コロナ禍も徐々に落ち着き、国内の旅行需要は戻りつつあります。これから本格的に国内旅行を計画している人にとっては、改めて「サステナブルツーリズム」を考えるきっかけになるかもしれません。本記事では、国内で運航している航空会社の「サステナブルな取り組み」について紹介します。
目次
移動距離あたりのCO2排出量は国内線フライトが最多
オックスフォード大学と教育慈善団体のThe Global Change Data Lab(ザ グローバル チェンジ データ ラボ)が共同運営するデータまとめサイト「Our World in Data(アワー ワールド イン データ)」の記事「Which form of transport has the smallest carbon footprint?」によると、1kmあたりのCO2排出量は「国内線フライト」が最も多いことが分かっています。
画像は、Our World in Dataから引用。
次いで「自家用車(ガソリン)」、3位は「自家用車(ディーゼル)」、4位が「国際線フライト」です。旅行でよく利用される飛行機が環境に与える影響はとても大きいことがわかります。
飛行機の燃料や運航方法を個人が変えることは難しいものですが、環境に配慮した航空会社を選ぶことは可能です。2023年現在、国内でも持続可能な運営を目指している航空会社は少しずつ増えており、利用者は取り組み事例の一部をチェックできます。
各航空会社のサステナブルな取り組み
各航空会社のサステナブルな取り組みの具体例を見ていきましょう。
ANA(全日本空輸株式会社)
画像は、全日本空輸株式会社から引用。
国際線、国内線ともに旅客数トップクラスを誇るANAは、「ANA Future Promise(ANA フューチャー プロミス)」と題した特設ページを設け、同社のサステナブルな取り組み事例を積極的に紹介しています。航空機の燃料にはSAF(※植物油、糖、動物性脂肪、廃棄バイオマスなど、持続可能な供給源から製造される航空燃料)を活用し、航空機自体も燃費効率に優れた機体やエンジンを採用。エンジンの洗浄や機内装備を見直し、燃料消費を削減しています。
その他の事例としては、これまで廃棄していた機内用羽毛布団のリサイクル、機内食容器を植物由来の素材へ変更するなどの脱プラ化、機内食残渣の肥料化といった取り組みもあります。
【ウェブサイト】全日本空輸株式会社
JAL(日本航空株式会社)
画像は、日本航空株式会社から引用。
ANAと同じく国内最大手の航空会社JALは、2009年にアジア初となる非可食原料によるSAFを用いた試験飛行を実施した航空会社です。近年では廃棄衣料品を回収し、国産SAF製造に挑戦するプロジェクトを立ち上げたところ約25万着が集まり、燃料化に成功。2021年には製造したSAFを使った飛行機が実際に運航しています。
2022年には旅客向けの企画として、CO2排出量ゼロで沖縄に向かうツアーを企画。機内ではナビゲーターによるトークイベントも開催し、搭乗機のカーボンニュートラルな取り組みを紹介しました。オリジナル機内食、ドリンクなどを用意し、持続可能な旅行をリアルに体験できる商品もすでに販売開始しています。
【ウェブサイト】日本航空株式会社
株式会社AIRDO(エア・ドゥ)
画像は、株式会社AIRDOから引用。
北海道札幌市に本社を置く株式会社AIRDOは、地元・北海道の環境保護を目的とした活動を2008年から実施しています。「ほっかいどう企業の森林づくり」と連携し、道内の就航6地域で植林活動(新千歳に15,000本・旭川に1,500本・函館に1,950本・女満別に2,000本・帯広に2,000本・釧路に1,700本)を継続しているほか、2019年からは間伐や枝打ちといった「育樹」にも参加。同社が植樹したエリアを上空から見ると、木で「AIRDO」の文字が描かれていることがわかります。
他にも機内食やカトラリーを紙製に変更した「脱プラ化」やエンジンの洗浄、燃費効率の良い経路・高度の選定といった取り組みを継続的に実施しています。
【ウェブサイト】株式会社AIRDO
FDA(株式会社フジドリームエアラインズ)
画像は、株式会社フジドリームエアラインズから引用。
静岡県に本社を置くFDAは、2022年3月にユーグレナ社のバイオ燃料「サステオ(使用済み食用油と藻類が原料の燃料)」を使用したフライトを実施。今後、本格的なバイオジェット燃料の導入に向けて検討を進めています。
他に、機内・空港ラウンジでは脱プラ化に加え、時刻表や紙媒体のWeb化、貨物梱包材や衣類等のリサイクルなど、細かなところにこだわったサステナビリティを継続しています。
【ウェブサイト】株式会社フジドリームエアラインズ
株式会社ソラシドエア
画像は、株式会社ソラシドエアから引用。
宮崎県宮崎市に本社を置く株式会社ソラシドエアは、機内で使用されたシートカバーの廃棄品を生活用品にリサイクルする取り組みを実施。これまでは規定のクリーニング回数および美観維持の基準を超えたシートカバーが年間約650kg分も廃棄処分されていましたが、それが新たなアイテムに生まれ変わっています。製作されているアイテムはコースターやスリッパ、クッション、携帯用スリッパなど、機内でも使えそうなものばかりです。
【ウェブサイト】株式会社ソラシドエア
さいごに
航空会社のサステナブル事例5選を紹介しました。快適な空の旅とあわせて、これからは地球環境についても考えなければなりません。旅行で飛行機を利用するときには、当記事で紹介した取り組みにも目を向けると、より有意義なものになるのではないでしょうか。
【関連ページ】旅に行く時にもサステナブルなトラベルグッズを用意しよう!
【関連ページ】水筒やマイボトルの旅行先での洗い方は?おすすめグッズを紹介
【関連ページ】環境に優しい竹を用いたアメニティ「MiYO Organic」のあるサステナブルな宿
斉藤雄二
最新記事 by 斉藤雄二 (全て見る)
- 【2024年】Apple公式下取りサービス「Apple Trade in」とは? 実際に利用した様子と査定額も - 2024年10月7日
- 廃棄物から生まれた香り、チョコレートの残渣を使ったお香「カカオハスクのお香」販売開始 - 2024年9月30日
- 東京都、10月12日より都市課題をアートで表現する体験型展示会「エモーション・クロッシング展」開催 - 2024年9月27日