さまざまな生き物が、お互いに関係しあい生きていることを「生物多様性」といいます。生物多様性が大切なことがいわれていますが、子どもに伝えるにはなかなか難しいと感じてしまう人も少なくありません。そんな時は、親子で一緒に絵本を読んでみてはいかがでしょうか。
今回はエコライターの曽我美穂が「これは読みやすい&伝えやすい」と感じた絵本を4冊、紹介します。
『森の絵本』
絵とことばで「森」が生き物の宝庫であること、人間の私たちにとっても大切な場であることを伝えてくれる絵本です。
詩人の長田弘さんの染み入るような表現と、荒井良二さんの温かい絵の組み合わせが、伝えたい内容に深みを加えています。
私自身、子どもたちが赤ちゃんのころから何十回も読み聞かせをしてきたのですが、読むたびに新しい気づきがあります。
小さい子どもにも読み聞かせできる内容ながら、大人が1人で読んでも心にしんみりと響く普遍的な内容なので、出産祝いにも、自然が好きな大人へのプレゼントにもぴったりです。
著者:長田弘/作 荒井良二/絵
出版社:講談社
初版年月日:1999月8月9日
『山に木を植えました』
実際に気仙沼(けせんぬま)の漁師さんが行っている植樹活動のお話をもとに作られた、海と山のつながりを伝えてくれる絵本です。山に木を植える場面から始まり、成長した木の実が生き物や土へのめぐみをもたらすことを伝え、最後には水が川につながり、栄養を運んで海に流れつくまでを伝えています。
汽水(淡水と海水が混合して形成される中間的な塩分濃度の水体)やプランクトンの話も分かりやすく説明されているので、生き物が大好きな小学生の息子は、熱心に聞いていました。
文章は長めですが、正確さと親しみやすさが同居する素晴らしい絵があるので、生き物に興味がある子どもなら、年少さんごろからでも十分、読み聞かせができると思います。
著者:スギヤマカナヨ/作 畠山重篤/監修
出版社:講談社
初版年月日:2008年05月29日
『もったいないばあさんと考えよう 世界のこと 生きものがきえる』
『もったいないばあさん』シリーズの中でも、生物多様性をテーマにした絵本です。絶滅の危機に瀕している動物10種と、その理由が書かれています。
後半には、生きものが消えるとどうなるのかを説明しながら、生物多様性の大切さ、生きものが消えている理由を伝えています。
説明がとても分かりやすいので、子どもに質問をされた時に説明をするのにも役立ちそうです。
「地球が豊かなのは、いろいろな生きものがいるからこそ。バランスがとれていることは、とても大事なことなんじゃよ。みんな支えあって生きているからね」というもったいないばあさんのコメントが、深く心に刺さります。
著者:真珠まりこ/作・絵
出版社:講談社
初版年月日:2010年05月22日
『いきものがたり 生物多様性11の話』
地球の動植物のつながりはもちろん、多様なゾウリムシの世界、自然の恵みから作られる色、人体の中の細胞の多様性など、いろんな角度から生物多様性を伝えてくれる本です。
フリガナがないので、1人で読むには小学校高学年くらいからがおすすめです。
ただ、好きな箇所から、好きな分量を読めるつくりになっており、絵を見るだけでも想像力がムクムク膨らむので、お子さんと一緒に読むなら、いくつからでも良いと思います。
随所に入っている漫画家のしりあがり寿さんの「いきものまんが」も、いい味を出しています!
著者:山本良一/企画監修 Think the Earthプロジェクト/編著
出版社:ダイヤモンド社
発行年月日:2007年04月
生物多様性はとてもスケールが大きい話ですが、まずは感覚として生き物のつながりを感じるために、今回ご紹介した絵本をぜひ手に取ってみてください!
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曽我 美穂
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