「デニムに合う上品なカジュアル」をコンセプトにしたセレクトショップ・Shinzone(シンゾーン)の新店舗「Shinzone表参道本店」が2023年5月18日にオープンしました。同店は、内装のメイン資材に近年需要が減少している京都の北山丸太を採用したり、廃棄デニムを使った別注コレクションを発売したりするなど、エコフレンドリーな要素を充実させた同ブランドの新たな旗艦店です。また「ファッションとウェルフェア(福祉)の架け橋」を掲げ、この場所から、社会的養護下にある⼦どもたちのサポートを目指していくそうです。
今回はそんなShinzone表参道本店と、ファッションを通じて人や社会、環境にポジティブなアクションを起こしている同ブランドのこだわりを取材しました。
過剰在庫のリスクを減らすために北山丸太を内装に施した新店舗
今回オープンしたShinzone表参道本店は、長年ブランドが軸としてきたミッドセンチュリーモダンのインテリアデザインを取り入れた内装が目を引く新店舗です。
注目は入口やレジなど、店内のいたるところに散りばめられている丸太。「北山丸太」は600年の歴史を持つ京都の北山杉を使った丸太で、日本の茶の湯文化を象徴する茶室や数寄屋の建築用材に多く用いられてきました。
しかし、近年では和風建築の減少に伴い、北山丸太の需要も激減。そこで和風用材をファッションブランドのモダンな店舗の内装に採用する事例を作ることで北山丸太の過剰在庫のリスクを減らし、日本の伝統工芸継承を応援する取り組みを進めているそうです。
また同ブランドの根幹とも言えるデニムアイテムもエコフレンドリーに。同店舗のオープンを記念して、廃棄デニムコレクションを老舗セレクトショップ「John’s Clothing」に別注。ヴィンテージデニムとはまた違った魅力が感じられる、廃棄デニムを使ったアイテムを取り揃えました。
大人気定番アイテム「CHRYSLER PANTS(クライスラーパンツ)」においてもエコフレンドリーな商品展開がされています。表参道店オープンを記念して、ブランドが抱えるコットンリネンの残反生地を使った限定モデルが50本制作されました。廃棄された残反生地を使ったコレクションはShinzone初。今後は他のアイテムの展開も目指していくそうです。
さらに、表参道本店の開店を皮切りに、だれでも気軽に店舗に立ち寄ってマイボトルに新鮮な水を給水できる「給水スポットサービス」がShinzone全店で順次始まります。店内では、同ブランドのロゴが入ったシアトル発の「MiiR/ミアー」ボトルも販売されます。
ファッションとウェルフェア(福祉)の架け橋を掲げる取り組み
Shinzoneでは、ファッションとウェルフェア(福祉)の架け橋を掲げる取り組みとして、社会的養護下にある子どものたちのサポートを実施しています。最初のプログラムとしては里親養育支援をサポートする「一般社団法人COCO PORTA」とタッグを組み、里親里子の方々と共に、表参道店の内装、取扱商品の一部をデザイン・制作しました。
試着室のフィッティングカーテンには子どもたちが制作した糸で描く絵画「タフティング」が。子どもたちのイニシャルや好きなマークが施され、ポップで可愛らしい雰囲気を醸し出しています。また試着室内にも額縁に入れられた子どもたちの絵が飾ってありました。
来店した方へのサービス提供および販売するハーブティーのパッケージデザインにも、子どもたちの描いたイラストが使われています。今後もワークショップなどを通して、子どもや保護者を対象としたさまざまなプログラムを開催する予定とのことです。
セールをしない方針でファッション業界の悪慣習に逆風を
ファッションブランドとしての枠組みを超えた、社会的意義のある取り組みを実践しているShinzone。株式会社シンゾーンの代表取締役である染谷裕之さんに詳しいお話を聞くと、そこにはファッション業界のジレンマを解消したいという、同ブランドの強い思いがうかがえました。
「数年前と比べても今はセールの時期が早くなりました。例えばこれから夏本番だというのに夏物がセールで売られているなど、生産と販売のサイクルがどんどん早まっています」と、染谷さんは言います。
そんななか、Shinzoneは2019年冬からそのシーズンの商品をセール販売しない方針に転換しました。在庫を抱えるリスクが高い方針ですが、前段階から売り切れる量などを意識した生産・販売を行えていて、結果的に在庫は減少。さらにはセールをしないことでスタッフやお店の信頼度が増し、売り上げもアップするという好循環が生まれました。
「明日にはセールで安くなる商品を、なんとか定価で売れる今日中にさばいたほうが売り上げは伸びる。そんな思いで働くのは、うしろめたさや心苦しさがあるかと思います。セールをやめたことで従業員の働きやすさにも寄与できたと思っています」(染谷さん)
Shinzoneが大事にしているコンセプトは「流行は取り入れるけれども追わない」。流行の服はそのシーズンだけ大量に作られ、流行が過ぎ去れば廃棄されるリスクが高まります。Shinzoneでは、そんなファッションの大量生産、大量消費を減らしていきたいというスタンス。あくまでデニムに合う上品なカジュアルを追及し、長く愛着を持って着続けられるアイテムをお客さんに提供することを大切にしたいそうです。
ブランド、店舗、スタッフを信頼してもらい、本当に良い商品を提供し続ける。そしてファッションとウェルフェアの架け橋になる。そんな強い思いが詰め込まれている「Shinzone表参道本店」。これからどんなエコフレンドリーな取り組みや商品を展開してくれるのか、楽しみですね。
【参照サイト】Shinzone公式ウェブサイト
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