近年、昔ながらのお墓に代わる埋葬法を選ぶ人が少しずつ増加しています。そこで今回は、遺骨をお墓ではなく自然に還す「自然葬」についてまとめました。
そもそも、なぜ他の埋葬法を選ぶのか
従来の日本のお墓は、長男が引き継ぐスタイルが一般的でしたが、以下の理由から、最近は他の埋葬方法を選ぶ方も増えてきています。
- お墓を守ってくれる墓守がいない
- 管理費などの費用がかかる
- 後を継いでくれる子どもや孫がいない
- 子どもに墓参りなどの負担をかけたくない
- これまでの価値観にしばられず、自然に還りたい
- 無宗教なので、墓石は必要ない
では、お墓以外にはどのような埋葬方法があるのでしょうか?
海への散骨
遺骨を粉末にして、海などへ撒くことを「散骨」と言います。散骨はどこでも自由にできるわけではありません。散骨可能な場所が条例などで決められているため、個人で行うのは容易ではありません。散骨を実施している団体にお願いしましょう。
循環葬®
火葬後の遺骨を粉骨し、森林の土中に直接埋葬する方法です。循環葬®では、土壌学の専門家である鈴木武志助教授の監修のもと、遺骨を専用の機器で細かく粉砕し、森の土壌に混ぜて埋葬します。樹木や微生物によって、数ヶ月ほどで自然に還ります。【関連ページ】「お墓はいらない」と考える人への新しい選択肢。死んだら森になる「循環葬®」を取材
樹木葬
樹木葬では、シンボルツリー(樹木葬の墓標となる樹木)を植え、その周辺に遺骨を埋葬します。多くの場合、遺骨は骨壷に納められて埋葬されますが、直接土に埋葬するところもあります。
【関連ページ】本当に自然に還る樹木葬。東京里山墓苑に新プラン誕生
【番外編】有機還元葬(堆肥葬)
有機還元葬(堆肥葬)は、遺体を自然なかたちで生分解して堆肥に変える埋葬法です。土葬と原理は同じですが、テクノロジーの力でより早く、確実に土へ還ることができます。2019年、米国ワシントン州で合法化されましたが、日本ではまだ導入されていません。将来的な可能性に注目が集まっています。
【関連ページ】今注目の「有機還元葬(堆肥葬)」とは?シアトル視察の報告会に行ってきました。
自分らしい最期を考えてみては?
ご紹介したように、日本でもこれまでの伝統的なお墓に代わる埋葬法を選べるようになってきています。
自然葬には様々な形態がありますが、お墓を建てるために土地を削ったり、木々を伐採したりする必要がありません。自分らしい最期を迎え、残された人たちに想いを伝えるためにも、ご自身やご家族の感覚に合った埋葬法を考えてみてはいかがでしょうか。
【参照サイト】いいお墓
曽我 美穂
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