保護されるケースです。災害で置き去りにされてしまった犬・猫や、迷い犬、迷い猫の飼い主が見つからず、やむなく保護されるケースもあります。
保護犬・猫の数
環境省が作成している「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、2020年度(2020年4月1日~2021年3月31日)だけで72,433頭もの犬猫が、地方自治体が運営する動物保健センターや保健所に引き取られています。民間の保護団体の数値は入っていないので、実際はもっと多いでしょう。
動物保健センターや保健所で引き取れる数には、残念ながら限りがあります。そうした場合におこなわれるのが、殺処分です。2020年度は4,059頭の犬、19,705頭の猫が殺処分されました。合計23,764頭、1日あたりにすると約65頭もの命が、毎日失われています。
保護犬・保護猫を助ける、レスキュー団体3つ
家畜やペットが、動物として快適、幸せに過ごせるように、苦痛やストレスの少ない環境や方法で飼育されている状態をアニマルウェルフェア(animal welfare・動物福祉)と言います。保護犬・保護猫は、いわばアニマルウェルフェアが実現されていない状態です。
保護犬・保護猫をめぐる問題の解決を目指し、非営利団体を中心に多くの団体が取り組みを進めています。以下では、保護犬・保護猫の問題に関する活動実績などが豊富な団体を3つ、ご紹介します。
一般財団法人 犬猫生活福祉財団
犬猫生活福祉財団は、収容ゼロ、殺処分ゼロ、不適切飼育環境ゼロ~ の3つのゼロを目指しています。具体的には、群馬県前橋市で動物保護シェルターを運営しながら、併設する形で野良猫の手術のための不妊去勢&ケア専用の病院(スペイクリニック)を運営しています。また、保護犬・保護猫に関わるボランティアの募集サイトも運営しています。
【関連サイト】犬猫生活福祉財団
【関連サイト】保護犬・保護猫に関わるボランティアの募集サイト
Foster Salon.japan (フォスターサロン・ジャパン)
Foster Salon.japanは、トリミングサロンが集まり設立した協会です。協会に加盟しているトリミングサロンが保護動物の一時預かり、譲渡活動、トリミングサポートなどをおこなっています。
【関連サイト】Foster Salon.japan
公益財団法人動物環境・福祉協会Eva(エヴァ)
動物環境・福祉協会Evaは、女優の杉本 彩さんが2014年に設立した、動物福祉向上のための啓発活動を行う団体です。実際に保護はしていませんが、これ以上、不幸な保護犬・保護猫を増やさないために、国会や行政への働きかけ、全国各地での講演や出張授業、動物虐待に関する刑事告発などをおこなっています。
動画を通じた発信も続けています。
【関連サイト】動物環境・福祉協会Eva Yahoo! JAPANを通じたネット募金
私たちができること
保護犬・保護猫の問題に関して私たちにできることを、下記にまとめました。できることからアクションを起こしていきましょう。
情報を発信して問題を知らせる
殺処分の問題や、ペットを飼うときは保護犬・保護猫を迎えるという選択肢もあることを、まわりに知らせましょう。知らせておけば、伝えた相手が犬か猫を飼いたくなった時に、ペットショップ以外の方法があることを思い出してくれる可能性があります。
団体に寄付する
保護犬・保護猫問題に取り組む団体が活動を続けるには、資金が必要です。活動内容を調べたうえで「応援したい」と感じた団体に寄付をしましょう。団体のウェブサイトなどを通じて直接寄付するという方法のほか、ネット募金を利用するという手もあります。例えば動物環境・福祉協会Evaは、Yahoo! JAPANを通じたネット募金も受け付けています。
寄付付き商品を購入する
また、商品を購入することで、保護犬・保護猫問題に取り組む団体への寄付ができるブランドやアイテムも登場しています。
羽毛の代わりにカポックの実を使用したアニマルフリーファッションを提案する「KAPOK KNOT(カポックノット)」では、女優の二階堂ふみさんとのコラボレーションで開発したコートを販売しています。
今回のコラボレーションアイテムの収益の一部(10%)は一般財団法人 犬猫生活福祉財団、Honey’s Farm Sanctuary、Foster Salon.japanといった、アニマルライツを追求する3団体に寄付されます。
※一部すでに完売してしまった商品もあります。
【オンラインストア】KAPOK KNOT×二階堂ふみ
【関連記事】二階堂ふみ×KAPOK KNOT、アニマルフリーファッションの可能性を伝えるコラボレーションアウターを販売中!
里親になる
ペットを飼える状況にあるなら、お住まいの自治体や民間団体による保護犬・保護猫の里親募集を探して里親になりましょう。ただし大きな責任を伴うので、慎重に検討してからにしましょう。
活動を手伝う
共感できる団体の活動に、ボランティアとして参加しましょう。保護施設ボランティアや預かりボランティアとして犬猫と直接かかわる以外にも、施設スタッフ、運搬、ウェブ・SNS更新、デザインなどさまざまな方法でボランティアができます。
動物福祉・動物愛護に特化した求人情報サイト「犬猫ワークス」には、全国のボランティア・職員/バイトの情報が載っています。地元の情報誌や新聞もチェックしてみると良いでしょう。
【関連サイト】犬猫ワークス
保護犬カフェ・保護猫カフェを利用してみる
保護犬カフェ・保護猫カフェは、保護された犬や猫とふれあったり、その空間でお茶を飲んだりできるカフェで、全国各地にあります。
一般的な犬カフェや猫カフェとの違いは、そこにいるのが保護犬・保護猫で、多くの店で「里親譲渡」も行っているという点です。とはいえ、カフェの売り上げが運営資金につながるので、ほとんどのカフェが「犬や猫を飼えない人が訪れるのも、もちろんOK」としています。ただ、何らかの事情でおうちが無くなった犬や猫たちが暮らしており、人間にやっと慣れてきたような犬や猫もいるので、無理に抱っこしたりするのは禁物。犬猫のペースを尊重して過ごすようにしてください。
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曽我 美穂
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