衣類の大量生産・大量廃棄をゼロに。「airCloset」のある暮らしで、心もクローゼットも軽やかに

エアクローゼット

「airCloset(エアークローゼット)」は、衣類をシェアリングすることで、着たいと思う人の手から手に渡り、服を廃棄せずに少しでも長く大切に着てもらう循環の仕組みを提供するサービスです。また、airClosetの最大の魅力は、プロのスタイリストに似合う服をコーディネートしてもらい、新しい自分を発見できるわくわく感です。

そんなairClosetが、利用者がもっと気軽にサステナブルな取り組みに参加できる機会を作るため、取り扱うすべての衣類を焼却・埋め立て処分することなくリユース・リセール・リサイクルできる仕組みを作りました。

試着だけで返却されたアイテムのシェアリングや、レンタル提供が終了したアイテムを販売する会員限定の「エコセール」の開催、またそうした商品の中から破損などを理由に着用できない衣類を取り分け、廃棄衣料品を90%原料とした循環型繊維リサイクルボード「PANECO®」に活用するなどで、衣服の廃棄ゼロが実現しています。

今回は、そんなairClosetの代表である天沼聰さんに、サービスを立ち上げたきっかけや背景、今後の展開についてお話をうかがいました。

すべての人の1日に、ファッションで「心がときめく瞬間」を届けたい

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「いそがしい人にもファッションを楽しんでもらいたい」」と語る、airCloset代表の天沼聰さん

すべての人が平等に持ってはいるが、使い方や感じ方により不平等にもなりうるもの、それが時間の価値。億劫で面倒な時間より、楽しい時間を1分でも1秒でも多く持っていたい。airClosetをローンチした背景には、天沼さんのそんな想いがあります。

「多くの人の毎日にわくわくする時間、価値の高い時間を増やしたい。そんな想いで、暮らしに関わる新しいサービスを作ろうと考えました。衣食住のなかで考えたとき、ファッションが一番、心がときめく瞬間を作れるんじゃないかと。ファッションは本来、自己表現の方法のひとつで楽しいもの。ただ忙しさが続くと毎日同じような格好になり、ファッションに対する期待や情熱は消え、面倒臭く億劫なモノになってしまいます。

そんな服を探して悩む時間や心のゆとりが持てない人をサポートし、ファッションを純粋に楽しんでもらいたい。そうした想いでairClosetを立ち上げました」

日々、時間の価値を感じている女性にファッションを楽しんでもらいたい

airClosetはライフステージが変わるたびに時間の価値を感じやすい女性をターゲットにしています。主なユーザーは30代から40代の女性たちで、9割以上が仕事を持つ方とのこと。また、利用者の半数以上が子育て中の女性だそうです。

「髪型やメイクまで考えると、総じて女性は男性よりもファッションに時間を費やしています。百貨店や駅ビルでも、ファッション関連のアイテム数やフロア数は女性の方が多い。対象や選択肢が多いため、選んで購入するにも時間が必要です。

妻を見ていても、女性は男性に比べ、仕事、結婚、マタニティー期、子育て期などステージが変わるたびに時間の使い方を考え見直しています。例えば、自分よりも子どもに時間やお金を使いたいという人も少なくありません。そんな女性の気持ちはそのままに、自分自身のファッションも楽しめる、そんな生活の実現に役立つサービスを提供したいです」

プロが「選ぶ」パーソナルコーディネートで、思いがけない服との出会い

airCloset

airClosetの最大の魅力は、ただ服をレンタルするのではなく、ユーザーの好みに合わせてプロのスタイリストがコーディネートした服をレンタルする「パーソナルスタイリング」です。自分では選べないコーディネートの服を纏うことで、新しい自分を発見する楽しみがあります。

「オンラインで服をレンタルするだけでは、着こなしを考える時間を節約することはできません。そこで、着こなしを選ぶというプロセス自体をアウトソースすれば、服選びに割く時間や労力を解消できるのではないかと思いました。そこで、プロにコーディネートを選んでもらうという、いままでにない仕組みを考えました」

このプロのスタイリストによる「パーソナルスタイリング」サービスと、コーディネートを楽しむための服のセットをレンタルするという仕組みは、服の管理という点でも利用者の時間や労力の軽減に役立つそうです。

