廃棄衣料品を原料としたサステナブルボード「PANECO®(パネコ)」。布だけではなく合成皮革など、廃棄衣料品に含まれるさまざまな繊維を美しくアップサイクルできる、サステナブルな環境配慮型素材の繊維リサイクルボードです。店舗や商業施設、イベントやオフィスなど、さまざまな空間の内装やディスプレイ什器、家具などに生まれ変わるとして注目されています。そんなPANECO®の活用推進を目的に、展示会「MEET UP PANECO -100% UPCYCLE SHOW CASE-」が12月上旬に行われました。今回はその様子を取材しました。
PANECO®で作られた巨大なクリスマスツリーも!
PANECO®はデザイン会社である株式会社ワークスタジオによる製品で、アパレル企業の余剰在庫や製造過程に生じる繊維屑など、廃棄処分となる運命にあった衣料を、特殊技術によって繊維リサイクルボードへとアップサイクルしたもの。
硬度があって加工もしやすいため、さまざまな使用方法が期待されています。
今回の展示会の会場となったのは、日本国内におけるPANECO®の販売総代理店を務める、繊維専門商社のモリリン株式会社のオフィスビル1F(フォレストホール)。PANECO®の最近の活用事例を紹介しつつ、現実のさまざまなシーンで使われることを想定し、今までの店舗づくりや内装工事の当たり前を見直した空間を提案しています。
会場内はカフェエリアやオフィスエリアなど、さまざまなエリアに分かれていて、シーンや施設、インテリアごとにさまざまな形状にデザインされたPANECOのプロダクトが展示されていました。
まず会場入り口には、展示会のために作られたというクリスマスツリーがドドーンと飾られていました。これらももちろんすべてPANECO®でできています。PANECO®は繊維ボードであり、簡単に穴を空けられるのも特徴。積み上げられたPANECO®のボードの中央にはライトが設置され、均等に空いた穴から光が漏れて、幻想的なクリスマスツリーになっていました。
産学協同プロジェクトによって東京デザイン専門学校の学生が作ったモニュメントも
またツリーの足元にはかわいらしいオーナメントも。これらは、ファッションブランドの旗艦店「niko and… TOKYO」と行った産学協同プロジェクト「harajuku COOKOUT」において、東京デザイン専門学校の学生たちが自由な発想で作った作品たちです。
niko and… TOKYOとPANECO®は他にも協業しており、2021年にはniko and… TOKYOの一部店舗で行われた特別企画「NY X’mas Market」にて、陳列棚を彩るディスプレイ装飾としてPANECO®が使われました。今回の展示場所であるカフェエリアのフローリング上には、その際に使われた装飾パーツが敷き詰められていました。
ディスプレイ装飾として使い終わった後にはフローリングの装飾にも再活用できる、PANECO®の柔軟な活用法ですね。
スニーカーもまるごとリサイクルボードにアップサイクルできる
アパレルエリアでは、これまでのPANECO®にはない明るいカラー展開が見られました。
株式会社ワークスタジオの草木佳大さんによると、このエリアのPANECO®はアパレルの店舗の壁や什器として使用されることをイメージして、明るい色味の衣料品に限定して作ってみたのだとか。
白やピンク、水色などポップな色味は、まるで現代アートのようにサイケデリックな雰囲気を醸しています。
遠目からは派手に見えますが、近くで見ると衣料品が持つ温かみや独特の質感も感じられて素敵ですよね。
アパレルエリアには、これまで行われたアパレルショップや施設との共同プロジェクトが多数紹介されていました。なかでも筆者が注目したのは、アシックスとの共同プロジェクト。今までリサイクルが難しかったスニーカーのアップサイクルにも取り組んでいます。
摩耗してしまい、捨てなければならないシューズを回収してまるまるアップサイクルし、PANECO®のボードとして甦らせることに成功しています。実際に裁断した後のスニーカーの断片を見てみると、布だけではなくゴム片もちらほら。これらもすべてボードに加工できるのです!
廃棄されてしまうドライフラワーも一緒に加工できる
オフィスエリアにはPANECO®でできた椅子やテーブルなどもズラリ。
椅子は中が箱のような空洞になっているので、ひっくり返せばマトリョーシカのように重ねて収納できます。これによって輸送トラックを少なくし、二酸化炭素排出量を抑えられるという効果も。
ドライフラワーを活用したPANECO®も展示されていました。これだけでも額に入れたら絵として飾れるオシャレなインテリアになりますね。
これは商業施設のNEWoMan(ニュウマン)新宿と同店に入っているフラワーショップ「ew.note」とのコラボレーションで生まれたボード。ニュウマン新宿で回収された廃棄衣類とew.noteで発生してしまう植物をドライフラワーにして混ぜることで生まれました。
衣類だけではなく、植物も一緒に加工できるPANECO®。衣類だけを使ったものとは風合いや質感がまた違っていて、高いデザイン性を感じさせます。インテリアや雑貨など、いろいろな活用方法ができそうで楽しみですね。
今回取材してみて、PANECO®は単なるボードという平面の活用だけではなく、立体や空間として無限の可能性があることを感じました。PANECO®が持つ独特な質感に加えて、株式会社ワークスタジオがこだわる高いデザイン性や、「この新しい素材も試しに使ってみよう」というチャレンジ精神などが合わさり、どんどん新しい空間が生まれていくワクワク感がありました。
これからオフィスやバー、アパレルショップ、学校施設、ホテルなど、いろいろな場面でPANECO®が当たり前になる未来はそう遠くないかもしれません。
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【参照サイト】PANECO
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