近年よく耳にする、持続可能な社会をめざす「サステナブル」や「SDGs」という言葉。実際のところ世間の人は、これらの言葉をどの程度認知し、行動に移しているのだろうか。「博報堂SDGsプロジェクト」を進める大手広告代理店の株式会社博報堂は、そんな疑問に答えるべく「生活者のサステナブル購買行動調査2021」を実施。全国16~69歳の男女計4,125名から回答を得た。
この調査では、「SDGsへの認知」「サステナブルな購買行動の傾向」、また「社会・環境問題に対する意識と行動」「サステナブル(エシカル)ファッションの購買意識・行動」の4つをヒアリング。調査結果からは、社会問題や環境問題に危機感を覚えている人や、社会をより良くする活動・社会問題に関する情報発信に積極的な若年層の姿が見えてきた。
SDGsについて「内容を知っている」と回答した人は29.8%で、前回の調査と比べて約20ポイント増加。半数以上は「名前を聞いたことがある」と回答した。年代別でみると、「内容を知っている」人は16~19歳で47.5%、20代で37.4%と、若年層ほどSDGsの認知・理解が進んでいることが明らかになった。
「サステナブルな購買行動の傾向」では、「ミニマル(必要最小限のものだけを購入する人)」や、「ロングライフ(修理をしながら長く使う人)」、また「不要になったものをあげたり売ったりする循環行動を意識している人」の数は、前回調査とほぼ変わらず。
実際に、社会や環境問題ん対する循環行動を取っている人は、10~30代の女性は7割以上、中古品を買う男性は10~20代で約5割、また新品を買わずに借りたりシェアしたりする10~20代の3~4割を占めており、若年層ほど、循環行動を実践する率が高いことがわかる。これは、環境保護や資源保護を目的としたサステナブル商品やフリマアプリの普及が一因といえる。
就職・転職事情においても「社会問題に積極的に取り組む企業に就職・転職する(したい)」と回答した人は、10~20代の男性や10代の女性のうち約4割が占め、全体よりも15ポイント以上高い数値となった。若者の環境意識への高さや「SDGsで掲げている目標は、決して他人事ではない」と捉えている若年層が多いといえるだろう。
今回の調査結果で、「いますぐ社会問題や環境問題に取り組まなければ手遅れになると思う」人は、全体で6割以上いることがわかった。「プラゴミ削減」や「エコバッグ持参」、「ゴミ分別・リサイクル」に取り組んでいるという回答も多い。一方で、まだ何も取り組んでいない層が一定数いるのも事実だ。SDGs実現の目標年である2030年まで残すところ9年を切り、もう待ったなしの状況だ。今後は、さらに世界各国で目標達成に向けた動きが加速していくだろう。
【参照サイト】生活者のサステナブル購買行動調査2021
河端 麻紀
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