「0円服の交換会」参加レポート。ファッションの楽しみ方は「買う・捨てる」から「貰う・あげる」に

服の交換会

クローゼットや引き出しの奥に眠っている衣類や小物たち。着なくなってしまった理由はさまざまですが、だからといって捨てるのはもったいない。新しい服が欲しいけれども、眠っている服を処分しないとしまうスペースもなく、気持ち的にもスッキリしない。

そんな思いを抱いている方におすすめしたいのが、お互いの着なくなった服を持ち寄り交換する「0円服の交換会」です。家に眠っている不要な服を持って参加し、持ち込んだ枚数分の服を引き取るという仕組みで、一人あたりが所有する服の枚数は変わりません。

現在、一人あたりが年間購入する服の枚数は約18枚、手放す服は約12枚、着用されずに家の中で眠っている服は約25枚あるそうです。手放す方法は主に3つで「リサイクルショップなどに売る」「地域や購入店で資源回収に出す」、そして最も多いのは「可燃ごみ・不燃ごみとして廃棄する」となっています。

1着の服が短い間に着ない服となり、結果として手放すサイクルも短くなっているのが現状です。その解決方法は、1着の服の寿命を少しでも長く、大切に使い続けることにあるのではないでしょうか。

参照:環境省 サステナブルファッション

「0円服の交換会」はそうした課題解決に向け、1着の服に対して、自分ひとりではなくみんなで服の寿命を延ばしていこうという取り組みです。

今回は11月5日(土)・6日(日)に「GTFグリーンチャレンジデー2022 in 新宿御苑」内で開催された「0円服の交換会」に、古着を持参して参加。服の循環を育む取り組みを実際に体験してきました。

使わない服の循環を生み出す「0円服の交換会」とは?


家で眠っている服を持ち寄り、誰かの家で着られなくなった服からお気に入りを見つけて持ち帰る。一人ではなく、1着の服をみんなで長く楽しむことで、大量生産・消費・廃棄を減らすことをめざす「0円服の交換会」は、ファッションECサイト「ワンピース」を運営する株式会社ワンピースと、サステナブルなアウトレットモール「SMASELL(スマセル)」を運営する株式会社ウィファブリックのコラボレーション企画です。断捨離目的で服をリサイクルに出す、リーズナブルに服を楽しむために古着を購入するという目的だけではなく、今ある服に対して、一人ひとりが責任を持ち「服の循環」を育んでいく活動です。

参照:ワンピース公式 SMASELL(スマセル)公式

参加方法はいたってシンプル。家に眠っている服を最大10枚持ち込み、持ち込んだ服と同じ枚数分、会場にある服の中から気に入った服を持ち帰ります。以下のルールを守れば、誰でも気軽に参加できる取り組みです。

【ルール】
・持ち込み1枚につき1枚と交換可能
・下着や肌着、靴下などは不可
・カビや穴の空いた服、毛玉やシミ、よれ、色褪せなどダメージがあるものは不可
・マフラーや靴などの小物も交換可能
・一人10着まで交換可能
・洗濯済みの洋服のみ預かり可能
・回収された商品の返還不可

【有料ブース・追加事項】
・汚れや破れのない、清潔できれいな服を持参する
・状態が悪いアイテムは受付不可。シミ・汚れは1cm角未満に限る
・持ち込んだ点数と同じ点数だけ持ち帰り可能

会場には無料で参加できるエリアと、2,000円の参加費が必要となる有料ブースの2つのエリアが設置されていました。今回は、無料ブースのほうに参加してみました。

手前が有料ブース、その奥が無料ブースエリア

0円服の交換会に初参加レポート

0円服の交換会

0円服の交換会を運営する株式会社ワンピース

ファッションECサイトを運営する株式会社ワンピースが主催した「0円服の交換会」は、着なくなった服を持ち寄り、持ってきた枚数分の服を持ち帰る、物々交換のようなイベントです。会場には色や素材、種類別に仕分けされた服がハンガーラックにまとめられて展示されています。

今回持ち込んだのは、この2年間一度も着なかった女性用のストライプワイドパンツ1着。汚れや傷みの有無はもちろんのこと、「自分でもまだ着ることがあるかもしれない」と、少し悩むくらいの服を選びました。まずは入口でチェックインし、ハンガーを借ります。

服の交換会

入口の受付で持ってきた服を見せ、枚数分のハンガーを受け取り、チェックイン完了

服は色や種類別にラックにかかっているので、自分が持ち込んだ服の色味やジャンルに合った場所にかけたらおしまい。あとは持ってきた枚数分、持ち帰りたい服を探すだけと、いたってシンプルです。

ストライプのパンツは、ブルー系の服が集まるラックに

大切な思い出がつまった服が自分の手を離れ、ラックにかかった服たちと並んだ瞬間、服が旅立っていったような気持ちに。服を探している間も気になり、何度も様子を見に行きました。そうしている間にも、次から次へと人が集まり、各々が持ってきた服をラックにかけ、気に入った服を持ち帰っていきます。

