新たに銀行事業に参入する“チャレンジャーバンク“が欧米を中心に注目されている。チャレンジャーバンクは、オンラインサイトやアプリで簡単に口座を開設したり、取得したオンラインIDからすぐにネットショッピングができるなど、利用者に便利なサービスだ。
日本でもそんなチャレンジャーバンクを目指す企業が、数年前から少しずつ増えている。そのなかの一つが、普段使いで口座開設者の「好き」を応援できる次世代クレジットカードサービス『Nudge(ナッジ)』を展開しているナッジ株式会社だ。
Nudgeは、普段の買い物の支払いの際に利用すると、利用金額の一部が提携しているアーティストやNPOへの活動資金に寄付されるという仕組みだ。支援先は、スポーツチームから選手個人、動物保護団体など幅広い種類が揃っている。寄付を続けていると、応援先にちなんだオリジナルグッズやデジタルコンテンツといった限定特典を入手できるチャンスもある。
そんなNudgeが8月2日、広島の森林再生に貢献できる「広島Nudgeの森」クラブとクレジットカードサービスの提供を開始した。支援先として選ぶと、広島のアカマツ林再生プロジェクトに参加できるものとなっている。
アカマツは木材として優れた特性をもっており、日本家屋の梁(はり)や和室の床柱といった建材にも採用されているほか、松茸の苗床にもなっている樹木だ。広島県は、そんなアカマツの生息地として全国的にも有名な地域だったが、平成に入ってから寄生虫が原因となり、森林機能の低下が不安視されてきた。森林を守るための補助金としてはスギやヒノキなどがあるが、アカマツは補助金を用いた再生が難しい状況が続いているのだという。
Nudgeカード利用者から集まった寄付金は、相当するアカマツの苗木に交換し、Nudge公式アプリ上でリアルタイムにチェックするといった仕掛けも用意した。また、支援の返礼品として、広島県に縁のある協賛企業やスポーツチームのさまざまな特典を受け取れる。2022年11月にはプロジェクト参加者に加え、地域の子どもたちや協賛スポーツチームのメンバーが集まって、会員限定の植樹イベントも予定しているとのこと。
カードはNudge公式アプリから簡単に申し込み可能だ。Visaブランドのため、各種ネットショップや世界中のVisa加盟店で利用できる。
欧米ではグリーン投資も活発化しており、テクノロジーを利用して環境への保護を行うグリーンフィンテック事業に取り組む企業も登場してきている。そうした流れは、社会貢献への意識が高く、デジタルネイティブ世代である若年層を中心に日本でも広がっていくことが期待されていくだろう。少しハードルが高いと思われる寄付や環境保護活動なども、Nudgeカードのような仕組みを生活に取り入れることで、日常生活の中で意識せずに自然と環境保護に貢献できるのではないだろうか。
これまでの消費活動とテクノロジーの組み合わせを利用した、新しいサステナブルな取り組みが今後も次々と誕生しそうだ。
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斉藤雄二
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