世界的なパンデミックの影響下で、国内でもマスクの着用やアルコール消毒、人と一定の距離をとる「ソーシャルディスタンス」などが当たり前の世の中となった。感染症が拡大し、社会の機能が一時的に麻痺する国が相次ぐ中、日本はどちらかというと抑え込みに成功し、国際社会からも一定の評価を受けたと言えるだろう。
その一方で、新しい生活様式によって大量に消費されることになった「感染予防グッズ」のごみが問題視されてきている。
香港を拠点とする海洋保護団体オーシャンズアジアが発表した調査「COVID-19 Facemasks & Marine Plastic Pollution」によると、2020年に世界の海に流出したマスクの数は約15億6000トンにも上ると推定された。この量は世界で製造されるマスクの約3%に相当する。
【参照サイト】COVID-19 Facemasks & Marine Plastic Pollution
特に不織布タイプのマスクに使われる繊維は紙ではなくPET(ポリエチレンテレフタレート)が原料になっており、新型コロナウイルス対応に比例して環境汚染への懸念も高まっているのが現状だ。
こうした事態を少しでも改善するため、衛生用紙メーカー大手「王子ネピア株式会社」は、マスクの不織布に植物由来の素材を80%使った「ネピecoバイオマスマスク」を開発。使用後に焼却して出るCO2を、不織布の原料に使われるサトウキビやトウモロコシの光合成によって固定・吸収することで、カーボンニュートラルを目指した製品だ。
![ネピecoバイオマスマスク](https://lifehugger.jp/wp-content/uploads/2122/03/d7e859ef8e44eb53b741efd9dde9e1fe-e1648454564745.png)
3層からなるマスク部の不織布はすべて同じ植物由来原料を使用し、素肌と同じ弱酸性に仕上げている。鼻まわりにはワイヤーが入っており、ズレや型崩れを防ぐといったように、一般的な不織布マスクと同様の機能を備えた製品だ。
![エコecoバイオマスマスク](https://lifehugger.jp/wp-content/uploads/2122/03/317acf7196a3a7db8cdfef2382defe73-e1648454614876.png)
今回販売した10枚入パックのフィルム袋も、一部バイオマス資源を配合し、素材からパッケージ、処分するところまで、環境に配慮した商品として設計されている。
同製品は、王子ネピアの公式オンラインショップ「nepia銀座店」にて3月25日より販売をスタートしている。サイズは横17.5cm、縦9.5cm、価格は30枚入り(10枚パック×3)で2,980円(税込・送料込)だ。
王子グループは、自社のサステナブルビジネスモデルの中心を「森林資源」と位置づけ、国内外の森林や林業の保護、管理に力を入れている。同社が保有・管理する森林は約58万ヘクタールにも及び、東京都の約2.5倍に相当する。
使用する製品の素材だけでなく、どのように生産され、どのように処分されるかといった点にも注目してみると、また新しい選択肢が生まれてくるのではないだろうか。
【関連ページ】:ごみ清掃員兼お笑い芸人の滝沢さんと「ごみの学校」で一緒に考えよう!プラごみの課題と未来
【参照サイト】:ネピア ネピeco バイオマスマスク
【参照サイト】:COVID-19 Facemasks & Marine Plastic Pollution
斉藤雄二
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