日々のおやつ、どうしてる?~手づくりおやつ編ー服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア

海外で人気のライフスタイル「ゼロウェイスト」。日本でも少しずつ聞くようになってきて、「ごみを減らしたい」「捨てる以外の方法が知りたい」という声をよく耳にします。その一方、大量に出るごみを前に、どこから手をつけたらいいのかわからないという声も少なくありません。

そこでLife Huggerでは、「サステイナブルに暮らしたい」「サステイナブルに家を建てる」の著者で、ゼロウェイスト生活を発信する服部雄一郎さん、服部麻子さんとのコラボレーション企画として「服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア」の連載をスタート!

第41回目となる今回は、「日々のおやつ、どうしてる?~手づくりおやつ編」です。

手づくりおやつは父親担当

麻子前編では「市販のおやつ」の工夫についていろいろお話ししましたが、うちはわりに手づくりおやつも作ります。

雄一郎:手づくりおやつは、きちんとした素材を選べば、味もおいしいし、よりヘルシーだし、値段もかなり割安。子どもが「手づくり」になじんでくれそうなのも、親としてはうれしい点だよね。

麻子:うちでは、おやつ係は雄一郎さん。わたしは甘いものよりも料理の方が好きで、お菓子はほとんどつくらない。年に何回かおはぎとかつくるけど。時々おやつをつくる場合でも、つい「焼きおむすぎ」とか「お茶漬け」とか「うどん」とかになっちゃう(笑)。だから、子どもがよろこぶ日々のおやつは、ほとんど雄一郎さんが用意してくれてます。

雄一郎:僕はおやつ好きだから。でも、決して腕前がいいわけじゃない。うちなりのコツをご紹介したいと思います。

工夫1:手間をかけない

雄一郎:最大のモットーはこれ、「手間をかけない」。僕は「手間とおいしさは比例しない」と固く信じているので。複雑な行程のお菓子も、そうでないお菓子も、それぞれ全然ちがうおいしさがある。だったら、「かんたんなお菓子でいいじゃん」って。基本は「混ぜて焼くだけ」みたいなお菓子ばかりを選んでつくってます。

麻子:生クリームとか、ほとんど使わないよね。

雄一郎:上手にデコレーションできなくてストレスだから(笑)。こどもの誕生日とか、たまには頑張るけどね。難しいお菓子って、失敗しやすいから、そういう意味でも、やっぱり「簡単なお菓子」の方がいい。バターとかも、「室温に温めてからクリーム状に練る」とか面倒くさくて、「溶かしバター」でザっとつくれるマドレーヌとかが好き。

麻子:結果、素朴なお菓子が多くなるけど、ふつうの焼きっぱなしのスコーンとか、クッキーとか、蒸しパンとか、やっぱり家でつくったものには、買ったものにはないおいしさがあるよね。

雄一郎:「不出来でもおいしい」みたいな感覚はすごくある。贅沢なお菓子は外のお店にいくらでもあるから。逆に、素朴であればあるほどおいしいような…。

マドレーヌは溶かしバターを混ぜるだけなのでかんたん!

麻子:家でつくったものだと、買ったお菓子よりも割安な分、良質な材料が使えるのもうれしいところ。

雄一郎:あとは、「つくる以前」みたいな、焼きいもとか、ジャムトーストとかも、個人的にはすごくいいおやつだと思ってる。ジャムトーストなんて、フランスに行けば「タルティーヌ」なんて洒落た名前だったりするから。こんがりトーストして、おいしい無塩バターとジャムを乗せれば、ちゃんとすごくおいしい。

バターが溶けてしまわないように、焼きたてトーストの上にまずは冷たいジャムを乗せ、その上からバターを乗せるのが個人的なこだわり

麻子:ヨーグルトなんかもね。品質の良いものは当然だけど値が張るので、日常的に買うのは厳しい。でも、買ったヨーグルトを種にして家でつくれると、これも立派な「手づくりおやつ」。

雄一郎:豆乳ヨーグルトが手軽につくれるようになったのは本当によかった! インスタグラムでみなさんからいろいろ教えていただいたおかげです(こちらや、こちら、よかったら参考にしてください)。

手づくり豆乳ヨーグルトはすっかりわが家の日常に。常温でもできますが、保温すると出来が安定するので、シャトルシェフ(保温鍋)で保温しています

工夫2:自分が食べたいものをつくる

雄一郎:手づくりおやつを続けるにあたって、意外に大事なのではないかと思うのがこれ、「自分が食べたいものをつくる」。

麻子:つまり、「子どもが喜ぶことを期待しない」ということ?

