暑い夏になるとエアコンを使う頻度が増え、電気使用量も増えてしまいます。しかし、できるだけエアコンに頼らずに暑さ対策をする方が、体に優しく、電気代の節約にもなります。環境にも優しく、楽しみながらできる暑さ対策としておすすめしたいものが「グリーンカーテン」です。
つる性植物をカーテンのように栽培するグリーンカーテンは、環境負荷を軽減し、さらに省エネにも繋がります。定番のゴーヤや朝顔以外にもいろんな植物があるので、植物を育てる楽しみがありながら、暑さを軽減することができます。
この記事では、グリーンカーテンのメリットと注意点、おすすめの植物などを分かりやすく紹介します。
グリーンカーテンとは?
グリーンカーテンとは、緑のカーテンやエコカーテンともいい、つる性植物(※)で窓や外壁などを覆い、カーテンのように夏の日差しを遮ります。日本では昔から夏になると葦簀(よしず)や簾(すだれ)などを活用しますが、植物でつくるグリーンカーテンも同じような役割があります。
※つる性植物とは、茎が自立せず、他の植物や物などに絡みつき、上へと茎を伸ばしていく植物のこと。
グリーンカーテンのメリット
グリーンカーテンの主なメリットを4つ紹介します。
夏の暑さ対策
夏の暑さを和らげる遮光効果や冷却効果があります。グリーンカーテンのある外壁とない外壁では、約10℃も異なるという報告があります。その分、エアコンなどの使用もおさえることができ省エネに繋がります。
【参照ページ】横浜市環境科学研究所報第32号
【参照サイト】環境省
プライバシーを守る
グリーンカーテンの植物が生長し生い茂ると、外から部屋の中が見えにくくなり、プライバシー保護にも役立ちます。また、防犯の観点からも、完全に視線を遮るよりも、見えにくいけれど多少見える程度の目隠しが望ましいようです。
栽培しやすい
窓辺で栽培すると、室内からも植物の生育状況が把握しやすくなります。ベランダや庭先だと、外に出るのが億劫で水やりが面倒だということもありません。室内からも水やりが可能という場合もあるかもしれません。
植物の生長が楽しい
家族で観察できるので、「花が咲いたね」「もうすぐ収穫できそう」などと話題にも上がりやすくなります。花や実がつく楽しさもありますが、植物が身近にあることでとても癒されます。
グリーンカーテンにおすすめの植物紹介
グリーンカーテンとして栽培しやすい植物を6つ紹介します。この他にもつる性植物はたくさんありますので、気になる植物があれば一度調べてみてください。
※植物の植え付け時期(苗)・収穫時期・花期は、温暖地を基準としています。
ゴーヤ(ニガウリ)
植え付け時期:5~7月頃 収穫時期:7~10月初旬
暑さに強く、病害虫も少ないため初心者向け。完熟した実からタネをとれば、また来シーズンも栽培できます。
- おすすめの品種:えらぶ
生育旺盛で育てやすく、ボリュームあるゴーヤをたくさん収穫できます。 - 商品の詳細を見る:楽天
アサガオ
植え付け時期:5月頃 花期:7月頃 (日本朝顔)
植え付け時期:6月頃 花期:8~11月頃 (西洋朝顔)
生育旺盛で育てやすく初心者向け。花の種類が豊富なので、好みの花を選ぶ楽しさがあります。日本アサガオと西洋アサガオの組み合わせもおすすめです。
- おすすめの品種:アーリーコールシリーズ(日本朝顔)
垣根用早生品種のため、グリーンカーテンに向いています。 - 商品の詳細を見る:amazon
パッションフルーツ
植え付け時期:4月頃 収穫時期:8~10月頃
ブラジル原産のフルーツで、病害虫に強いので初心者向け。果実はもちろん、見ごたえあるユニークな花も楽しめます。
ヤマノイモ
植え付け時期:6月頃 収穫時期:10~12月頃
地下部のイモの収穫だけでなく、葉の付け根にできるムカゴも収穫できます。ムカゴを種芋にすれば来シーズンも栽培可能です。
- おすすめポイント:多年草のため年を越しても根は枯れずに生育できます。
- 商品の詳細を見る:楽天
小玉スイカ
植え付け時期:5~6月頃 収穫時期:8~9月頃
大玉に比べて小玉は、収穫までの栽培期間も短く、収穫時の喜びは絶大です。つるが折れやすいので注意してください。
キュウリ
植え付け時期:5月頃 収穫時期:6~7月頃
