地震や水害などの災害が発生した際、突然停電や断水が起こることは決して珍しくありません。災害に備えて水や食料を備蓄することは大切ですが、実は「トイレ」の準備も同じくらい重要だということをご存じでしょうか。
停電や断水が続くと水洗トイレが使えなくなるため、衛生環境が悪化したり、健康被害が生じたりすることがあります。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、より深刻な問題に発展することも考えられます。そんなときに役立つのが「防災トイレ」です。
今回は、家族全員で使いやすいおすすめの防災トイレ商品を、タイプ別に詳しくご紹介します。それぞれの特徴を知り、ご家庭の環境にぴったりの防災トイレを選びましょう。防災トイレを備えておくことで、いざというときも安心して家族を守ることができます。
目次
防災トイレとは?
災害避難所やトイレがない場所、またトイレが不足する場所に、一時的に設置できるトイレのことを防災トイレといいます。避難所だけでなく、自宅でも使用できます。設置するタイプ以外に持ち歩き個人で使用するものもあります。
なぜ防災トイレが必要なのか?
災害が起こった時に、なぜ防災トイレが必要になるのでしょうか。いくつかの理由が考えられます。一見壊れていないように見えたとしても、災害後の使用は注意が必要です。実際、災害後のトイレに関するトラブルも多くありました。
トイレが壊れる可能性がある
災害後にトイレを使うと、水道が停止している、下水が流れていない、排水管の破裂などの理由により、トイレの汚水が逆流してしまう可能性があるため注意が必要です。
断水の可能性がある
特に地震が起きた際は、排水管の破損や断水によって水洗トイレが使えなくなる場合があります。排水設備の状態を確認する必要があります。
仮設トイレの設置まで時間がかかる
避難所の仮設トイレが設置されるまでは、数日から1週間ほどかかる場合があり、中には1か月以上かかったというケースもあったそうです。また、トイレの数が限られており、長時間待つことも十分に考えられます。
健康被害の危険性がある
長時間トイレを我慢したり、トイレの回数を減らそうと水分を控えると、健康被害を及ぼす危険性があります。さらに、断水により手を洗うことができず、衛生状態が悪くなると感染症を引き起こすこともあります。
防災トイレの種類
防災トイレには、携帯トイレや簡易トイレの他に、屋外で使用する個室タイプの仮設トイレや、マンホールや排水設備の上に便器を設置するタイプのマンホールトイレなどもあります。今回は、自宅で使用することを考えて、3つのタイプの防災トイレを紹介します。
①持ち歩きタイプの携帯トイレ
外出時におすすめ。使い切りでコンパクトなので持ち運ぶことができます。特に災害直後に役立つケースもあります。
②取り付けタイプの携帯トイレ
自宅避難におすすめ。自宅の洋式の便器に設置して使ったり、簡易トイレに取り付けて使うことができます。
③組み立てタイプの簡易トイレ
トイレが壊れた場合におすすめ。小型で持ち運びが可能なので、野外でも室内でも使用できます。携帯トイレと組み合わせ使うこともできます。
家族で使いやすい「防災トイレ」商品の紹介
家族で使いやすい防災トイレを、3つのタイプに分けて紹介します。どのタイプが使いやすいか考えてみましょう。選ぶ際は、使いやすさやにおい、処理後などが気になりますが、環境に優しいかという点も考えてみてください。
①「持ち歩きタイプの携帯トイレ」おすすめ商品の紹介
外出時に持ち運びやすく個別使用タイプの携帯トイレです。主に1回分の処理用袋、凝固剤、防臭袋などがセットになっています。
ファンデクセル「Qbit どこでも携帯トイレ」
ファンデクセルは、Qbit(キュビット)というブランドで防災用非常用の簡易トイレなどを販売しています。防災士と共同開発しており、受け口が広いため女性や子どもでも使用しやすく、凝固剤がすでに入っており4ステップで簡単に使用できます。SとMの2サイズあり、Sサイズは片手持ちで使用し、Mサイズは底にマチが付いているので自立して使用できます。- 防災士と共同開発している
- 広い受け口付きのため女性や子どもでも使いやすい
- 片手持ちタイプのSサイズと、自立タイプのMサイズの2種類ある
トパック「携帯用トイレ 片手で秒速トイレ」
10年保存で災害用備蓄にも最適な携帯トイレです。抗菌剤入りの凝固剤なので、使用後はすぐに固まり、漏れやにおいの心配はありません。手で持つ部分の台紙には両端に指をかけることができ、片手で広げやすい工夫がされています。老若男女を問わず家族で使いやすい設計です。- 10年間保存できる
- 抗菌剤入り凝固剤でにおい漏れの心配がない
- 片手で使いやすいデザインとなっている
総合サービス「サニタクリーン 携帯トイレ チロル・ローザ・アルム」
女性視点でデザイン性にこだわった携帯トイレです。パッケージがおしゃれなため、外で持ち歩く場合も人目が気になりません。便袋と凝固シートが一体化しているため、広げるだけですぐに使えます。高密閉チャックのためにおいの心配なく、自立して使うことも可能です。植物由来のバイオマスプラ30%混入ポリエチレンを使用し環境にも配慮しています。
- パッケージデザインがおしゃれで持ち運びやすい
- 高密閉チャックのためにおい漏れの心配がない
- 植物由来のバイオマスプラを使用し環境に優しい
②「取り付けタイプの携帯トイレ」おすすめ商品の紹介
