電力会社の切り替えの流れ|検針票で確かめる項目から切り替わる日まで

ノートパソコンの上でスマートフォンを操作する手元

「電気代が上がってきたし、電力会社を変えてみたい。でも手続きが面倒そう」「何を用意すればいいの?今の会社への解約は自分で連絡するの?」「申し込んだら、いつから新しい電気になるんだろう」。暖房を使う季節を前に、こんなふうに足踏みしていないでしょうか。

そんな方に向けて、この記事では電力会社の切り替えの流れを、検針票やWeb明細で確かめる項目から、申し込み、スマートメーター、切り替わる日まで順にまとめました。申し込む前に押さえておきたい判断軸と、賃貸・オール電化の家での注意点もお伝えします。

1. 電力会社の切り替えは、思っているより手間が少ない

グレーのタイル壁にある白い照明スイッチを指で押す手元

電力会社の切り替えで自分がやることは、ほとんどが「新しい会社への申し込み」です。電気を家まで運ぶ電線や電柱(送配電網)は、切り替えたあとも同じものを使います。そのため、家の中の配線を工事したり、切り替えのタイミングで停電したりすることは基本的にありません。電気の質が変わることもありません。

全体の流れは、次の5つのステップです。

  1. 検針票やWeb明細で、今の契約内容と使用量を確かめる
  2. 気になる会社の料金シミュレーションで、今の料金と比べる
  3. 新しい会社に申し込む(Webで完結することが多い)
  4. 必要な場合は、スマートメーターに交換される
  5. 検針日(計量日)に合わせて、新しい会社の電気に切り替わる

「今の会社に解約の電話をしないといけないのでは」と心配される方も多いのですが、多くの場合、今の会社との解約は新しい会社が切り替えの手続きの中で進めてくれます。自分で解約を伝える必要がないのが一般的です(例外は、このあと「申し込みから切り替わる日までの流れ」の章で紹介します)。

2. 申し込む前に押さえたい5つの判断軸

木の机に広げた白紙のノートと鉛筆、付箋と観葉植物

手続きそのものは簡単でも、確かめないまま申し込むと「思ったほど安くならなかった」「セット割が外れていた」といった後悔につながりがちです。ここでは、申し込む前に見ておきたい判断軸を5つに分けて、確認の仕方とよくある失敗をまとめます。

2-1. 判断軸1:今の契約と使用量を、数字でつかめているか

比べる土台になるのが、今の契約内容です。毎月届く検針票(「電気ご使用量のお知らせ」など)や、今の会社の会員ページのWeb明細で、次の項目を確かめておきましょう。申し込みのときにもそのまま使います。

確かめる項目 何に使うか
契約者の名義 申し込みのときに、今の契約と同じ名義で手続きするため
供給地点特定番号 電気を使う場所ごとに割り振られた番号。切り替え先の会社が、どの場所の電気を切り替えるかを特定するため
お客さま番号(契約番号) 今の会社での契約を特定するため
契約プラン・契約容量(アンペアなど) 同じ条件で料金を比べるため
毎月の使用量(kWh) 料金シミュレーションの精度を上げるため

一般的な項目をまとめたものです。項目の名前や載っている場所は会社によって異なるため、お手元の検針票・Web明細でご確認ください。

確認の仕方:紙の検針票が届かない契約なら、今の会社の会員ページやアプリで明細を開きます。検針票を捨ててしまった場合も、会員ページや今の会社の窓口で確かめられます。

よくある失敗:直近1か月分の使用量だけでシミュレーションしてしまうこと。電気の使用量は、冷房や暖房を使う季節とそうでない季節で大きく変わります。会員ページで過去の使用量をさかのぼれるなら、夏・冬・春秋の月をそれぞれ入れて比べると、年間の差がつかみやすくなります。

2-2. 判断軸2:料金の内訳まで見て比べているか

電気料金は、主に次の4つでできています。

  • 基本料金(または最低料金):使用量にかかわらず毎月かかる部分
  • 電力量料金:使った電気の量(kWh)に応じてかかる部分
  • 燃料費調整額:発電に使う燃料の価格の変動を料金に反映する部分
  • 再エネ賦課金:再生可能エネルギーを広げるための費用を、電気を使う人が使用量に応じて負担する部分

このうち再エネ賦課金の単価は国が年度ごとに決め、どの会社と契約しても同じ単価が使用量に応じてかかります。最新の単価は、検針票や経済産業省の発表で確かめられます。会社を変えても変わらない部分があると知っておくと、比べるときに期待しすぎずにすみます。