栽培期間が短く、比較的育てやすい野菜です。こまめにたっぷり水やりをすると瑞々しく美味しいキュウリが味わえます。
その他
ヘチマ、オカワカメ、ミニメロン、ミニカボチャ、ヒョウタン、シカクマメ、インゲン、ササゲ、ルコウソウ、ツンベルギア、スネールフラワー、サンパラソル、フウセンカズラ など
グリーンカーテンの植物選びのポイント
どの植物を選んだら良いか悩むかもしれませんが、まずは、興味のある植物を選ぶことが大切です。好きな植物を選ぶことで、栽培もより楽しめます。少し余裕がある場合は、2種類植えもおすすめです。
例えば、アサガオとゴーヤなど違う種類の植物を植えることで、アサガオの花とゴーヤの実を同時に楽しむことができます。また、マリーゴールドなどと組み合わせると病害虫対策にもなります。
夏だけでなく一年を通してグリーンカーテンを楽しみたいという場合には、常緑のつる性植物やつる性の多年草の植物などをおすすめします。カロライナジャスミン、アイビー、クレマチス、スイカズラ、トケイソウ などの植物があります。
グリーンカーテン栽培に必要なもの
必要なものを揃える際には、あわせて植物の栽培ポイントも事前にチェックしておきましょう。
- 場所の決定
- 植物の苗
- プランター
- 培養土
- ネットや支柱
十分に日が当たるか確認してください。
栽培経験がない人は苗から、経験ありの人はタネから挑戦してみてください。
大きめのサイズが良いです。鉢底石が不要なタイプもあります。
例:ゴーヤの場合、約30Lで1株、約45Lで2株が目安。
肥料が最初から入った市販の培養土が使いやすいです。
麻ひもネット:天然素材なので栽培後に植物と一緒に土に還すことができます。
専用ネット:キュウリネットやつる性植物用ネットなど専用ネットなどもあります。
アイアンタイプ:フックなどの取り付け不要で、壁や窓辺に立てかけるだけで簡単に設置できます。繰り返しの使用もでき、強風時の取り外しも簡単、見た目もオシャレでおすすめです。
グリーンカーテンの設置の際に気をつけたいこと
グリーンカーテン栽培にあたり注意点がいくつかあります。
台風対策
強風や台風の際の際は、ネットなどを取り外し軽く畳み、プランターはブロクなどで固定するようにしてください。取り外しができない場合は、紐や結束バンドなどを使い支柱にしっかりと固定するよう工夫しましょう。
虫対策
特に虫が苦手な方は、病害虫に強いタイプの植物を選んでみてください。また、枝葉を剪定し、風通しの良い状態をつくることでアブラムシの発生おさえます。農薬は天然物由来の有機栽培対応の製品もあります。
賃貸の場合
マンションなどの賃貸の場合、設置が禁止されることがあります。管理会社の規約を確認してください。また、緊急時の避難経路などの確保、排水口をふさがないようになどの注意が必要です。
片付け
枯れてからの片付けは散らばりやすく大変になるので、まだ葉が緑のうちの早めの片づけがおすすめです。ネットの場合は、ハサミで細かく切って取り除きます。ネットの劣化がひどい場合は破棄となります。毎年楽しみたい場合は、劣化が少ないアイアンタイプをおすすめします。
うまく育たないと感じたら
グリーンカーテンの生育状態があまり良くないなと感じたら、日光が十分にあたっているかなどの栽培環境や作業内容の見直しが必要です。水やりが十分か、肥料が足りているか、剪定が必要か、病害虫の可能性がないかなど良く観察してみてください。
おわりに
グリーンカーテンというと、ゴーヤや朝顔などのイメージが強くありますが、つる性植物であればいろんな植物をグリーンカーテンとして楽しめます。野菜のグリーンカーテンを子どもと一緒に育てれば、食育にも繋がりますよ。
【参照書籍】サカタのタネ「緑のカーテン」普及チーム著『花も実もある よくばり!緑のカーテン 野菜と花おすすめ23品目』(農産漁村文化協会)
【参照サイト】:暑い夏を快適に!緑のカーテン(グリーンカーテン) | サカタのタネ
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中池 梓
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