「当初は、服を1着ずつのレンタルすることをイメージしていました。しかしながらそれでは在庫状況によりお客さまの希望の組み合わせが揃わないケースも出てきてしまいます。コーディネートのセットで貸し出せばそうした心配もありません。

返却はご自身が好きなタイミングでしてもらえればよく、服のメンテナンスも不要、クリーニングの必要もありません。また、気に入った服は買い取ってずっと手元に置いておくことも可能です。とにかくファッションを楽しむことに集中してもらいたいです」

レンタルはサステナブルファッションの一つの手段でしかない

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ファッション業界は一般的に環境負荷が高い業界だと言われています。服を買わないレンタルやシェアリングは、サステナビリティを実現するための一つの仕組みともいえます。一方で、まだオペレーションや輸送について課題があるといいます。

「事業者として服の廃棄をゼロにしていくことは簡単じゃない。レンタルはあくまでも手段の一つでしかありません。シェアリング自体は、同じモノを何度も使うという仕組みなので、その部分だけ取り上げれば、合理的で環境面にも良い取り組みに見えます。しかしながら反面、モノが行ったり来たりするので、モノの移動が増え、輸送時のCO2の排出量も必然的に増えます。こうした部分は、もっと数字として研究すべきだと考えています」

これまでは、廃棄衣料問題一つを取っても自社で取り組もうとする企業が多かったそう。「社会や経済にインパクトをもたらすサーキュラーエコノミーの実現には、企業1社だけでなく、アパレル業界全体、もしくは他の産業との連携も必要になる」と天沼さんはいいます。

「大量生産、大量消費、大量廃棄が環境に良くないのは目に見えています。一方でシェアリングサービスもモノが行ったり来たりするという点で、配送自体が増えるので、輸送の際に二酸化炭素を多く排出することになります。しかしこれから電気自動車か増えいくと、そこにはCO2を気にしなくてもいい未来も考えられます。これからの時代は各社が手を取り合い連携してやっていくことが大事だと思います」

ファッションのサーキュラーエコノミーで実現したい社会とは

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アプリを介して日々交わされる、スタイリストとのコミュニケーションもairClosetの魅力の一つです。現在は約300人のスタイリストが利用者の方のコーディネートを担当しています。多くの新規ユーザーは、月1回のレンタルが可能なライトプランから始め、月に何度でも洋服をレンタルできるレギューラープランに移行していくそう。そこからも、プロのコーディネートを満喫している方が多いことがわかります。

最後に、読者に向けて天沼さんからメッセージをいただきました。

「忙しい毎日でも新しいファッションに出会い、新しい自分にわくわくする。どんなライフステージにおいても、誰もがファッションを楽しめる未来を作っていきたいと考えています。また、今回「廃棄衣料ゼロ」に取り組んだことで、airClosetは、これまで以上に循環性の高いサービスとなりました。

スマートフォンひとつで自然とサステナブルにファッションを楽しむことができる。そんな存在であり続けたいと思います」

編集後記

airCloset社のオフィスを訪れて最初に目に飛び込んできたのは、ミニマルなデザインの空間にディスプレイされた洗練された洋服たち。自宅のクローゼットを服でいっぱいにするのではなく、必要な分だけ手元に置き、季節やトレンド、気分に合わせてその時一番着たい服を着る。日々のコーディネートのわずらわしさから、ついつい似たような服がクローゼットにびっしり並ぶ、筆者のような人間にはなんとも嬉しいサービスです。

プロにコーディネートしてもらった服を着て、いつもとはちょっぴり違う自分になれる。

airClosetは、クローゼットも私たちの気持ちも、すっきりミニマルに整え、日々の暮らしに「余白」を創り出してくれるのではないでしようか。

(取材・写真:わだみどり)

【参照サイト】【公式】airCloset(エアークローゼット)|プロが選ぶコーデが届く、ファッション(洋服)サブスク・レンタル
【参照ページ】環境省 サステナブルファッション
【関連ページ】【環境省のサステナブルファッション担当者に聞く(前編)】服を買う時に私たちにできること
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Life Hugger 編集部

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