服の交換会

会場には服を仕分けたりする作業スペースもあります

今回は朝一番に参加しましたが、その時間にはまだ服が集まりきっていません。ある程度参加人数が増えてくる時間を狙って来れば、持ち込まれたばかりの服の中から好みの服を探すことができます。そうこうしているうちにふと見ると、朝ラックにかけたパンツがなくなっていました!少し寂しい気もしましたが、再び誰かに着てもらえると思うと嬉しい気持ちに。

昼過ぎには、ラックからなくなっていたストライプのパンツ。大切に着てもらいたいです

持ち帰りアイテムを探す場面では使う目的や場面を想像し、自分以外の家族で服を必要とする人がいないかなど、交換した服を無駄にしないように慎重に選びました。今回持ち込んだパンツ1着分は娘の部屋着用に、まだタグがついているTシャツ1枚と交換することに。初めての服の交換会を満喫することができました。

服の交換会

小学生の娘用にTシャツを持ち帰りました

人気スタイリストの私物など掘り出し物も!有料ブースも人気

今回参加したのは無料ブースのエリアでしたが、隣に設置されていた有料ブース(参加費2,000円が必要)にも朝から人が訪れていました。そんな有料ブースを主催していたのは、サステナブルなアウトレットモール「スマセル」を運営する株式会社ウィファブリックです。代表の福屋剛さん曰く「有名スタイリストの私物や、有名ブランドの在庫処分品(新品)など、掘り出し物が出展されるので、朝から有料ブースに参加する人もいる」とのこと。

服の交換会

「有料ブースでは、人気スタイリストの私物など、掘り出し物が探せます」と、株式会社ウィファブリックの福屋さん

会場にはアパレルの在庫品など、新品のアイテムも多く、持ち込んだ枚数分を持ち帰ることができるので、ファッション好きであれば一度は覗いてみてほしいです。

服の交換会

有料ブースは参加費用が2,000円必要ですが、新品のアイテムも多く出展されているのでお得感があります

「飽きたら捨てる」から「飽きたら交換・循環させる」に

リサイクルの回収ボックスに入れたり、業者に買い取ってもらったりするわけではない。古着屋でリユース品やビンテージアイテムを購入するのとも違う。服を1枚提供したら、1枚持ち帰ることで、新たな消費も廃棄も生み出さない仕組みです。会場で「0円服の交換会」を主催する株式会社ワンピースの副社長、春木晃子さんにお話を伺いました。

株式会社ワンピース副社長の春木晃子さん。ファッションに携わっているからこそ、服の廃棄を減らしていきたいと言います。

「主な参加者は開催場所にもよりますが、主に30〜50代の女性。特に主婦層が多い」と言う春木さん。目的は断捨離だったり、リーズナブルに普段着を手に入れたかったりとさまざまですが、いつも生活に向き合っている層だからこそ、「まだ着られる服を捨てたくない」「まだ着られる服があるのに新しい服を買いたいくない」という気持ちが根底にあるといいます。

今の問題点は「持ってくるのは普段着でも、持ち帰りたいのはオシャレ着」という人や、いわゆる「断捨離」を目的に参加する人たちに持ち込んだ分の服を持ち帰ってもらえず、結果として交換会の服が増えてしまっていることにあるのだそう。

解決すべき課題はあるものの、これからも全国で服の交換会を開催していきたいという春木さん。

「服の交換会に持っていく服を選ぶ時や持ち帰る服を選ぶ時、どの服にするのか悩んだり、迷ったりする時間を大切にする。そんなふうに1着の服と真剣に向き合いながら、生活者の意識が『飽きたら捨てる』から『飽きたら循環させる』へと変わっていくことを願っています。この『服の交換会』がそのきっかけになってくれればと思います」
服の交換会

編集後記

今回「服の交換会」に初めて参加することとなり、どんな服を持っていこうかと真剣に迷いました。大事にしてくれる誰かの目に留まるものをと選んだ服を手に、「今の段階で着ないと判断するのは時期尚早ではないか」「まだ着られるのではないか」と悩みました。と同時に、「購入する時にも同じくらい真剣にこの服と向き合っただろうか」と、自分に問いかけました。

持ち込んだ服が誰かの手に渡ったと知った時には、うれしさ半分、さみしさ半分。手放すと決めた時の思いを胸に、新しく持ち帰る服を選ぶ時には、少しでも長く使えるものをと真剣に選びました。着ない服を交換し合うというシンプルな取り組みですが、1着の服に真摯に向き合い、少しでも長く使い続けることについて改めて考えられる、良い機会になりました。

服の交換会は、部屋の奥で眠っている服が1着でもあれば、誰でも気軽に参加できるイベントです。服のライフサイクルが少しでも長くなるように、機会があればぜひ参加してみてください。

(文・写真:わだみどり)

【参照サイト】GTFグリーンチャレンジデー2022 in 新宿御苑
【参照ページ】環境省 サステナブルファッション
【関連ページ】【環境省のサステナブルファッション担当者に聞く(前編)】服を買う時に私たちにできること
【関連ページ】【環境省のサステナブルファッション担当者に聞く(後編)】服を手放す時に考えたいこと

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Life Hugger 編集部

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