コンセプトは「私と地球を解放する」。unleashが伝えたい地球と自分にやさしい生き方

周りに合わせようと頑張っている、自分の思いや意見を声に出せない……そんな自分から解放できますように。自分だけでなく地球のことも考えられたら、もっといいな。

そんな想いで立ち上げられたブランドがあります。それが、千葉千早希さんが設立した「unleash」。「私と地球を解放する」をコンセプトに、人々を当たり前から解放するアイデアやアイテムなどの情報発信をされています。また2023年3月には、オリジナルバンブーインナーの先行予約販売を実施しました。

今回は、ブラントに込められた想いやきっかけ、千葉さんの理想とする未来について、伺いました。

【ブランドサイト(Instagram)】unleash|とろけるバンブーインナー🌿

気候変動を止めよう。きっかけは友人との会話だった

2021年9月にエシカルな情報を発信するInstagramのアカウントとしてスタートし、エシカルな暮らしのヒントを提供し続けているunleash。立ち上げのきっかけは、3年前のお正月に千葉さんが友人と交わした何気ない会話だったといいます。

「2021年のお正月、友人と会った時に、環境問題について学んでいると聞いたことがきっかけでした。環境については今までちゃんと向き合おうとしてこなかった領域だったので、書籍を読み始めたんです。そのときはじめて、地球環境の問題がすでに深刻化していることを知り、衝撃を受けました。

私には子どもがいますが、彼らがこれから暮らしていく地球環境を自分たちがこれほど破壊してしまったのかと後悔しました。大人世代の考え方が変わらなければ、今の環境を失ってしまう……。子どもたちに美しい地球を残すために、何ができるかなと考えるようになったんです」

まず自分にできることとして、千葉さんはおすすめのエコアイテムや日々の中で簡単にできる環境に配慮したアイデアなどを発信することにしたそう。

unleash-竹弁当箱

マイクロプラスチックを出さない、千葉さん愛用のお弁当箱

「何かを発信するためには、自分自身が何かをやり切らないといけないと思いました。自分が使ってみたり体験してみたりしてはじめて、その商品などの良さを伝えられるかと思って。

生活の中で環境に負荷を与えていると感じた部分は、少しずつ変えていきました。最初は『本当にこれを買っていいのかな(ちゃんとエコかな)』と悩みすぎて不安になることもありましたが、今は、自分の中で良いバランスを見つけて生活できています。

環境に良いものの中には値段が高いものもありますが、子どもたちの未来にとって良い選択は、習い事や食事同様、将来への投資だと思うようにしています」

自分自身を解放することは、心を豊かにしてくれる

unleash

unleashのブランドロゴとコンセプト

unleashのブランドコンセプトは「私と地球を解放する」。環境負荷の低い商品や暮らしの方法は「地球の解放」を、そして「私の解放」は、当たり前という考え方からの解放を意味しています。

「例えば、ランドセル。ランドセルってすごく高価なんです。すべての家庭が気軽に購入できるものではないのに、子どもが小学校に入学したら買うことが当たり前になっています。しかも教科書が詰まったランドセルはとても重い。小学生にとっては、登山バッグやリュックの方が通学に適しているかもしれないのに、ランドセルという選択がずっと続いていますよね。

またテレビや雑誌、SNSには『これが豊かな暮らし』と謳っているCMやインフルエンサーの発信が溢れています。そのような情報を見て、本当に自分が欲しいものなのか、したいことなのか、必要なのかをを考えず、気がつかないうちに自分に無理をさせている人もいるのではないでしょうか。

なんとなく『そうすべき』と思い込んで、縛られてしまっていることはたくさんあると思います。そのような当たり前から解放される選択肢があることを知れば、もっとみんな幸せになれるんじゃないかなって。

『社会のしがらみから自分自身を解放してあげて、無理のない生活をしてもいいんだよ』というメッセージを伝えたくて、コンセプトに『私』を入れました」

クラファンで583%の支援を達成。自分を解放するインナーを販売

環境問題を知っていても行動に移せていない人たちが日本には多いと、千葉さんは言います。そのような人たちも含め、すべての人が地球環境の課題に気付くきっかけになれば、とバンブーインナーの製造・発売を決めました。

unleash

unleashのバンブー素材の「解放的なキャミソール(パッド付)」

「環境問題に関心があっても、自分の今の生活を変えなきゃいけない、努力しなきゃいけない。そのように感じてしまっている人が、取り組み始めるきっかけを作りたいと思いました。無関心の方でも興味を持ってもらいやすいものを考えた時に思い浮かんだものが、インナーだったんです」

unleashは2023年3月、クラウドファウンディングで竹素材のインナーを販売。目標金額30万円に対し、175万円もの支援・販売予約を達成しました。アイテムはキャミソール、肌着、ショーツの3種類です。締め付けられない心地よさと解放感を感じられる商品です。

