ごみの排出量を減らすゼロウェイストな活動は、さまざまな分野で注目されている。家庭ごみから産業廃棄物まで、「捨てない、捨てるなら再利用する」という姿勢で、新しい挑戦が次々と生まれているのだ。
そんな中、陶磁器メーカーの「晋山窯ヤマツ株式会社」と、家具や雑貨を手掛けるプロダクトデザイナーの花澤啓太氏は、廃棄された陶器をリサイクルする方法を開発し、環境に優しいサステナブルなプランター「crunch(クランチ)」として蘇らせることに成功した。
一般家庭から回収した陶磁器や炻器(せっき)は再利用する場合、約0.007ミリほどまで細かく粉砕する必要があるが、クランチは0.0625〜1ミリほどに粗く粉砕したものを使用している。あえて粗く粉砕したリサイクル土を使うことで仕上がりが不均一となり、ひとつひとつ異なる表情を見せてくれるのが魅力だ。
陶磁器の原料となる陶土の新しい採掘場を見つけるのはとても難しいという。作ったものを売って終わりにしてしまっては、大切な原料はなくなる一方だ。リサイクル土のみで成形するのはまだまだ難しいものの、クランチには20%の粗く粉砕した土が配合されているそうだ。
あえて量産品のようにシンプルな形にすることで、屋外から屋内、和室から洋室まで置く場所によって印象が変わり、どこでも自然になじむ仕上がりとなった。
水受け用の皿は6色展開。好きな色と組み合わせることで、さらにインテリアとして取り入れやすくなっているのではないだろうか。サイズはSが3,080円(税込)とMが3,850円(税込)の2種類が用意され、市販のビニールポット(2.5号と3.5号)が、そのまま収まるようになっている。
クランチシリーズはプランターのみではなく、マグカップも販売されている。陶器の湯呑みのような表情で、こちらもコーヒーからお茶までさまざまな飲み物を楽しめそうだ。
クランチは、伝統的な焼き物にもまだまだ試行錯誤の余地があることを教えてくれた。日本各地にある、こうした工芸品たちも新しい技術や解釈によってアップデートされ、現代に受け入れられていくのかもしれない。
【ウェブサイト】knot
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斉藤雄二
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