「1本の木をまるごと使い切る」東京チェンソーズの取り組みとは?

東京チェンソーズ

東京の最西端にある檜原村で、木を植え、育て、伐採し、人々の暮らしに“木のぬくもり“を届けることを生業とする林業会社「東京チェンソーズ」は、ものづくりを通じて様々な山の魅力を伝え続けている。

東京チェンソーズ(檜原村)村の総面積の約9割が森林で、元々林業が盛んな地域だった。しかし2021年4月現在の人口は2000人に満たず、全国の地方と同じく過疎化が進んでいた。さらに、国産の木材価格は低迷し、林業を志す若者が減少。荒廃した森が増え、誰が森林を守っていくのかが問題となり、2006年に東京チェンソーズが立ち上がる。2015年には一般の方とともに30年かけて森林を作るプロジェクト「東京美林倶楽部」を発足している。

みなさんは、日本の国土の約70%は森林であることをご存知だろうか。そして私たちが利用している水や紙、木材は、自然に成長した森林から作られたものではなく、彼らのような林業事業者が大切に手入れを行なっている森林から作られている。

1本の丸太ができるまでの道のりは長く、「(春)植え付けの準備→(夏)下刈り→(秋・冬)枝打ち/間伐」を繰り返す。そうして50〜60年ほど成長し、ようやく収穫の時を迎える。きちんと手入れをすれば、森林は再生して次の世代へ受け継ぐことのできる「持続可能な資源」となる。

東京チェンソーズは、「木を1本まるごと使い切る」をテーマに、間伐材の商品化に挑戦している。家具やおもちゃとして販売するほか、子どもたちに木の心地よさを伝える“森のカケラ”を使った出張型ワークショップも行なう。廃材も無駄なく利用するのが彼らのスタイルだ。

不要な木を切り倒して間引く「間伐」によって、地面に太陽光が届いて下草が生え、生物が集まり、木が生長する。さらに土に根を張ることで地盤が強化され、土砂崩れの心配もなくなる。地下水が浸透し、水を育む山へと生まれ変わる。林業とは、長い年月をかけて木を育て、森を守り、地球環境や私たちの生活を支える仕事なのだ。

東京チェンソーズ(檜原村)

こうした、森林の環境保全に配慮しながら、経済的にも持続可能な林業を体現している取り組みが評価され、2017年には、国際的な森林認証制度「FSC®認証」を取得し、2018年には、環境省の「グッドライフアワード」で優秀賞を受賞している。森を守ることは、海を守ることにつながり、山からきれいな水と空気を送りだすことで、彼らはSDGsの実現に貢献している。そして私たちはFSCマークのある製品を買うことで、森林保全に間接的に関わることが可能だ。

6月26日には、親子で世界にひとつだけの丸太イスを作る「木こり&火起こし体験ツアー」の開催が予定されている。木を切り、自然と触れ合うことで、森を育み受け継いでいく大切さを学ぶことができる1日となるだろう。まだ若干名の空きがあるので、気になる方は早めの確認をおすすめする。(申し込みはこちら

林業を通じて、森林保全活動が数年・数十年先の未来につながっていることを教えてくれる東京チェンソーズ。私たちは、先人たちから残された自然環境に感謝し、次世代へつなげていくことを忘れてはいけないだろう。

【ウェブサイト】
東京チェンソーズ公式サイト
東京チェンソーズオンラインストア
第5回グッドライフアワード(環境大臣賞 優秀賞)

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せきざわ はるか

大学在学中、「児童労働、人権、異文化」をテーマに世界15カ国でフィールドワークを行う。伝えることの重要性を実感し、卒業後は広告代理店に入社。その後NGOに転職し、多岐にわたる分野の広報に携わる傍ら、PR会社に入社。2018年からフリーランスとして、ソーシャル分野に特化した広報活動に従事。また書道家としても活動しており、日本文化を広めながら異文化交流を行う。一児の母。最近の関心事は「身近な幸せを見つけること」