衣類・靴・バッグなど身の回りのものを「なおして使い続ける」文化を社会に根づかせることを目指す業界横断団体、日本サステナブルリペア協会(Japan Sustainable Repair Association、通称:JSRA)が、2026年7月4日「ファッションお直しの日」に一般社団法人として設立されました。修理・お直し産業の社会的価値向上と循環型社会の実現を掲げ、技術の標準化・人材育成・政策連携・広報の4つの柱で活動していきます。
背景にあるのは、衣類の廃棄をめぐる社会課題です。日本政府は、家庭から捨てられる衣類の量を2030年までに2020年度比で25%削減する目標を掲げ、環境省も適切なケアとリペアで手持ちの服を長く着ることを、生活者ができる行動の一つとして示しています。一方で、その担い手である修理・お直し産業は、小規模事業者の分散や人材不足、技術継承の停滞といった構造的な課題を抱えてきました。「服を捨てずに長く使おう」という旗印はあっても、それを支える業界の土台が十分に整っていない——この政策と現場のギャップを埋めることが、JSRA設立のねらいです。
JSRAは「磨く・育てる・つなぐ・広げる」という4つのバリューを掲げ、技術・人材・制度・文化の基盤整備を進めます。「磨く」では修理品質の評価基準や施工標準、用語定義、品質保証マークなどを整備し、生活者が安心して修理を選べる環境づくりに取り組みます。「育てる」では技能認定制度や教育プログラム、学校連携を通じて技術者の社会的地位向上と若手の参入経路をつくり、「つなぐ」では修理業界の公式窓口として行政・教育機関・商業施設・関連企業との連携を進めます。そして「広げる」では、イベントやメディア、SNSを通じて修理文化を発信していくとしています。これらの柱が、業界が抱える課題(技術継承の停滞=磨く、人材不足=育てる、事業者の分散=つなぐ)にほぼ対応する形で設計されているのが特徴です。
JSRAは、行政主導ではなく、修理・お直しを本業とする事業者が主体となって立ち上げた現場発の団体です。設立発起人となったのは、おしゃれ工房、アン・コトン、アプローズ、東京縫製、リフォームスタジオ、BPLabの6社。代表理事にはおしゃれ工房代表取締役会長の髙橋実氏が就き、事務局はおしゃれ工房・リフォームスタジオ・BPLabの3社が連携して担います。ビジョンには「なおして使い続ける文化を未来へ。お直しを社会に誇れる産業へ。」を掲げています。なお発起人のリフォームスタジオは、洋服のお直し「マジックミシン」や靴・バッグ修理「リアット!」などを全国669店舗(2026年2月末時点)展開するイオングループの企業で、年間で延べ約270万人の「長く使いたい」に応え、その取扱量は衣料品・靴・バッグなどで年間約1,200トンにのぼるとしています。街のショッピングモールでおなじみのお直し店も、協会の担い手に名を連ねています。
JSRAが目指す品質保証マークや技能認定制度が育っていけば、「安心して頼めるお直し店」の目印ができ、修理という選択肢がより身近になっていくことが期待されます。今後は、技術・人材・政策・広報の各委員会の立ち上げや評価基準・品質保証マークの策定、10月の「3R推進月間」に合わせたイベント、正会員(お直しを生業とする法人・個人・団体)・賛助会員の募集開始後の会員数の推移などが注目点となりそうです。
【参照記事】リフォームスタジオ株式会社/イオン株式会社 プレスリリース「日本サステナブルリペア協会(JSRA)、7月4日『ファッションお直しの日』の設立に参画」(2026年7月8日、PR TIMES)
【参照記事】WWD JAPAN「修理・お直し業界団体『日本サステナブルリペア協会』設立 技術標準化や人材育成を推進」(2026年7月15日)
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