最近では、ショップやECサイトで、安くておしゃれな服を簡単に購入することができる。しかし、この便利さの裏側には、アパレル産業の深刻な課題が隠れていると言われている。アパレル産業は、「世界第2の汚染産業」とも言われ、低賃金で長時間労働を強いられる工場労働者の問題や、大量生産や大量廃棄による環境への負荷も問題となっている。
【参照】環境省 サステナブルファッション
そんなアパレル産業が抱える問題に対し、真摯に取り組むブランドが「ABODE OF SNOW(アボード・オブ・スノウ)」だ。アートディレクターのTenzin Wildさんと、パートナーで女優・モデルの岡本多緒(TAO)さんによって設立された。
多緒さんは、ポッドキャスト「エメラルド プラクティシズ」を通じて、「環境問題をもっと身近なものに」というテーマで専門家たちを招き、発信してきた。
ブランド名である「ABODE OF SNOW」は、「雪の棲家」を意味する。Tenzinさんのバックグラウンドであるチベットの文化を伝えたいという思いと、人や環境、動物に配慮した持続可能な服を作ることで、アパレル産業が抱える課題を伝えたいという思いが、このブランドの核となっている。
「ABODE OF SNOW」は素材にこだわり、循環させれば100年以上の耐久性を持つという、リサイクルダウンとフェザーを使用。さらに、動物に配慮するため、自然に抜け落ちるヤク(水牛)のウールや植物性の中綿「カポック」も採用している。また、売上の一部は、ヒマラヤの白内障プロジェクトに寄付される。
「ABODE OF SNOW」を始める前には、自分たちで服作りの現場を見て回ったという。三重県にあるリサイクルダウンの工場を訪れたり、服を作っているネパールの工場にも行き、どんな人が「ABODE OF SNOW」の服を作っているかを知っているという。
多緒さんは「服を買うことは投票のようなもの。その服を誰が、どのように作っているのかを考えながら選んでもらいたい」と語る。
また、「ABODE OF SNOW」は、チベット文化の伝承にも力を入れている。「チベットの文化と、それを取り巻く問題についても知ってもらいたい。」と語った。
ファッション産業のサプライチェーンは非常に長く複雑であり、たとえば1枚のTシャツを作るのに30社以上が関与することもある。服が世界中の様々な国で生産され移動するため、誰がどのようにして服を作っているのかを知ることは困難である。
「ABODE OF SNOW」は、この複雑なサプライチェーンの中で、透明性を高め、消費者に意識的な選択を促すことを目指している。彼らの取り組みは、ファッションの楽しみ方を再考するきっかけとなりそうだ。
「ABODE OF SNOW」商品のラインアップ
表地には撥水性のあるリサイクル・ポリエステルを100%、中綿には、グリーンダウンプロジェクト認定リサイクルダウンと認定リサイクルフェザーを100%使って作られた、「MILA RECYCLED DOWN JACKET」。伝統的なチベットの民族衣装「チュバ」のデザインを取り入れている。 ヒマラヤ山脈、ミャンマー、モンゴルなどの厳しい気候に適応して生息する長毛の牛、「ヤク」から採取された毛を100%使用した「YETI CREW SWEATER」。ヤクの毛は、換毛期に自然に抜け落ちるため、セーターの生産過程で虐待を伴わない。とても柔らかくあたたかいので、寒い冬の日々を快適に過ごすのにぴったりだ。【参照サイト】ABODE OF SNOW
【取材協力】MILKBOTTLE SHAKERS
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