洋式便器に取り付けるタイプの携帯トイレです。自宅で避難生活をしており、断水しているという時に便利です。主に、処理用袋と凝固剤、防臭袋、便器カバーなどがセットになっています。
ドアーズ「みんなのトイレ」
日本防災士機構が認定する、防災士が監修した取り付けタイプの非常用トイレです。凝固剤は、業界最高水準の抗菌と消臭力のあるものを使っているため、におい漏れなどなく安心して使うことができます。15年の長期保存ができるので備蓄に最適です。また、防災時に必要なことが学べる防災ガイドブックが付いています。- 日本防災士機構が認定し、防災士が監修している
- 業界最高水準の抗菌・消臭力の凝固剤を使用している
- 15年間保存できる
クロリン化成「BOS 非常用トイレセット」
高い防臭性能を持つ赤ちゃんのオムツ袋BOSの取り付けタイプの非常用トイレです。医療向け開発から生まれた高機能の処理袋は、菌も通さないため衛生的で、燃やしても有毒ガスは発生しません。交換の目安は15年となっており、家族の人数に合わせて6種類(1~400回)、また和式も対応可能です。- 医療向け開発の高機能袋はにおいの心配がない
- 15年間保存できる
- 和式トイレも使用できる
まいにち「アートトワレ」
飾って備蓄する、取り付けタイプの非常用トイレです。アートなフォトフレームの中には、防災時に役立つトイレ処理セットが入っています。トイレやリビング、廊下などににアートとして10 年間飾って楽しむことができます。飾ることで、備蓄する場所に困るという悩みが解決します。
- アートとして楽しめる
- 壁に飾って備えることができるため場所をとらない
- 10年間保存できる
③「簡易トイレ」おすすめ商品の紹介
野外でも室内でも使用できるポータブルトイレです。組み立て便器や処理用袋などがセットになっているものや、本体のみで凝固剤などの購入が必要なものがあるので、内容を事前にしっかりと確認しましょう。
Dajie「スツーレ」
防災士監修のおしゃれな多機能簡易トレイです。トイレ以外にも踏み台やイス、コンテナ、ゴミ箱など日常的に使うことができます。またデザイン性も高いので、インテリアの一つとして部屋に置いたり、車内の荷物置きにしても違和感がありません。組み立ても工具不要で簡単に設置することができます。- 防災士が監修している
- おしゃれで多機能なため日常的にも使うことができる
- 工具不要で簡単に組み立てることができる
トミタパックス「非常用簡易トイレ たすけくん®」
ダンボールメーカーが作るダンボール製の組み立て式の簡易トイレです。大人6回分の日本製消臭凝固剤やポリ袋がセットになっています。サイクル率が高いダンボールで作られている点や、リーズナブルな価格が魅力的です。また、処理袋などの消耗品や目隠し用コートなどが別売りであります。- リーズナブルな価格で購入しやすい
- ダンボールはリサイクル率が高い
- 本体以外の消耗品は別売りで購入できる
サンコー「エコな非常用簡易トイレ」
土台と便座がセットになった、組み立て式の簡易トイレです。5回分の凝固剤・袋がセットになっています。本体は紙で作られ、便座の素材には帆立殻を51%以上配合されており、プラスチックの使用量を減らし環境に配慮して作られています。土台本体を開いて補強パーツを差し込み、便座をのせるだけと組み立ては簡単にできます。
- 便座付きで使い心地が良い
- 本体は紙で作られており環境に優しい
- 帆立殻を使用しプラスチック量が減らされている
防災トイレと一緒に備えておきたい物
備蓄用の防災トイレと合わせて、準備しておきたいものもチェックしておきましょう。備蓄日数としては、約7~14日分が推奨されており、1人1日あたり、平均5~7回のトイレ使用頻度を目安に考えてみてください。
- トイレットペーパー
- ランタン、ライト など
- 大きめのごみ袋
- ビニール手袋
- 除菌シート、ウエットティッシュ など
- 簡易テント(プライバシーテント)
- 生理用品、ベビー用品、介護用品 など
防災トイレの商品のセットには含まれないので購入が必要です。
停電の場合、特に夜間の使用時にはあかりがあると安心します。
処理後のゴミを入れるなど大きめのサイズだと便利です。
防災トイレの商品のセットには含まれない場合は購入が必要です。
断水の場合は、手洗いや掃除の時に役立ちます。
テントの中に防災トイレを設置すると、プライバシーを守ることができます。
家族構成によって必要になるものが変わるため、事前に一度考えてみましょう。
さいごに
いざという時に慌てないためにも、事前にキャンプで使ってみたり、「防災トイレを使ってみる日」などを家族で作ってみても良いかもしれません。特に小さな子どもは、環境が変わると緊張してしまうこともあるので、事前に使ってみて問題ないかチェックしてみるのもおすすめです。どのようなタイプの防災トイレが必要か家族で話し合ってみてください。もちろん、1つを選ぶのは難しいから3タイプすべて、というのも備えあれば憂いなしです。
【参照ページ】避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン| 内閣府
【関連ページ】いざという時に防災拠点になる防災公園とは?家の近くにないか調べてみよう!
【関連ページ】いざという時の準備できていますか?「震災対策技術展」でLifeHugger編集部が見つけたおすすめの商品とは?
中池 梓
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