また、プランの中には、電力の卸市場の価格に連動して単価が変わる「市場連動型」のものもあります。市場の価格が下がれば料金も下がりやすい一方、上がった月には請求も増えます。

確認の仕方:電気料金は、住んでいる地域・使用量・季節によって変わります。気になる会社の公式サイトにある料金シミュレーションに、検針票の使用量と契約容量を入れて、月ごとと年間の両方で今の料金と比べてみてください。燃料費調整額の計算方法や、プランが市場連動型かどうかは、各社の料金ページや約款で確かめられます。

よくある失敗:1kWhあたりの単価だけを見て決めてしまうこと。基本料金の有無や燃料費調整額の仕組みが違うと、単価が安く見えても、使い方によっては今より高くなることがあります。

2-3. 判断軸3:解約金・契約期間・セット割を確かめたか

切り替えで見落としやすいのが、電気料金そのもの以外のお金です。

  • 今の契約に、解約金や契約期間の縛りがないか
  • 新しい契約に、契約期間や途中解約の費用がないか
  • ガスや携帯電話・インターネットとのセット割、ポイントの特典が、切り替えで外れないか

確認の仕方:今の会社の会員ページの契約内容、または契約時の書類で、解約金や契約期間の記載を探します。新しい会社については、申し込み画面の重要事項説明で確かめられます。

よくある失敗:電気代だけを比べて切り替えたら、ガスとのセット割がなくなり、光熱費の合計では今とほとんど変わらなかった、というケースです。電気とあわせて契約しているサービスがある場合は、合計額で比べると安心です。

2-4. 判断軸4:電気の「中身」をどう選ぶか

電力会社を変えるきっかけが、電気代だけでなく「環境負荷の低い電気を使いたい」という方もいるのではないでしょうか。自分の家の電気を選ぶことは、エネルギーのあり方に関わる身近な選択のひとつです。

ただし、「再エネ100%」と書かれたプランには、大きく分けて2つの意味があります。

  • 電源そのものが再エネ:太陽光・風力・水力などで発電した電気を調達しているプラン
  • 非化石証書による「実質」再エネ:火力などを含む電気に、再エネ由来の環境価値(非化石証書)を組み合わせ、CO2排出を実質ゼロとみなすプラン

どちらがよい・悪いではなく、何を大切にしたいかで選び方が変わります。違いの考え方は、電気から始めるゼロウェイストな暮らしのコラムや、その続編のコラムも参考にしてみてください。

確認の仕方:各社の「電源構成」や「環境への取り組み」のページで、どの電源をどれくらい使っているか、非化石証書を使っているかを見ます。

よくある失敗:「再エネ100%」の表示だけで選び、電源そのものなのか実質なのかを確かめないまま契約してしまうこと。あとから「思っていたのと違った」と感じないよう、申し込み前に一度確かめておきましょう。

2-5. 判断軸5:住まいの条件で、切り替えられるか

賃貸に住んでいる場合:電気の契約者が自分であれば、多くの場合、自分の判断で電力会社を切り替えられます。ただし、建物によっては賃貸借契約で電力会社が指定されていることがあります。また、マンション全体でまとめて電気を契約している「一括受電」の建物では、各戸が個別に切り替えることはできません。

オール電化の場合:オール電化向けのプランは、夜間の単価が安く、昼間の単価が高い「時間帯別」の料金になっていることが多くあります。夜にお湯を沸かすなど夜間の使用量が多い家では、一般的なプランに切り替えると、かえって高くなることがあります。さらに、今の会社の古いプランが新規受付を終えている場合、一度切り替えると同じ条件では戻れないこともあります。

確認の仕方:検針票が自分の名前宛てに届いているかを見て、賃貸借契約書に電気の指定がないかを確かめます。わからなければ、管理会社や大家さんに問い合わせるのが確実です。オール電化の家は、時間帯ごとの使用量をWeb明細で確かめ、それを入れられるシミュレーションで比べましょう。

よくある失敗:オール電化の家で、昼夜の使い方を考えずに一般的なプランに切り替えてしまうこと。「今のプランは、やめたら戻れるか」を今の会社に確かめてから判断すると安心です。

3. 申し込みから切り替わる日までの流れ

3-1. 申し込みは、検針票を見ながらWebで

多くの会社では、公式サイトから申し込めます。入力するのは、契約者の名義、住所、供給地点特定番号、今の会社のお客さま番号、支払い方法(クレジットカードや口座振替など)が中心です。検針票やWeb明細を手元に開いておけば、迷わず進められます。

