今から始めよう!不用品の処分~その理由と背景は?

折り紙の家

生活していると、知らず知らずのうちに家に物が増えていきます。子育て世帯であれば、子ども達の成長にともない、家の中の物が気づけば膨大な量に…。

特に、シニア世帯が暮らす家など、居住年数が多いほど物の量は多くなりがちです。実家の片付けに対処せずにいると、後ほど思わぬお金がかかったという話もよく聞きます。また、空き家ごと取り壊しともなれば、分別せずに一気にすべてを廃棄することになり、環境への負荷も大きくなってしまいます。

今回は、年々増える空き家問題に対して、私たち一人ひとりができることの一つとして、空き家を取り壊す前に不用品の処分が必要な理由や背景をお伝えします。

深刻化する一方の「空き家問題」

早めの不用品の処分が必要な理由は「空き家問題」の背景をひもといていくと、見えてきます。政府広報によると、使用目的のない空き家の数はこの20年間で約2倍に増加しています。

NPO法人空家・空地管理センターによると、空き家になる理由は様々です。

  • 高齢になる親が老人ホームなどの高齢者住宅や子どもの家などに転居し、自宅が空き家になった
  • 子どもが相続したものの、離れた場所に住んでいて利活用できない
  • 相続について兄弟間でもめている

こうした事情から、誰も住まなくなった家屋は、数年から10年以上も利活用されずに放置されてしまうこともあります。

しかし、そうした空き家が放置されていると近隣住民に次のような迷惑をかけてしまう可能性があります。政府広報の記事には、以下のような問題が言及されています。

  • 家が傷み、台風で外装材や屋根材が飛ぶ
  • 地震により倒壊したりする危険性が高くなる
  • ねずみや害虫などが大量発生する
  • 屋根や外壁の落下
  • 伸び放題の庭の雑草による害虫被害
  • 不法侵入の出入りによる治安の悪化

自分の持ち家や実家が空き家になる可能性が少しでもあるのなら、将来利活用するために、普段から掃除・片付けのしやすい家にしておきましょう。そのためにも、住んでいる時から、不用な家財道具の処分を少しずつ進めていくことが重要です。

家の片づけで直面する、様々な問題

ほうきとちりとり
空き家を貸す、売るという話になった時に大きな問題となるのが、家財道具の処分です。ウェブサイト「みんなの遺品整理」によると、一気に処分するために業者に依頼すると50~60万円(一軒家の場合)かかるケースもあるそうです。また、他人に整理してもらうことで、思い出深いものを知らぬ間に処分されてしまうリスクもあります。

とはいえ、いざ実家を親と一緒に片付けようとしても、以下のような考えからうまく進められないケースも少なくないという声もあります。

  • 要介護状態の家族がおり、片付けに手がまわらない
  • もったいない精神がある
  • ごみ袋や粗大ごみが重いため、捨てるのが面倒
  • 本人は、現状のままで困っていない

※【参照】渡部亜矢著『「5つの鉄則」でラクラク!実家の片づけパーフェクトBOOK

価値観を見つめ直したうえで、進めよう

ピアノのおもちゃ
大切にしたいものは何か、価値観をしっかり見つめ直す。これが家を片付け、処分を進めていくうえでは、とても重要です。どんな本なら処分してもOKか、服はどういう処分方法ならOKか、写真は何枚までなら減らしてもOKかなど、問いかけながら進めていきましょう。

例えば筆者の祖母の場合は、幼稚園の園長先生だったので、弾かなくなったアップライトピアノは幼稚園に寄付する形ならOK、服は孫である私や親戚が着るためにもらうならOK、ただしまとめて捨てるのはもったいないからダメ、といった処分をめぐる考え方がありました。

価値観を尊重しながら処分を進めるには、時間をかけた丁寧な対話と時間が必要です。ただ、そうすることでこれまでの人生や自分が大切にしたいことを見直せるので、実行する価値は大きいです。

また、一気に捨てるのではなく、リサイクルショップに売ったり、必要とする人に寄付したり、自治体のリサイクル制度などを調べて出したり、といった方法で処分すれば環境負荷が低いです。現金収入を得られることもあります。

とはいえ、すべてを自分たちで調べ、進めていくのは大変です。そこで、これからライフハガー編集部は連載企画として「処分しにくいもの」の処分方法を、分野別にお伝えすることにしました。片付けに寄り添う内容となるよう、心をこめて進めていきます。よろしくお願いします。

【参照ページ】政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」
【参照ページ】NPO法人空家・空地管理センター「増え続ける空き家~2つの空き家問題~」
【参照ページ】みんなの遺品整理「家財処分の費用相場一覧!費用を安くする方法やおすすめの業者を紹介」
【参考文献】渡部亜矢著『「5つの鉄則」でラクラク!実家の片づけパーフェクトBOOK』(光文社)

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曽我 美穂

曽我 美穂(そが みほ)。2008年にエコライター・エディター・翻訳者として独立。雑誌やウェブサイトで編集、撮影、執筆、翻訳などをおこなっている。主なテーマはエコな暮らしやSDGs、環境問題。私生活では2009年生まれの娘と2012年生まれの息子の二児の母でもある。現在、富山県在住。個人サイト:https://sogamiho.mystrikingly.com/