ファッションロスゼロ目指して。ゴールドウインとシンフラックスがコラボ

スポーツアパレルのゴールドウインとデザインシステム開発のSynflux(シンフラックス)によるコラボレーションプロジェクト「SYN-GRID(シン・グリッド)」が11月8日始動した。

シンフラックスが開発した「Algorithmic Couture(アルゴリズミック・クチュール)」は、 衣服の生産時に出る生地の廃棄を極力ゼロに近づけるパターンメイキング技術。これをゴールドウインの人気ブランド「NEUTRALWORKS.(ニュートラルワークス)」と「THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」の新製品に採用、イベントなどでも広く発信していくという。

生地が直線なのに対し、体の線に沿ったシルエットで仕立てる洋服にはカーブ(曲線)がある。洋服を製作する際、従来のパターン(型紙)を使ったでは、裁断時に無駄な部分が出てしまうことが必然だった。「SYN-GRID」は、生地の廃棄量の削減を目指すプロジェクト。ゴールドウインが培ってきたパターン(型紙)技術にアルゴリズミック・クチュールを導入、衣服の3Dパターンデータから、三角形や四角形といった幾何学の型紙に変換できるアルゴリズムを用いてそのパターンを最適化し、低廃棄2Dパターンデータを自動生成。生地の廃棄量を、従来の三分の一程度まで減らすことに成功した。

ノース・フェイス

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)」のGTX Geometric Jacket(ゴアテックス ジオメトリックジャケット)」3万9600円

プロジェクトでは、ニュートラルワークスから「KOCHIA FLEECE CREW(コキア フリース クルー)」2万5300円、同「FLEECE PANTS(フリース パンツ)」2万3100円、ザ・ノース・フェイスから「GTX Geometric Jacket(ゴアテックス ジオメトリックジャケット)」3万9600円を展開。ニュートラルワークスの製品は11月8日から東京・恵比寿の直営店、オンラインストアで購入可能。ザ・ノース・フェイスは11月18日から渋谷パルコ、グランフロント大阪で販売される予定だ。

ゴールドウィンでは、シン・グリッドのリリースに併せ、サステナブルファッションをテーマとしたトークセッションイベント「FASHION FOR THE PLANET」を、11月13日午後1時から、渋谷パルコ10階の ComMunEとオンライン配信で開催する。京都工芸繊維大学教授の野大二郎氏、経済産業省ファッション政策室長の俣野敏道氏など産官学の関係者が登壇、多角的な視点からファッションの未来について意見が交わされることが予想される。ゴールドウインが出資する注目のベンチャー企業、Spiber株式会社のBusiness Development & Sustainability 部門長 兼執行役員の東憲児氏も参加予定だ。参加・視聴は無料なので、時間が合う方は参加してみてはいかがだろうか。

イベント開催情報:ファッションの未来を考えるカンファレンス/FASHION FOR THE PLANET by Synflux + GOLDWIN

布を直線的に裁断して縫い合わせる着物に比べ、立体的なフォルムで仕立てる洋服は曲線的なパターンで断つために端切れを多く出してしまう。衣服の端材を利用した製品が次々と登場する一方、端材の発生自体を抑える技術もある。両方が有機的に機能して、ファッションロスゼロに繋がることに期待したい。

【参照ページ】GOLDWIN×Synflux 「SIN-GRID」
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富永周也

地方紙、業界専門紙など日刊紙記者として製造業、流通、地方行政、ファッション、ライフスタイルなど幅広く取材。SDGs、ESGは氾濫ぎみの情報から、本流を探す。プライベートでは一次産業にも興味あり。