原材料にはサステナブルな素材として注目の竹を採用。日本において、成長が早い竹は古来より人々の生活に欠かせないものとして使用されてきました。しかし近年、国産の竹材やたけのこの生産減少により、竹林が拡大しています。管理されていない竹林では、樹木を被圧し枯死させる可能性があります。このような問題は、西日本を中心に日本全国で見られます。

「今使用しているのは、バンブーレーヨンという繊維でできた生地です。原料には水や農薬を使用せずに育った竹を使用し、クローズドループ製法で80%の溶剤をリサイクルしています。また、製造工程や品質において人や環境に配慮されていることを証明する「エコテックス®認証」を取得した工場で生産しています。私たちの生地は竹素材はシルクのようななめらかな心地よさを持っています。この肌触りは、他の自然素材では実現できません」

unleashのインナーは着心地の良さと締め付けからの解放感が特徴的なアイテム。千葉さんは、インナーを通して固定概念からの解放も伝えたいと言います。

「女性の胸は大きい方が良いとかシルエットが美しい方が良いとか、そのようなイメージがあると思います。本人がそうありたいなら良いのですが、誰かにそう思われないといけないと気にしているのは違うかなと。もし産後で胸の形が変わったとしても、それは自然なコトだし、それでいて美しく在り続けていると肯定できれば、もっと自分が満たされるのかなと思うんです」

このような考えから、unleashの「解放的なキャミソール(パッド付)」には締め付けや胸を持ち上げるという機能は除かれています。

エシカル主義な社会を作っていきたい

多くの人が環境問題の解決と心の豊かさを考えるきっかけになりたいと言う千葉さんに、目指したい理想の未来について伺いました。

「理想の未来、それは『エシカル主義』な社会です。私がエシカルを訳すとしたら『八方よし』。売り手・買い手・世間に良い『三方よし』という言葉がありますが、世界はもっと多くの方が関わっていると思います。地球環境だったり、他の国の人だったり、未来の子どもたちだったり。関わっている多くの人たちのことを想像して思いやって物を作ったり、意思決定していくということがエシカルだと思います。

unleash

有機農園での野菜栽培の様子

エシカル主義の社会を実現するためには、どうすればよいのでしょうか。千葉さんは「足るを知る」ことの大切さを教えてくれました。

「『足るを知る』という言葉は、ないものばかりに目を向けず、足りていることに目を向け満足することを知るという意味です。妥協や諦めではなく『これがいいんだ』と知ることが大切だとしています。自分が満たされる器を見直すと、こんなに量はいらないかもと気付きます。自分に必要な量を知った上で、生活の質やお金や仕事の量を決める。難しそうに聞こえるかもしれませんが、誰でもいつでもできることなんです。

一人でも多くの人が自分に必要な器の大きさを知って、自分らしい生き方をしていけたらいいですよね。環境問題に興味が持てなくても、自分に素直になることで自分の心を満たすことができる。そして、そのような生き方はどんな形でも社会をよくすると信じています」

編集後記

「自分に必要な器はどのくらいの大きさだろう」千葉さんの話を聞いた後、ふと考えてみました。生活、家族との時間、仕事……。カテゴリ分けをして考えてみると、すでに十分幸せだと感じているものが多いことに気がつきました。その瞬間、すっと心が軽くなった気がしたんです。頑張りすぎていたのかも、と感じました。

「まだまだ足りない」と思いながら日々過ごしていても、立ち止まって振り返ればすでに満たされていた。そんな人は多いのではないかと思います。

環境問題への取り組みには、心の余裕が必要です。自分のことで忙しかったら、環境のことなんか気にしていられません。そして心の余裕が生まれれば、周りの人や環境に目を向けることができるかもしれません。

もし自分に余裕が無いと感じたら、立ち止まって振り返ってみませんか?もしかしたら、自分に必要な量の幸せは、すでに満たしているかもしれませんよ。

【参照サイト】unleash(Instagram)
【参照サイト】for GOOD「子どもたちの未来のために。竹の下着で地球を守りたい!」
【参照サイト】林野庁「竹の利活用推進に向けて」

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古賀 瞳

古賀瞳(こがひとみ)。愛知県出身、千葉県在住のフリーライター兼駄菓子屋店長。留学や世界一周の経験から環境問題に興味を持つようになる。人にも環境にもなるべく負担をかけない暮らしを実践中。得意分野は、ゼロウェイスト、アニマルウェルフェア、伝統文化、地方創生など。旅と読書、高い場所が好き。Twitter:@kinoko_tabi115