雄一郎:そう!どんなに「手間をかけない」と言ったって、やっぱり、時間がない中で多少の手間はかかるわけで。そして、つい「喜んで食べてほしい」って思ってしまうのが人情というものだけど…。でも、地味なおやつって、子どもとしてはそんなに「ワ~♪」って言うほどでもなかったり。「これ、あんまり好きじゃない…」とか言われてガックリしたり。

麻子:それ、私もすごく思い当たる。子どもに頼まれたわけでもないのに、勝手につくって期待して、「何でよろこばないの!?」というガックリパターン(笑)。

雄一郎:そう、それイヤだなと思って。僕の場合は、自分もおやつが食べたいから、もう「自分のためにつくることにしよう!」って思って。それで「よかったら子どもたちもどうぞ」くらいの感じ。子どもたちが「これあんまり好きじゃない」って言っても、「あ、そう? じゃ、お父さんが食べる分が増えてよかった♪」みたいな(笑)。

麻子:手づくりおやつって言うと、一般的には「子どものための愛情たっぷりおやつ」みたいなイメージを持ちがちだけど、うちの場合はだいぶ違うかも(笑)。おやつ作りもサステイナブル(持続可能)でないとね!

工夫3:子どもにつくってもらう

雄一郎:最後はこれ、「子どもにつくってもらう」! 

麻子:教えるのは雄一郎さんの係。つくるのは子どもで、私は横で「わーすごい!上手!天才!」って盛り上げる係。オートミールクッキーとか、手びねりクッキーとか、バナナブレッドとか・・・小さい頃からかなりいろいろつくってきたよね。

雄一郎:心から応援してきたし、つくってくれたお菓子をみんなで一緒に食べられて、現実的にすごく助かってる。

オーブンを使うようなお菓子だけでなく、ヨーグルトやフルーツやアイスを盛り付けるだけの「パフェ」もよくつくってもらっています

麻子:子ども自身も、自分でおいしいおやつをつくれるのって、かなりの手ごたえになってるんじゃないかな。

雄一郎:時間をかけてつくることになるから、子どもの暇つぶしとしても最高。親がつくると、子どもは暇で、「おやつまだ~?」みたいな感じになって、親ばっかり忙しくなって不健全だから(笑)。

麻子:この夏は「パフェ」をよく作ってもらったね。「冷蔵庫にヨーグルトあるよ~、アイスもつかっていいよ~、バナナとブルーベリーもどうぞ~」と言うだけで、おいしいグラスパフェをつくってくれました。やる気ポイントはアイス。ハーゲンダッツのカップアイスを4人で1個。このつつましい感じもなかなかよかった(笑)。このくらいだとごみも最小限!

雄一郎:成長するにつれて、興味や関心も変化してきて、末っ子も最近は前みたいに無邪気につくってくれることは減ってきてちょっとさみしいけど。でも、原体験としては、いいベースになってるんじゃないかな。

【⬇︎前編はこちら】

日々のおやつ、どうしてる?~市販のおやつ編ー服部雄一郎・麻子さんに聞く暮らしのアイデア


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服部雄一郎 服部麻子

神奈川生まれ。バークレー、南インドを経て、高知の山のふもとに移住。 ゼロ・ウェイスト、サステイナブル、ギフトエコノミーを取り入れた暮らしを家族で楽しむ。著書に、『サステイナブルに暮らしたいー地球とつながる自由な生き方―』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。(写真 衛藤キヨコ) Instagram:@lotusgranola