入力した住所や名義が今の契約と食い違っていると、手続きが止まってしまうことがあります。マンション名や部屋番号まで、検針票の表記とそろえて入力しましょう。

3-2. 今の会社への解約連絡は、ふつうは不要

同じ住まいで電力会社を変えるときは、新しい会社が今の会社との解約手続きを進めてくれるのが一般的です。自分で連絡すると、かえって電気の契約が途切れるおそれもあるので、申し込み先の案内に沿って待ちましょう。

一方、引っ越しと同時に切り替える場合は事情が変わります。今の住まいの電気を止める手続きは、自分で今の会社に連絡するのが基本です。電気とセットで契約しているガスや通信がある場合も、その扱いを今の会社に確かめておくと安心です。

3-3. スマートメーターへの交換

スマートメーターは、電気の使用量を遠隔で計れる電力量計です。まだ従来型のメーターが付いている家では、切り替えにあわせて、地域の送配電事業者がスマートメーターに交換することがあります。交換の日程や立ち会いが必要かどうかは、申し込み先や送配電事業者からの案内で確かめられます。

メーターは送配電事業者の設備なので、賃貸でも交換そのものに大家さんの手続きが要らないことが多いですが、メーターがオートロックの内側や施錠された場所にある場合は、管理会社への連絡が必要になることもあります。

3-4. 切り替わる日はいつ?

申し込んだ翌日にすぐ切り替わるわけではありません。切り替えは、検針日(計量日)に合わせて行われるのが一般的です。具体的な開始日は、申し込み後に新しい会社から届くメールや、会員ページで確かめられます。

切り替わる瞬間に家にいる必要はなく、電気が止まることもありません。冬の電気代が気になる方は、暖房を本格的に使い始める前に申し込んでおくと、切り替え後の料金を早めに実感しやすくなります。

3-5. 切り替え後の請求

切り替わる日の前日までに使った分は、今の会社から最後の請求として届きます。切り替わった日からの分は、新しい会社からの請求になります。切り替えの前後は両方の会社から請求が届くので、二重に払っているように見えることがありますが、期間が分かれているだけです。

最初の請求が届いたら、明細の使用量や料金を、シミュレーションで想定していた金額と見比べてみましょう。想定と大きく違うときは、契約プランや契約容量が申し込んだ内容どおりかを確かめます。

4. あなたはどのタイプ?状況別の進め方

4-1. 電気代を見直したい人(持ち家・一般的な契約)

判断軸2「料金の内訳」と判断軸3「解約金・セット割」を中心に見ましょう。季節ごとの使用量を入れて年間で比べ、光熱費の合計で得になるかを確かめれば、切り替えるかどうかの判断がしやすくなります。電気代は、会社を変えるだけでなく使い方でも変わります。家庭でできる省エネのアクションとあわせて見直すと、無理なく続けられます。

4-2. 再エネの電気を選びたい人

判断軸4「電気の中身」が出発点です。電源そのものが再エネなのか、非化石証書による実質再エネなのかを確かめたうえで、料金とのバランスを見て選びます。考え方は、先ほど紹介した電気から始めるゼロウェイストな暮らしのコラムが参考になります。

4-3. 賃貸・マンションに住んでいる人

判断軸5「住まいの条件」を最初に確かめましょう。検針票が自分宛てに届いていて、建物が一括受電でなければ、切り替えられる可能性が高いです。メーターの場所や契約書の指定がわからないときは、申し込む前に管理会社へ一本連絡を入れておくと、手続きが滞りにくくなります。

4-4. オール電化・在宅時間が長い人

時間帯別の使用量を把握し、昼と夜の使い方に合ったプランかどうかを確かめることが大切です。今のプランが古い料金体系なら、やめたら戻れるかどうかも確認しておきましょう。切り替えない、という判断も立派な選択です。

5. まとめ:検針票を開くところから始めよう

電力会社の切り替えは、検針票やWeb明細を手元に用意して、新しい会社に申し込むのが中心です。今の会社への解約連絡は、同じ住まいならふつうは要りません。申し込む前には、①今の契約と使用量、②料金の内訳、③解約金・契約期間・セット割、④電気の中身(電源そのものか、実質再エネか)、⑤住まいの条件、の5つを確かめておくと、後悔の少ない選択につながります。

次の一歩として、今月の検針票やWeb明細を開き、供給地点特定番号と季節ごとの使用量をメモしてみてください。それだけで、気になる会社の料金シミュレーションをすぐに試せる状態になります。電気の契約を一度見直しておけば、毎月の請求に振り回されない「心のゆとり」が生まれます。その余白で、暮らしの中の小さな省エネや、環境にやさしい選択をひとつずつ楽しんでいきませんか。

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Life Hugger 編集部

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